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【分析】M-1グランプリ2020の個人的な総評

昨日のM-1グランプリ2020、とても熱かった…!
マヂカルラブリー優勝おめでとうございます👏

ということで、お笑い大好きな私が、超勝手な今年のM-1グランプリ2020の総評を書いていこうと思う。

出場者やネタ、全体の流れや審査についても触れて、あくまで一お笑いファンによる”超個人的見解”を繰り広げていく。


▶敗者復活戦

まず、私が非常に痛感したことが、準決勝と敗者復活戦での違いである。

その要因として、
①出順
②ネタの変更
③テレビ映えするか

に左右されると感じたからだ。

こうやって並べると当たり前のことなのだが、敗者復活戦ではこの3つが準決勝と変わることによって大きな違いが生まれる。

私は準決勝を見に行った時に、金属バットは決勝に行っても良いのでは?と感じていた。

(詳しい準決勝の様子は下のnoteに記載してあります)

しかし、金属バットは思うように視聴者投票を伸ばせず進めなかった。

その理由は、
①トップバッターであったこと
②準決勝と同じネタだったが細かい表現などを変えたこと
③独特の間や変更したネタの表現が上手くテレビ映えしなかったこと

だと感じた。

まず、トップバッターは基準にされる上に場が温まっていないためめちゃくちゃ不利である。

しかし、私が一番気になったのは、彼らの持ち味である毒っ気というか不謹慎というか……そういうものが、準決勝より少し柔らかい表現に変わっていたことだ。

具体的に言うと、例えば「夜が合わない」のくだりにて、準決勝では「夜が合わない=エッチの相性が合わない」と視聴者に勘違いしてもらうために、「そんなこと言うなよ」「いやでも夜は大事だよ」みたいなやり取りを、もっと分かりやすく長めにやっていた。

もちろん、準決勝の一文字一句を正確に覚えているわけではないが、後半の畳み掛けも、もう少し毒っ気がある表現が多かったように思う。

テレビ、地上波で流れるという点で、少し柔らかくしたのかなと思うが、やはり準決勝のような爆発力が失われた。

テレビでやる以上は致し方ない部分だが、準決勝の盛り上がりを知っているし、金属バットが好きな人間としては悔しいところだ。

変な話、金属バットは人気があるので、視聴者投票なら視聴者が持つ三枠の投票権に入ることは出来るかもなと思った。
でも、皆フラットな投票をしたのだと分かって、その公平さは嬉しかった。


視聴者投票については、上位三組にぺこぱが入ったことで少しネットがザワついていた。
視聴者投票が人気投票として行われいるのであれば、ルール変更をした方が良いとの声も上がるような状態だった。

結果的に、大差でインディアンスが1位だったが、ぺこぱファン並びにお笑いファンはいろんな意味でヒヤヒヤした瞬間だったかもしれない。

私は、芸人さんが「売れること」を目標にして進出する賞レースなら、視聴者投票は良いルールだと思っている。
視聴者に受け入れられる、ファンを集めることは、「売れること」に直結するからだ。

もちろん、人気投票によって決勝に進むことに意義を唱える気持ちはよく分かる。(人気も実力のうちだが。)

昔と違って、投票時間も短くタイムリーであり、ホームページで敗者復活全組のネタを見られたり、点数を付けられるようになったりと、公平さを追求して変更が進んでいることは素晴らしいと思う。

実際、「絶対人気投票やん!」と誰もが思ってしまうような状態になった時、一番辛いのはその1位になった芸人だ。

1位になった芸人が、敗者復活戦の皆に背中を押されてそのまま決勝に行くこと、その勢いが敗者復活枠の強みの一つである。

それが、祝福されずに決勝に進んでしまったり、「人気投票」や期待感が枷となってしまったりしたら、本番での番狂わせは相当難しいものとなる。

だからこそ、全組全てのネタを見ないと投票できない公平なシステム作りは、今後も徹底していくべきだと感じた。


▶決勝戦

今回の決勝で、一番印象に残ったポイントは、「応用の魅せ方」である。

これは、1位のマヂカルラブリーと最下位の東京ホテイソンを比較すると分かる。

まず個人的に言っておきたいこととして、東京ホテイソンのあの点数は厳しかったという体感があり、最下位が東京ホテイソンということ自体があまり飲み込めない部分がある。
それだけは前提として言っておく。

では、なぜ、東京ホテイソンが最低点になってしまったのか考えてみると、出順が2番目というレース上の早い段階で、「応用編」を1本目に出したからだと考えられる。

お笑い好き、ホテイソン好きなら知っての通り、彼らの漫才は試行錯誤をしてめちゃめちゃな成長率を出している超柔軟漫才である。

新しいスタイルの漫才は、フォーマットに慣れると飽きられてしまう傾向にある。

しかし、ホテイソンの「い〜〜や」でツッコミのフォーマットは認知されてからの成長率がとんでもなく、大喜利、例えツッコミ、ワードセンスなどを経て、今回は「解説タイプ」となった。

