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アメリカ入国審査で6時間拘束された話

こんにちは!おかゆと申します。このたび、会社を辞めて3ヶ月アメリカで暮らすことになりました。そのあたりの理由や経緯はおいおい記事にさせていただくとして、今日は入国審査で6時間拘束されたうえに空港に29時間足止めとなったお話をさせていただきます。

まず、今回のアメリカ旅は完全に遊びの渡航。海外慣れしている友人と2人で、観光ビザの期限(90日)ギリギリまでアメリカで遊んでやるぞ!という企画です。ちなみに同行者は30ヶ国以上の渡航経験があり、ボストンでの留学経験を持つ頼もしい友人です。

なけなしの貯金、退職前最後の賞与、退職金をフルバーストさせて憧れの海外暮らしを体験するぞ!と、はちきれんばかりの期待を胸にアメリカへ飛んだ私を待っていたのは、6時間の拘束と人生初の空港野宿でした。

なぜ6時間も拘束されてしまったのか?

まずは、「観光目的で3ヶ月の滞在」という異常な滞在期間。通常の旅行なら「入国目的は?」「観光です」「滞在期間は?」「8日です」「良い旅を!」で済むところですが、「滞在期間は3ヶ月です」と言ったとたん審査官の顔色が険しくなり、完全な不審モードに。問答無用でパスポートを取り上げられ、「質問させてもらう」と別室に放り込まれ、長時間拘束ルートに入ってしまいました。善良で無害でおなじみの日本人(しかも女2人)でも、こんなことってあるんですね。

私たちは滞在期間が主な理由でしたが、「書類に不備があった」「中東への渡航歴がある」など様々な理由で止められることがあるみたいですね。現在は、イラン・イラク・スーダン・シリアなどへの渡航歴があるとESTA申請の時点で拒否されてしまうようです。今回は、友人の渡航歴に中国・オマーン・ウズベキスタンがあったことも怪しまれたようでした。

あとは、「アメリカならではのゆるさ」で待ち時間が異様に長かったことも長時間拘束の要因かと思います。待合室では私たちと同じ境遇の審査に引っかかった人々がたくさん順番を待っていましたが、誰一人名前を呼ばれない時間がほとんどでした。質疑応答カウンターにはブースが7つあるのに、質問官がいるブースは常に2つか3つ。たくさんの人が理由も分からないまま待たされているのに、局員はのんびり雑談しながら仕事をしているように見えました。

私たちは部屋に入って2時間ほったらかしにされ、やっと質問に呼ばれたと思ったらその後さらに1時間待たされ、荷物を全検査されてからまた1時間待たされ、次に呼ばれたときにはスマホを取り上げられ、なぜか2回目の荷物検査を受け、また時間が空いたあと今度は友人の荷物検査を…といった調子でした。

いっぺんにやってくれよ!せめて一つ一つの検査を時間あけずにやってくれよ!と心から願いましたが、そうしている間にも私たちより後に部屋に入ってきた人たちがどんどんいなくなっていきます。同じ便に乗っていた日本人男性、旦那さんだけ審査を通ってしまって不安そうにしていた東南アジア系の女性、小さいお子さんのいる5人家族…同じタイミングで待ち始めた仲間たちも、いつの間にか私たちを置いて去って行きました。

娯楽は現地テレビのみ。「無」の時間が続く

この待合室に通された人間にとって何がつらいかというと、「電子機器の使用は一切禁止」というところです。最初それに気づかずスマホを取り出して操作してしまったのですが、「ヘイ!そこのジャパニーズ!」と強面ポリスに注意されて恐ろしい思いをしました。他の人たちも、少しでもスマホを開くとすぐに局員が飛んできて注意を受けていましたね。時間を潰せるものがないので、みんな虚ろな目で待合室のテレビを眺めていました。

