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成績不良者によるブルジョワ式な本での独学の心がけ、戦闘機と人工衛星での取材例を添えて

学習本という名のビジネス書や仕事の心がけへの所見

書店には、学習本という扱いかいろんな本が並んでいる。仕事の心がけ、というやつだ。役に立ったと感想を書いてる人たちはよく見る。

けれど彼らが活用できている事例を、ついぞ見たことがない。少なくとも同期や同僚では。みんな口を揃えて、実践するのは難しいと語っている。

でも、どうして実践は難しいのだろう?

このへんは作家じみた酔狂なことをしている者たちならよく知る、創作論と同根なのかもしれない。

共感しやすいぶん話題にしやすいんだが、役に立てようと思ったら、おそらくその本に書いてある通りにかなりちゃんとした資料、つまり専門書を追加で読む必要も出てくるはずだ。行動だけでは結果が覆らない事例が、どうしても出てくるから知識も必要になるわけだ。

ITにおいてもよくいえることで、エリック・エヴァンスのドメイン駆動設計が代表的だ。曰く、ソフトウェアを書く対象領域ドメイン熟練者エキスパートとの協業を前提に、ソフトウェアの本質的な複雑さに取り組む、というものだ。これらに失敗すれば、使いづらいソフトウェアだけが取り残される。ユーザー、そしてITエンジニアのどちらもが最も恐れる状況だ。

というわけで仕事を円滑に進めるには、このドメインエキスパートに、自分がなってしまったほうが早い、というのは誰でもわかる単純な話だ。一般的な言い方をすれば、それはプロになれるよう頑張るということだ。

プロを目指す、と言ったところで、いますぐ経験量は稼げないかもしれない。それでも知識の上でなら、彼らドメインエキスパートの語る言葉を知るのは、誰にだってできる。それらを人は、取材と呼ぶのだと思う。それらを通して学んだことは、仕事を円滑に進めるための、最も重要な道標となる。

で勇み足で大型書店か自分の住所で利用できる大型の図書館に行って探せばわかると思うが、見渡すだけで自分には縁のない世界だと怖気付くものだ。そしてパラ見して、自分は学校でも成績不良者だったから、とかそういったいろんな理由を並べながら本棚に戻し、それ以降専門書に触れることのないまま、人は一生を終えていく。資料は、その取材は大事だとわかっていながら、ドメインエキスパートや、プロになるという道をあきらめていく。

漫画も含め、毎月一冊本を買うことすら珍しいといわれる今の時代においては、これらの冗談も半分事実になりかねない。現代日本は大学進学率7割と言われているのに、あんなにみんなスタバで教材にかじりついているのに、奇妙なことだ。

みんな、間違いなく勉強はしているはずなのだ。少なくとも私以上に。

というわけで、せっかくなら専門書でも、自分が気になったのなら買ってしまいましょう。冒頭だけ読んで放置でも十分役に立つし、それなら実践は難しくないはずですわ〜、というお嬢様、もとい中産階級ブルジョワ式の本の買い方と読み方による学習方法を仕事の心がけ、という枠として紹介するのが、この仕事を円滑に進めるための、「成績不良者によるブルジョワ式な本での独学の心がけ」だ。

なぜ成績不良者のためなのかというと、自分がそもそも成績不良者だったからだ。どれくらい成績が悪かったかというと、高専をダブるくらいだ。

下から数えた方が圧倒的に早い人間が、案外どうにかがんばっているというのなら、皆さんも多少「自分もどうにかできるかも」と思ってもらえるはずだ。仕事の心がけ、という題材なのだ。ビジネス書のように、多少夢をもって書いたほうがいいだろう。

「戦闘機と人工衛星での例を添えて」と付けている通り、今回はほとんど情報が限られている戦闘機やロケットを題材に、そういった本を探すための試行錯誤を行う。以下の戦闘機もの兼人工衛星もの兼安全保障ものを書くための取材が目的だ。

紹介が遅れたが、私は学生時代から作家まがいの道に入り込み、現在は以下のようなジャンププラス原作大賞用の対金融犯罪系スパイ作品を書いたりとかしているプログラマーである。ちなみに私自身は金融系ではない。そしてこの戦闘機ものは主要人物がほぼ異なるものの、スパイ作品の続編にあたる。

