もらい事故

昔、「色々なことが起こるものだなあ」と思った時の話。
ある食品メーカーのカタログを、制作期間3か月にしてにめでたく下版した。
2万部印刷で月曜日納本の予定だったが、水曜日に印刷会社から連絡があり、刷り直しをさせてほしいと言ってきた。
文字が欠けている部分があるとのことだった。

営業づてだったので要領を得ない部分があったが、どうやらブランケットに問題が起きたらしい。
刷り上がり、箔押しも製本も終わった後に気が付いたようで、しばらくしてからそのだめなカタログを見ることができた。
なるほど、同じ位置に同じ形で欠けが確認できた
初めて見る現象だ。
一応印刷の工程は知識としては勉強したつもりだが、現場を詳しく知っているわけではないので、こういうこともあるのかと感心した。

が、「いやー印刷会社がやっちゃったもんで、ここはひとつ穏便に。ね?」では済まないので、しこたま怒られてきた。

2万部のごみができてしまった。地球にやさしくない。

うろ覚えだが、中島らもが著作でこんなニュアンスのことを言っていた。 

「印刷物は、誰かが必ずミスを起こす。写植屋さんがミスをする。写植屋さんがミスらなければ、製版屋さんがミスする。製版屋さんがミスらなければ、印刷屋さんがミスする。印刷屋さんがミスらなければ、製本屋さんがミスする。製本屋さんがミスらなければ、配送業者がミスする」

データを入稿したらそれで終わりと思っているDTPオペレーターが多いが、工程からいえばまだ全然途中だということを覚えておかないといけない。

という事を思った時の話。

フォロー・サポートして頂けると励みになります。