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一読の夢~短編小説集~

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ジャンル問わず、全短編をまとめたものです。 更新は不定期。小説を読みたい方はぜひ読んでみてください。
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2024年5月の記事一覧

虚構日記〜5月31日〜

■前回までの日記はこちら ■本編 五月三十一日(金)  紫をおもちゃ屋に連れて行ったら、棚…

水瀬 文祐
5か月前
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虚構日記~5月30日~

■前回までの日記はこちら■本編 五月三十日(木)  台風が近づいてきているが、天気は曇り…

水瀬 文祐
5か月前
99

虚構日記~5月28日~

■前回までの日記はこちら■本編 五月二十八日(火)  今日はシャルには留守番を任せて、私…

水瀬 文祐
5か月前
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虚構日記~5月27日~

前回の日記はこちら■本編 五月二十七日(月)  シャルが珍しく朝から台所に立っていた。  …

水瀬 文祐
5か月前
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虚構日記~5月26日~

 序文  私は小説家だ。と名乗るのはおこがましいか。まだ世に出てすらいない、孵るかも分か…

水瀬 文祐
5か月前
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ポートレート

 笛が鳴る。  彼女の手が、足が躍動して、一迅のオレンジの風のように走り抜けていく。その…

水瀬 文祐
5か月前
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ある日の夢~海水浴~

■まえがき今回の短編はタイトルの通り、ある日見た私の夢を元にした小説です。 以前アップした『ぜい肉くん』に近い方式で作ったものです。 最近長めの気合が入った短編を続けて書いたので、ちょっとお疲れ気味です。気分転換に少し短めのものをご提供いたします。 暑い日が続いているとはいえ、まだ海水浴には早い時期ではありますが、夏を先取りして一足先に、夢まぼろしの中に夏の光景を覗いてみてはいかがですか。 ■本編 海へ行った。暑さにばてて少しパラソルの下でまどろんでいたら、子どもの姿が見え

ゆうぐれあさひ~SIDEゲーテさん~

■前回のお話はこちら■本編 書店員の朝は早い。十時の開店に備えて、それまでにある程度の新…

水瀬 文祐
5か月前
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四姉妹の話~緑(ヴェール)~

■前回のお話はこちら■本編 私は再び老人の家の戸口に立っていた。  相変わらずその住まい…

水瀬 文祐
5か月前
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幽世電車

 智臣は走っていた。  真夏のアスファルトの上を、息を切らし、頬を伝って流れる汗を拭いな…

水瀬 文祐
5か月前
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麻薬読書者

 男は後ろをやけに気にしながら歩き、ある小路の入り口に立つと、殊更に警戒心を剝き出しにし…

水瀬 文祐
5か月前
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金色の霊獣~碧天の巫女外伝~

■前回のお話はこちら■本編 精霊の森のさらに奥にある霊峰、ストラ山。山の民の初代酋長の名…

水瀬 文祐
5か月前
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スパイ・オア・ストーリーテラー

 病室の窓から外を眺める。青空に無数の魚影のような雲が泳いでいる。  午後のロードショー…

水瀬 文祐
6か月前
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空色のダイヤモンド

 世界には空に穴の空く場所があって、その穴の中には空色をしたダイヤモンドが眠っている。  だからおれはそのダイヤを掘りに行かねばならない。  あなたはそう言ってこの街を出ていった。もう十年前のことになる。  十年前というと、わたしはまだ女子高生で、あなたの話す夢のようなホラ話を無邪気に笑って聞いていられる年頃だった。  百匹のテントウムシがスズメバチを撃退する話とか、示したところを掘ると必ず財宝が出てくる、賢い犬の話とか、人の影を食べて生きる恐ろしい怪人の話とか。どれもこれも