「連れは審査を通過したのに自分だけここで待たされていて、連れの状況が分からない」「宿泊先に遅れる旨を連絡しなければいけない」「友人が空港まで迎えに来てくれているから連絡したい」
そんな人たちがたくさんいましたが、外部へ連絡を取ることは一切許されませんでした。テロリストなどの可能性があるのだから仕方ないとは思いますが、全く身に覚えがなく不安を募らせている人にとっては本当につらいですよね。私たちは、2人で待たされたことがまだ救いでした。友人と離れて連絡も取れず1人で6時間待たされていたら、不安に耐えられなかったでしょう…。

また、預け入れた荷物を取りに行けないという心配もありましたが、日本語を話せるJALのスタッフさんが回収して待合室まで届けてくれました。いつまでも回収されない荷物があったため、入国審査の待合室に確認しに来てくれたようです。航空会社をJALにして本当に良かった…。海外の格安航空だったら、そこまでしてくれたか分かりませんね。ただ、その荷物も即没収されてしまいましたが。

地獄の極寒待合室にて、震えて待つ

そしてフィジカル的にしんどかったのが、「待合室がものすごく寒い」ということ。欧米人と日本人では筋肉量が違うため、基礎代謝が全く違います。そのため、日本人からするとアメリカの室内冷房は寒いと感じることが多いんです。率直に言えば、あの待合室は極寒でした。地獄のような寒さでした。

没収されたほうの大きい荷物に服を入れていたため、上着を取り出すこともできず…。出国前に「滞在先は40℃超えですごく暑いらしいよ〜」などと言っていた自分が滑稽なほど、腕をこすりあわせて寒さに耐えながら、入国許可が下りるのをひたすら待ちました。

当然トイレも近くなりますが、「トイレに行っている間に呼ばれたらどうしよう」という心配のためなかなか立つタイミングが掴めません。しかも夕方になってくるとどんどん人が増えてきて、椅子は満席状態。立って待っている人がいるので、トイレに行ったら席を取られてしまうかも…。そんな過酷な環境でした。

なんとか入国許可が下りたけど…

質疑応答で聞かれた内容は以下のような感じ。ところどころ細かい追加質問もされました。
●どの都市に行くのか?
●お金はいくら持っているのか?
●アメリカ国内に友人はいるのか?誰かに会うのか?
●現在・過去の仕事は?何年その仕事をしているのか?
●(荷物を全て検査して)これは何に使うものか?
●もう1人の友人とはどこで知り合ったのか?何年の付き合いか?
さらにスマホやHDの中身を検査され、手荷物を全て広げてひとつひとつチェックされ、やっと解放されたときには泣きたくなるほど安心しました。しかし、入国許可が下りたからといって苦難が終わるわけではありません。

私たちが足止めされたのはロサンゼルス空港。ここで乗り継ぎを行い目的地の都市へ行く予定でしたが、予定の飛行機は当然とっくに出発してしまっています。「コレを見せれば無料で代替便を用意してもらえるから」と言って渡された書類は諸事情あって役に立たず、私たちは結局その後20時間以上ロサンゼルス空港から動けなくなるのでした…。その辺りのお話はまた別の記事にしますね。

これからアメリカへ行く予定のあなたへ

1週間ほどの旅行でしたらまず問題はないかと思いますが、何かの理由で入国時に拘留されてしまう可能性を考え、下記の準備をしておくことをおすすめします。

1.簡単な質問に答えられる程度には、英語でコミュニケーションが取れた方が良い
(スマホが使えないので翻訳アプリが使えない!)
2.グループの誰か一人が止められてしまったとき、どう動くか決めておく
3.上着はいつでも取り出せる手荷物に入れておいた方が良い
4.文庫本など、電子機器が使えなくても時間を潰せるものがあると良いかも

今回のことは、海外に慣れている友人も初めての経験とのこと。日本のパスポートは世界中どこにでも行けちゃう最強パスなので忘れがちですが、外国へ入国するというのは思っていた以上に大変なことなんですよね。
皆さんもちろん一般的なトラブル対策(海外旅行保険とか)は万全にして行くと思うのですが、今回のことは全く予想していなかったトラブルで本当に大変な事態になったので、こうして記事にしてみました。

ぜひ、海外渡航の際には「万が一」を考えて対策をしておきたいところですね!

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