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七月三十日と書いた紙ヒコーキを明日に向かって投げた。 草が伸び放題で手入れされていな…
地面の下には水が埋まっていて、その底には街がある。 水底の街は青く輝いていて、そこに…
雨の音にまじって祭囃子の音が聞こえる。 布団から起き上がり、窓を開けるとその先には黒…
こん、こん、とキッチンに卵をぶつけて片手で開き割り、フライパンの中に落とす。 油がち…
黒髪の女性から切符を受け取り、改札ばさみでぱちり、と切り込みを入れて返す。 今日の乗…
■これまでの話はこちら■本編10、クダン 「随分と余裕ね、クダン探偵」 アキはルームミラ…
■これまでの話はこちら■本編 9、ラピス? 台車を押しながら薄暗い通路を歩く。かつ、かつ、とラピスのブーツの踵が単調なリズムを奏でる。 長い通路の中ほどにある扉の前に立つと、ポケットからカードを取り出し、カードリーダーに通す。するとカードリーダーに灯っていた赤色の光が緑色に変化し、扉の錠が外れる音がする。 「やあ、戻ったかい。その様子だと首尾よく、ということかな」 アジサイが奥のモニターの前でくるりと椅子を回してラピスに向き直ると、歓待するように両手を広げて笑みを浮かべ
■これまでの話はこちら■本編8、アキとクロダ クロダは車の中で目を覚ました。 車は止ま…
■これまでの話はこちら■本編7、ガーネット 随分時間がかかってしまった、と冷たい夜風を…
■これまでの話はこちら■本編6、アキとクロダ 人の体臭と、生ごみが腐った臭い、それから…
■これまでの話はこちら■本編5、カクタス 人通りのない暗い裏路地にある、テナントもろく…
■これまでの話はこちら■本編4、クダン スマートフォンのアラームで目を覚ますと、時刻表…
■これまでの話はこちら■本編2、ガーネット ホテルの一室で、女は男と向かい合って座って…
■あらすじ 探偵のクダンは、ある日死んだはずの女の捜索依頼を受ける。怪しみながらも調査を始めるクダンを待ち受けていたのは、女殺し屋や殺し屋組織同士の抗争、企業や外務省の海外への情報流出、外国の陰謀など手に負えそうもない事件ばかり。騒動の渦に巻き込まれたクダンは果たして死んだはずの女を見つけ出し、無事生還することができるのか。 1、クダン 人を探すときは、その人間が嫌がるものや場所を引き算していくのだ。 探偵のクダンはブザーの音で跳び起きて、事務所の扉の方を眺めた。そこに