ノベル版(完結済)

仕事の心がけ、という記事なのに、あえて自分の日中のIT仕事を例に取り扱わないのは、戦闘機や人工衛星に関しては基本的に素人なのでみなさんの共感を得やすくなるだろうと考えてのことだ。

可能な限りわかりやすくなるように頑張ろうと思う。

それと本業のIT仕事と変わらないアプローチを採用していて、仕事の心がけとしての要素は外さないので心配も不要だ。

ふつうの本屋さんはみんなが空想を楽しむための本を買うところ

ここでただ本屋に行けとか、図書館に行け、とか言わないのには理由がある。

本屋、と言っても千差万別だ。そして本屋さんも営利活動を通して私たちに本を提供してくれているわけだ。だから彼らは、私たちが買う可能性が最も高いであろう漫画を準備してくれている。小説もある。絵本も用意してくれている。

そうした空想をみんなが楽しむために本を買うところとして、提供してくれている。仕事の心がけが書いてあるビジネス書もまた、そうしたできる自分を空想するためのものでもある。

だからほとんどの本屋にはどうしても、買われる率の圧倒的に低い専門書はない。それぞれの専門化された職業の人のための、つまり直接仕事の役に立てることのできる本は、大抵の書店にはどうしても存在しない。

当然、私がかき集めた戦闘機やミサイル、ロケット関連の本もまた、最寄駅の書店では置いていない。少々オタク向けすぎるのだ。

その辺の事情は、それぞれの市町村にある図書館も同じだ。浦安ほどけっこうしっかりした図書館でないといけないわけで、それが可能なのは首都圏の図書館がほとんどだと思う。

とはいえもしマジで金がないのなら、デカい図書館に行って以下の内容に近いことをするのは手としてはアリだとはおもう。リクエストカードなどの制度で図書館に所蔵していない本の依頼を書ける制度もほとんどのところに存在するはずだ。多少時間がかかるとしても、他のその本が読みたくて困っている人の役にも立つだろう。

自分の直感を信じて大型書店に行って買う

そこで大型書店だ。八重洲ブックセンターくらいデカいところがいい。そろそろ閉店になってしまうので大変残念だが。秋葉原の書泉ブックセンターとか、紀伊國屋書店新宿本店もいい。有楽町の三省堂書店とか、お茶の水やラゾーナ川崎の丸善もいい感じだ。

地方にお住まいでなかなか難しい、という方は、Amazonでひたすら眺める方法も有効かもしれない。私も暇な時によくやってる。

専門書が山ほど積まれているので、そこで気になった表紙やタイトルの本の冒頭をちょっとパラ見するといい。それで少しでも気になったのなら、迷わず買う。

雑誌と本の中間、つまりムックであるイカロス出版の世界の名機シリーズは、大型書店であればだいたい置いてある。戦闘機のリアルな写真をまず知りたい、カタログスペックだけでも把握したいときには役にたつ。あといっぱい写真があるのがいい。

戦闘機と人工衛星とロケットへのSF的アプローチ

仕事の心がけ、というにはあまりに細かい話だが、実感が伴うよう、以下に詳しく戦闘機や人工衛星やロケットに関して書きたい。他の方が書くものと明らかに趣旨が異なるゲテモノ記事として、こんなふうにプログラマー、ITエンジニアはSF作家じみた作業をするときに資料を読み漁っているんだな、とどうか笑って読んでほしい。

私は戦闘機から人工衛星用ロケットを飛ばし、その人工衛星がスターリンクのような衛星通信システムとして地球上のすべてで運用可能となった未来、つまりみんながインターネットをやめられなくなった未来、というSFを書こうとしている。

人工衛星用ロケットはどうしても高くつく。戦闘機も高くつく。それならばいっそ、両方の計画を統合し、人々の暮らしに役立つインターネットを地球上のすべてで提供できる、という計画は現実味もあってSFにはもってこいというわけだ。

そんな人工衛星を飛ばすことができるとしたら、どの戦闘機が現実的に可能か調べていた。そのコンセプトにたどり着く前は、単純にかっこいいなと思ってF-35の本だけ買っていた。A, B, Cと派生するロボットアニメの量産機っぽさがいいのだ。

