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廃校に住んじゃった!〜長期滞在メンバーストーリーズ〜鈴木里奈さん編

福岡県田川市にある廃校利活用施設いいかねPalette。「なんでもできる世界をつくる」をキャッチフレーズに音楽スタジオや宿泊など、様々なことができる施設として運営しています。

いいかねPaletteにはワーケーションなどで利用できる宿泊プランのほかに、「長期滞在プラン」というものがあり、現在、この施設の中には約二十名が暮らしています。

この記事では「長期滞在プラン」でいいかねPaletteに暮らす人たちがどんな理由でここにやってきて、どんな暮らしをしているのか、彼ら彼女らにインタビューすることで、その実態を探っていきます。

長期滞在者:鈴木里奈さん(以下「スズリナさん」と表記)
聞き手:タカキユウト

鈴木里奈さんことスズリナさん

運命のイタズラ?

ースズリナさんは、何がキッカケでいいかねPaletteで暮らしはじめたんですか?

3年前に JICA海外協力隊として、海外に行くことになっていたのですが、コロナ禍で延期になってしまったんです。 それで、日本で先生として働きたいと思っているときに、NPO法人Teach For Japan(以下「TFJ」といいます。)の存在を知り、すぐに応募をしました。

すると、福岡への赴任が決まり、住む場所を探していたところ、TFJの先輩がいいかねPaletteに住んでいて、オススメしてくれたことがキッカケですね。それから3年間、いいかねPalette長期滞在として生活しています。

ーなるほど。長期滞在として3年間、いいかねPaletteで暮らしてみて、何か変化はありました?

はい。私自身、ここで色んな経験をさせてもらって、自分でもびっくりするくらい変わりました。

ーそうなんですね!ちなみにそれは良い変化ですか?

そうです。多分、「たがわ教育フェス」に参加したことが大きかったですね。このイベントに参加したことがきっかけで、JICA海外協力隊の派遣を1年先延ばしにしました。

いいかねpaletteリラックスルームで

イベントへの参加がキッカケで・・・

ーえっ!?今度は、ご自身の意思で延期したんですか?

そうなんですよ。
2022年に開催された「第1回たがわ教育フェス」は、教育に関わっている先生たちや、教育に関心のある人たちが集まって、意見交換したり、ワークショップを通じて、田川の教育の未来について考えるイベントでした。

いいかねPaletteのシェアライブラリーが会場だったので、最初、気軽な気持ちで参加したのですが、イベントが始まると、教育に対する熱い想いを持っている人たちがたくさんいて、その人たちと交流したことで、自分自身と向き合うキッカケになったんですよね。

それで、自分自身がまだ田川に残って、子どもたちと関わりたいなって思っていることに気づきました。また、イベントを通じて、この地域には、おもしろい人、熱い想いを持っている人がたくさんいることにも気づいたし、その人たちとのつながりもできました。

「1年目は辛かった」
という先生の思い出

長期滞在の仲間に救われた1年目

ーそうなんですね!スズリナさんも熱い想いを持ったいい先生なんですね。

実は、先生1年目は、想像以上にきつくて、とても辛かったです。

ーえっ?そうなんですか?

筑豊地域に来たことも初めてだったし、分からないことがたくさんあって、精神的に追い込まれてしまった時期もありました。

でも、他の長期滞在のメンバーに救われたというか、話を聞いてくれたり、気遣ってくれたりしてくれたことで、乗り越えることができましたね。また、長期滞在で暮らしているTFJの先生たちは、教育に対する意識が高くて、良い刺激にもなっています。

ー教育のお仕事をする上でここに住んでよかったことはありますか?

いいかねPaletteの長期滞在には様々な人がいます。TFJの先生はもちろん、それ以外のお仕事をしている人たちもたくさんいて、色んな人たちがつながっているコミュニティになっています。

みなさん、おもしろくて、教育に対しても熱い想いを持っている人が多いです。先生以外のお仕事をしている人の話は、とても勉強になりますし、先生の仕事について自分が感じていることを、違った視点から見るキッカケを与えてくれます。

それに、オン/オフをしっかりと切り替える人が多くて、休みの日は一緒に思いっきり遊んだりしますね。良い気分転換になっていて、とてもありがたいです。

終始笑顔で答えてくれました

自分自身が変わり、新しい幸せに気づける場所

ー仕事以外でここに住んでよかったことはありますか?

一緒に遊んでくれる仲間がいることです。みんなで熊本を旅行したり、数人で日帰り旅行をすることもありますね。

あと、つまらないことも一緒に楽しんでくれたりします。シュールストレミングっていう、めちゃくちゃ激しい匂いの缶詰をみんなで食べてみる、とか、めちゃくちゃ臭かったけど、楽しかったです。

ーそんなことをしてたんですね。笑

はい。笑
あと、いいかねpaletteで行われた「真冬の廃校文化祭」の出し物として長期滞在メンバーで作った自主制作映画にも主演?で参加しました。笑

ここに来て色んなことに対して「やってみたい」と思うようになったんですよね。

ーそれは、なぜですか?

大きなイベントやプロジェクトに、運営する側として携わったことで、自分自身の価値観や考え方が変わったからですかね。

ここに来る前もいくつかイベントに携わったことはありましたが、教育フェスのように大勢が参加して、しかも内容の濃いイベントに携わったことは初めてでした。

運営する側として、教育フェスに携わって、参加者から「楽しかった!」とか「もっとこんなことがしてみたかった」など、自分たちがやったことに対してフィードバックをもらえることって、本当にありがたいなって気づきました。

良い感想をもらえると嬉しいし、改善点を言ってもらえると、もっと良くしたいと思います。意識が変わったのと同時に、自分自身の視点が変わりましたね。

それからは、色んなことに対して、運営側として積極的に関わるようになりました。運営側で携わる方が、色んな学びがあるし、得られる経験も多いと気づいたし、その方が楽しいと感じるようになったからです。

今年、長期滞在を卒業。
JICA海外協力隊として
ブータンへ向かいます

ーそれは素晴らしいです。どんな人に長期滞在プランをオススメしますか?

保守的な人にオススメしたいです。いいかねPaletteに長期滞在すると「こんな世界があるんだ」と感じてもらえると思います。

現状に満足して、穏やかに暮らすことって、とても大事なことだと思います。でも、自分と違う価値観や考え方を持つ人たちと一緒に暮らして、様々なイベントに運営側として携わったことで、私自身、とても変わりました。

前よりも、色んなことを楽しめるようになったし、色んなことを学び取ることができるようになったと感じています。だから、保守的な人でも、ここに来れば、何か少しでも変われるんじゃないかなって思うんですよね。

ー新しくここで暮らそうと思っている方にメッセージがあればお願いします。

騙されたと思って、一回来てごらん!」って言いたいですね。笑
ここに来ると、自分の中で色んな考えや価値観が変わって、自分の中の新しい幸せに気づけるかもしれません。

何を幸せと感じるかは、人それぞれです。でも、自分自身が変わって、新しい自分に出会えれば、新しい幸せにも出会えるような気がします。

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