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ゆうえん、ちの、怪談。

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今は無き遊園地とその周辺にまつわる怪奇な話。 馴染みの場所の伝承、噂、不思議な話。 信じるか信じないかはあなた次第。 ※噂を元にしたフィクションかも知れません※
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記事一覧

ゆうえん、ちの、かいだん。3

べっこう飴

私がまだ小さかった時に体験した話です。

母と妹と3人で出かけた遊園地にはたくさんの屋台が出ていました。
やきそば、わたあめ、かき氷……。
私は1件の屋台が気になりました。
それはべっこう飴の屋台。
お姉さんの指先から作りだされる、綺麗な色付きガラスのようなべっこう飴。
飴は小さくてまるい物という認識しかなかった私はすぐに夢中になりました。
母にべっこう飴が食べたいとせがみ、棒付きの

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ゆうえん、ちの、怪談。2

ゆうえん、ちの、怪談。2

駅楽しい飲み会は時間が過ぎるのも早い。
鈴木さんが慌てて飛び乗ったのは最終電車だった。
運良く座席に座る事の出来たことや酔いも手伝って、鈴木さんはうとうとと寝てしまう。

ピンポン、ピンポン

ドアが閉まる音で鈴木さんは目を覚ました。
どうやら電車はどこかの駅に着いて発車したばかりらしい。
窓ガラス越しに流れるホームから見える「登戸」の駅名。降りる駅はまだ先だ。
寝過ごしていない事にほっとしながら

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ゆうえん、ちの、怪談。1

ゆうえん、ちの、怪談。1

■ミラーハウス

子どもの頃、不思議な体験をした事がある。
その日は両親とお出かけで、行き先は私がリクエストした遊園地。
ジェットコースターや観覧車、メリーゴーランドなどをひと通り楽しんで、私はミラーハウスに向かった。
ミラーハウスは。鏡張りの通路を歩くだけ。
入口も出口もひとつの安全で単純なアトラクション。
「子ども1人でも大丈夫だろう」
両親は私を送り出した。
たくさんの私の姿が映し出される通

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ゆうえん、ちの、怪談。0

ゆうえん、ちの、怪談。0

ゆうえん、ちの、はなし。
※この作品は噂を元にしたフィクションです※
#放送

 川崎市は夕方になると、どこからともなく音楽が流れる。
 これは防災無線の定期試験として放送をしている、メロディチャイムというものだ。
 ただ、登戸付近ではごくたまにメロデイチャイムに混ざって妙な音声が聞こえるらしい。
「ザザッ……本日、は……ごライエン……ありがとうゴザイ、まシタ……ザザッ……」
 かつてこの地で営

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