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さりぼん
2023年7月9日 01:30
( 5 )月( 12 )日 ( 金 )あの人に言われたことを思い出す。「メイは、物事に意味合いをつけすぎるところがあるよね」って。確かにそうかもしれない。大学3年の頃に吸っていたタバコは、自分の恥じていたブルジョア特有の潔癖さから脱するための行為だと感じていたし、その時短く刈っていた髪の毛も、女性というラベルを取り外すことのできる手段と思っていた。そんな簡単なものじゃなかったけど。でもどう
2023年6月14日 00:02
家庭教師のバイトを終えて、上野毛駅から電車に乗った。大井町線から見える大岡山の商店街は、電灯が輝きすぎて目眩がする。目の前に座っていた女の人の組んだ脚が異様にグネグネしていて、タコみたいだと思った。隣のスーツ姿の男の人の読む本の文字は、ユリが10ページで挫折した本と同じ字体をしていた。携帯の充電がなくなって、人間観察にも飽きたユリは、半ばしょうがなく短編小説を紐解いた。江國香織の「
2023年6月10日 15:34
それは、なんの変哲もない木曜日だった。ただ、地面が少し浮いているような、そんな心地がして、ワタルは惰性のように駅に向かった。神保町。A7出口から、いつものようにすずらん通りに向かって横断歩道を渡る。今日はすごく、カフカが読みたい気分だ。本を読む時、内容じゃなくて、それを読んでいる自分自身を消費している気がする。太宰治を読むときの自分、ソローを読むときの自分、丸山眞男を読むときの自分… 今日