DARPAはF-15から発射させるALASA: Airborne Launch Assist Space Accessをやっていた。対人工衛星(ASAT: Anti SATellite)ミサイルの計画がかつて存在したF-15で人工衛星を上げるとは、相変わらず戦闘機の世界はかなりSFチックである。しかしのちに、小さすぎるロケット向け液体燃料の難しさのせいでプロジェクトは凍結したとされる。

戦闘機ミサイルに一般的な固体燃料だけだと、燃料を燃やすタイミングを制御できず、結果として高度35,000km前後といった途方もない高高度の人工静止衛星として載せるのが難しいため、調節ができる液体ロケットの部分が必要となるようだ。

そのへんの事情は以下の本などから推測が得られる。こうした設計系は超ニッチなのかどんな書店でもうまく見つけられず、Amazonで検索してポチるしかなかった。

旅客機にくくりつけて同じ様に人工衛星を飛ばすペガサスロケットというものは実在する。ただそれでもF-15などの戦闘機で飛ばせるくらい小さいやつでないといけない。

けれどスターリンク用人工衛星と同じくらい、つまり高度500km前後の低軌道でいいのなら、衛星を直接軌道に送りつけるダイレクトアセント法であればギリギリ現実的なラインに近づく。

現在開発中とする架空機の開発スペックが、こうした試行錯誤で定まるかもしれない、と考えた。そのために能力が高いものからコスパがいいものまで戦闘機の本を見比べる必要がある。

これらの先進的な戦闘機はだいたいがスカンクワークスと呼ばれるロッキード・マーチン社のチームのなかで開発されてきた。トップガン マーヴェリックでトム・クルーズが冒頭に乗るマッハ10航空実験機、ダークスターのモックをつくり、リアルに航空機最速マッハ3のをつくりあげたところだ。

そのスカンクワークスの伝説的な設計者、ケリー・ジョンソンの回顧録もあるので買い集めている。

こうした本を読み進めるなかで、取材を重ねるなかで、戦闘機から人工衛星を飛ばすアイデアなどが出てくる。

そうしたアイデアに至るためには、結構な手間がかかる。けれど、ここまで答えが見えれば仕事は円滑に進み始める。何を学べばいいかが見えてくるし、単純な作業に落としこんでも問題がなくなっていく。

仕事の心がけとして考えれば、学ぶと言うことは前に進む方向性を決めるためには何よりも重要なことなのだ。

本の中身と値段と心がけ

ロケットの設計本もそうだが、ちょっと何書いてるかわからなくたって問題ない。どうせ買ってから別の本をしばらく読んでからしか、わかることはない。成績不良者ならばこそ、自分が無知であることに自覚的に取り組みやすいはずだ。

ムックでない場合、一冊3000円からスタートが基本で、基本は4000円、医学書になれば5000円でも安めなほうだ。だから値段は気にしないほうがいい。気にするのなら、給料日やボーナスの時にやるのがおすすめだ。ちなみに私は年がら年中発動して自宅の本を400冊以上にしてしまった。おかげでいま本棚と貯金は爆発している。

おいおい急にそんなお利口クレバーなことまくしたてられても……と思うのなら、ちょっとでも読んでいる自分がかっこいいと思えるかどうかを基準にしたっていい。形から入るのだって別にいいのだ。学習によって理想と違わぬ自分になることもまた、どんな人にだって与えられている、学習する権利の範囲内だからだ。

そして自分の身の丈に合わない本を買うついでに、入門とかついている本とかも一緒に買っておくといい。実際いい本が多いし、用語集として利用できる。私も完全に専門外の本を買う時はよくやってるやりかただ。ない場合は資格本でいい。あれ単体だとなぜか相当眠くなるものだが、用語集としては優秀だ。

入門関連の本が見つけられない時は、同時にブルーバックスのコーナーを探して足を運ぶといい。そこにはそれぞれの専門家が、かなりわかりやすく紹介してくれているケースが多い。宇宙関連もブルーバックスの本で私は理解したところが大きい。人工衛星の数字のスケールが皆目検討がつかなかったとき、かなりお世話になった。