オール巨人が批評していたように、ツッコミは視聴者の感じたことを言う「代弁タイプ」が主流であるように感じる。

しかし、難しいボケや分からないことを噛み砕いて視聴者伝える「解説タイプ」もいる。

意味不明なボケをした時に、前者は「意味わかんねぇよ!」とツッコミをし、「そうそう!意味わかんないだよね〜笑」というような共感で笑える。

後者は「それは〇〇ということだよ!」とツッコミをし、「なるほど確かに!なんでそれがそうなるんだ〜笑」というようなスッキリからの現状で笑える。

今回のホテイソンは後者で、今までの分からないやり取りが解明していく面白さがあった。
だから、ツッコミは代弁でなきゃいけないということはない。

特に今回のホテイソンは、今までのフォーマットの歩みの中で、いわゆる変化球を投げていて、そのギャップや成長に面白さを感じる。

しかし、これをすぐに飲み込むことができるのは、お笑いをそれなりに嗜んでいる人であり、初見からすると難しく感じてしまうことがある。

特に賞レース初出しでの変化球は、なかなかの大勝負だ。
正統派続きで飽きたところで大爆発する可能性はあるものの、二組目は早すぎた。


一方で、マヂカルラブリーも独自のスタイル、フォーマットがある漫才だ。

彼らの1本目は、1つの内容を野田クリが色んなパターンで繰り返して失敗してしまうという、いつものマヂカルラブリーであった。

そして2本目は、1本目のように色んなパターンを繰り返さずに、ずっと野田クリが1つのシーンでボケるという変化球・応用編だったのだ。

しかも、マヂカルラブリーは1本目が六組目というちょうどいい出順であった。

フォーマットが濃い漫才は、出順が中盤〜後半(できれば正統派が続いたあと)で、ノーマルフォーマットを見せてから応用編という魅せ方をした方が賞レースでは強い。

マヂカルラブリーは、まさにこの魅せ方が上手くいったのだ。


ちなみに準決勝では、二組とも応用編をぶつけて決勝に進んだ。

準決勝はお笑い好きが多いからノーマルフォーマットをぶつけなくても知っていると思っていい。
逆にノーマルフォーマットをぶつけると「またあれか~」と思ってしまうので弱いため、勝負の応用編で挑むのがベストだ。
(これに関しては、ぺこぱも応用編をぶつけて準決勝に進んだタイプだった。)

決勝において、1本目にいつものフォーマットを持ってくるのは非常に怖い選択であるが、それが出順と共にハマった時、2本目の応用編が格段に強くなる。
1本目のネタが2本目のネタの”振り”になるという、2本で1本の大きな漫才の形だ。

そう考えると、東京ホテイソンが六組目で、1本目のネタをノーマルフォーマット、2本目を今回の1本目にしたら良い成績が残せた可能性がある。たらればであるが。

逆に、ホテイソンは二番手を引いてしまったからこそ、このノーマル→応用作戦が使えないと見て、応用→応用作戦で行ったのかもしれない。

上沼恵美子が最後に繰り返していたが、賞レースは出順が全てを左右する、と言っても過言ではない。

運も味方につけないと勝てない、勝負事とはそういうものなのだ。


▶結論:漫才は自由!

散々いろいろ言ったが、最後にこれを言いたい。

サンパチマイクの前に立って何かを話し出したら、それはもう漫才だ。

しゃべくり漫才は、漫才の歩みからして正統派だろう。だからといって、しゃべくり漫才以外は漫才じゃないかと言ったらそれは違う。

偶然にも、漫才が広く知られるようになった時にしゃべくり漫才が主流であった、ということだ。

コントINする漫才や、フリップ芸のような漫才も、それは漫才であるのだ。

今年の決勝2本目は特に接戦であった。
比べるのが難しい三者三様の漫才で、もうここまで来ると好みのレベルである。

「個人的には〇〇が好みだったな〜」という意見はあると思うが、「〇〇が漫才ではない」とか、「〇〇は面白くない」とかは論点がズレている。
なぜなら、お笑いという芸術を比較して審査するなんてそもそもナンセンスなのだから。

だからこそ、このナンセンスな賞レースを審査をしてくださる審査員の方々の重みは半端じゃない。

人の人生を変えてしまうような選択を強いられているようなものだし、何言っても文句言われるし、絶対やりたくない仕事だよなぁ……。本当に感謝します。

何であれ、サンパチマイクの前に立てば無限の可能性がある漫才の世界。なんて興味深いのだろう。

尽きることのない漫才という芸術を、こんなに楽しませてくれる芸人さん達は本当に天晴れである。

そして、関係者の方々、こんなコロナ禍の中、M-1グランプリを開催してくれてありがとう。これがなきゃ年は越せないです!

最後に、毎年の賞レースで思うことを芸人の全員に送る。

ありがとう!!!
売れろ!!!
幸せになれ!!!


🌈最後までお読みいただきありがとうございます

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