行った先の本屋で買う心がけ

で、どうかお願いだから、行った先の本屋で買ってほしい。4000円とかの値段に怖気付いてスマホで中古の本を探すのはナシだ。

大型書店は私たちのために、わざわざ利ざやの少ないだろう本を置いてくれている。彼ら書店の人々の苦労に報いなければ、大型書店は専門書を置いていられなくなってしまう。適切な取引は、他の人と共に暮らすためにも、なによりも大切なことだ。

お金がなくて困っているのなら、ブルジョワ式、中産階級式な本での独学方法を謳うからこそ、ぜひ前述した通り図書館にリクエストカードを出すなどしてみんなで読めるようにしてほしいと私は思っている。

いかなる経済状況の人々も、法のもとで平等に人々と契約しあい、関わって暮らしているのがこの実験的な現実だ。だからこそ、高価なもので、買えない人がいるというのなら、共同の資産として有効活用するべきだと本気で思っている。そうした高価なものの適切な取引を私が心がけるように訴えるのも、そうした理由だ。わずかな価格差に一喜一憂する、そんな野放図で強欲なギャンブルゲームのごとき世界では、人は日々を暮らしてはいけない。

値段や冊数とかいう数字をケチるなら、いますぐ学習や仕事の心がけとかいう面倒なマントラなんかやめて、みんなが楽しんでいる漫画や小説を一冊ずつ新品で買って読むところからはじめてほしい。映画を楽しんでほしい。

漫画は1000円以下でほぼ確実に買える。小説だって2000円あたりでだいたい買える。映画も2000円前後で見られる。空想の世界はとても面白い。私はそう本気で思うからこそ、以下のような感想記事としてもたびたびまとめている。自分語りが多く、話が長いのはすまないと思っている。

数字を気にする人に必要なのは専門知識ではない。たぶんみんなの暮らすこの世界へ思いやりができるくらいの、余裕だ。一種の冗長さと言ってもいい。自分の周りのことを想像できるようにするための、当たり前のようでなかなか習得の難しい力だ。

当然休息も必要だし、そうした余裕を空想の世界を通して手に入れることで、自分の周りにいる人々ともっと話せるようになることで、学べる範囲はかなり広がる。

冒頭だけでもいいから読む、そして本棚にしまい放置する

分不相応な本を買ってしまったのなら、ここからが本番だ。
まず冒頭だけでも読むといい。

なんでかというと、いい本ほど冒頭がかなり全体像を示唆するような内容がほとんどだからだ。そこを読んだだけで頭がよくなった気がするなら、もはやそれで完璧に近いだろう。

そのあと、余力があれば目次に目を通しておくといい。だいたいわけがわからなくなっていくはずだ。

そして最後に、気力が続く限りで読み……そして本棚にしまって放置してしまって構わない。

なんて金の無駄なことをしているんだと思うかもしれないが、実はこれでやっているのは知識のインデックス化のようなものだ。これが人力検索システムをつくりだす。

誰かがTwitterで言っていた。いまやGoogle検索は、ググれカスの時代から、ググってもカスの時代に突入してしまったと。

Googleがあなたの友達(Google is your frend)、とみんなが気に入らない人々を追い払うために言い続けた結果、Googleとそれに群がる人々は、そんなかわいそうな人たちを食い物にするように、営利目的が先行する役に立たない検索結果をつくりだしてしまった。人をのけものにしてきた私たちにも、責任があるのだろう。

おかげで技術的なリファレンスを調べるときは公式サイトの名前を付け加えたり、詳細な状況を知る時は省庁などの信頼できる機関の名前も突っ込んだり、Googleではなく、そのほかのSNS上から検索フレーズを叩く悲しいハックがこの世に生まれた。

こうなると、かつてGoogleが慈善活動でしていたことを自分達の手で果たすしかない。だから専門書を自分で買ってきて、冒頭と目次だけでも読んでストックしろ、という話になってくるわけだ。まあ、Googleも費用転嫁しきれず広告まみれにしたのだから、いずれ自分達でやりきるしかなかったのだろう。私たちはGoogle検索を卒業するときなのだろうか。

とはいえ冒頭を読むだけの作業はどれだけ本を買っても2~3時間以内には終わる。一時間あたり20~40ページしか本が読めない自分がそうなのだから、むしろみなさんはもっと早いはずだ。

攻略サイトをみるように必要なときに本棚から引っ張りだし、調べる、そしてまた本を買う

本格的に本を読む時は、だいぶあとだ。割と真面目にやっていても数ヶ月後とかはよくあることだ。けれどもうみなさんはGoogle検索に完全依存する必要はなくなっている。むしろGoogle検索をより有効活用できるようになっているだろう。

どういうシチュエーションで読むかといったら、話作りなら作品のコンセプトを本格的に考えないといけなくなったとか、ITシステムならドメインロジックを把握しないとコードが書けなくなったとか、絵なら詳細な構造を理解しないと描き進められないとか、そういう感じだと思う。それらはすべて、学ぶための動機として完璧に近い。能動的にやれるなら、それに越したことはないからだ。

資格を取らないといけなくなってる場合も同様だ。資格本は用語集としては機能しても詳細が書かれていないケースは残念ながら多い。

自宅のライブラリから漁り出し、必要な事項を探し出す。目次や索引から、必要な項目だけ読んでまた本棚に戻すだけでいい。それで集中して本を通読できるようになったのなら、間違いなくあなたの成長の証といえるだろう。

それでわからない単語があれば、それを調べるためにまた本を買いにいくといい。あるいはAmazonで詳細な単語で検索ができるようになっているはずだ。先のロケット設計の本はそうして購入した。

こうして情報をすぐ補完するために本を買っておいてストックしておく、追加で買い求めるというのは非常に効果的だし、理解も早い。

私はこのやりかたでしかITの世界、特にOSSの豊かなソフトウェア資源の使い方を把握しきれなかった。世界が広くて自分が理解しきれないのなら、教えてくれる人に頼るより本に頼るほうが非常に効率的だ。

学ぶということの難しさ

書くまでもないことかもしれないが、そもそも学習というのはどうしてもコストがかかる。これだけ仕事の心がけとして必要な最も重要なものだとして、みんなから気づかれているはずだというのに。

誰かに学費とか授業料とかレッスン料を払ってやるようなものが高価なのも、先生たちはそれらを糧に暮らしている以上、仕方がない。

会社のなかで誰かに教わることが最も効率的とはいえど、誰もが苦労しているんじゃないだろうか。私もそのひとりだ。

人によって言うことも違うし間違ってることもある。だから教わることは難しい。そして教える場合も、人によってどんな話題であれば覚えやすいかは千差万別だ。だから教えるのも難しい。

誰かから教わることに関し、大学あたりを基準にしたとする。年間でだいたい30万円~150万円かかるケースが多いと思われる。

私の卒業した高専も公立といえども1ヶ月あたり2万円、年間で24万円の学費は支払っていたが、国が負担してくれている範囲が大半を占めているはずだ。国からの支援を得られない教育やレッスンの類は、より高い値段になるのは想像に難くない。

その価値を本で買える値段で換算すると、
年間30万円 = 専門書3000円 * 100冊ぶんの機会費用となる。

そんな100冊ぶん以上の価値を学校のような10人前後のごく少人数の関係者が出すのは、いまのところはまだ難しいのかもしれない。

高専ですら、参考書は年間10~20冊前後の本でなんとか教えてもらってた記憶があるし、結構先生に手加減してもらっていたはずだ。なのに私は詰め込み教育だと疲弊していた。ぜいたくな悩みだった。

けれど現在400冊以上の蔵書を抱えるいまの自分を考えれば、十分価値があったと思う。

大学の卒業生や研究者、教授であったとしても、その人が本100冊分の価値を上回る教育をするのは、現代においても至難の業だと考えられる。

本の一冊一冊が、そうした大学の卒業生や研究者、教授も含めて必死になって書いて出して、みんなにシェアすることでひとりあたり30万円とかを払わずに済むように3000円という価格になるように努力する、それが本の業界だと私は考えるからだ。

どうせなら、たったひとりの話より100人の話を聞いてみよう。冒頭を読むだけでだいたいそれらは理解できる。100人の話をリアルで聞くのはキツいが、自分が興味を持って買った本なら別に自分のペースでどうにかできる。

人が何を望んでいるのかを理解する。そして新たに学び、その結果を再実装をもってシェアしていく。

仕事を円滑に進めるための、成績不良者によるブルジョワ式な本での独学の心がけの目指す究極の行動目標はそこにある。この行動目標こそが、私にとっての仕事の心がけでもあるのだ。


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