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鬼の住処 岡山~出雲 その2

四国の香川県から海を渡り岡山県は総社市へと独り旅。
鬼の住処とされる〝 鬼ノ城 〟へ向かうが、狛犬の助言によりぼんろ未踏の地島根県は出雲大社へと行先を誘われるのであった。

キャンピングカーでもBOXワゴンでもない普通カーで車中泊するぼんろ。真夏の熱帯夜を甘く見ていました。朝方2時間くらいは寝れたかな?っていうくらいそれ以外の時間はもう暑くて暑くて何度も何度も目が覚めちゃって、たまらずコンビニで氷袋を買いましたよ。その氷をタオルでくるみ抱き氷にしていないと耐えられない状況でした。
しかしこの場を無料提供してくれてる道の駅には感謝しかありません。ありがとう道の駅よ! 一期一会!

とりあえず高速道路には乗らず下道で中国山脈に沿うように西へ走り、一旦広島県をかすめてから北上するルートで行く。ゆっくりとその土地や風景を味わうのが私の独り旅ルールであります。


まるで天の啓示を仰ぎ待つかのような姿の狛犬がいるという広島県のS神社
に寄ってみることに。
辿り着くや否や、境内の階段を小さな白い獣を従えた老婆が降りてきてこう言い放ったのである。
「 かなやごさん 」

・・・え? かなやごさん・・ですか? いえ・・僕はぼんろです。あなたはシャーマンか何かなんですか?その言葉が天からの・・啓示なのですか?シャーマン婆はそれ以降何も言わずルーティンらしい階段の昇り降りをもくもくと始めた。どおやら足腰の運動っぽい。境内を走り回っている小さな白い獣はよく見るとシーズーに似てるような・・・? お散歩だったみたいね。

「ヤマタノオロチ」「かなやごさん」「出雲大社」
果たしてこれらのワードの意味するものとは・・一体・・・?

北上ルートで通る奥出雲町、雲南市は「もののけ姫」のロケ地でもあり昔の製鉄所〝 たたら場 〟跡が沢山あるらしい。ふ~ん・・初めて行く不慣れな道ゆえ距離感と時間が上手く読めない。迷子迷子で日が暮れるのが怖かったので結果、奥出雲町の「奥出雲たたらと刀剣館」と吉田町の「菅谷たたら山内 生活伝承館」に行ってとりあえず分かった気になるお勉強をすることに。

中国山脈自体広範囲に砂鉄や良質な木炭が取れるみたいで、幕末ごろが最盛期だったらしい。おや?館内の記事では製鉄を生業とする一族、企業はこぞって金屋子信仰を持つと書いてあった。・・・金屋子?・・かなやご・・さん?急遽、広瀬町にある金屋子神社に行ってみることにします。

山奥ながら少し余裕のある駐車場
参道にはノロ・ケラ( 製鉄の際に出る不純物の塊 )がごろごろんと立ち並ぶ。
「俺らはよぉ~嫌われてっからよぉ~」

金屋子神社の狛犬がいきなり愚痴り始めた。

「お前らのせいで川が汚れる!とか、ヤマタノオロチが来る!とか難癖つけられてんのさぁ」
「 ヤマタノオロチが現れたのはお前らが呼び寄せて来たんじゃねぇのか!?」
「ってか、俺らザ・ピーナッツじゃぇっつうんだよ!!なぁああ!!」

あ・・・でも、実際川上で砂鉄をこし採る際に大量の砂が下流に流れ行くので川底が高くなって氾濫し易くなるって話を聞いたんですけど・・・

「斐伊川のことは大社となしつけてんだから尾を引く言いがかり辞めて欲しいんだよなぁ・・・」まだまだ小言が続きそうだったので差し入れマミーを渡しその場を離れることに。
後方で「・・・懐かしいなぁ・・ママぁ・・・」と聞こえてきた・・・。

奥出雲から宍道湖( ほぼ日本海 )まで流れる斐伊川。要はこの川の大氾濫による猛威をヤマタノオロチの姿に重ね伝説と化していたみたいだ。
しかもその先にあるのが・・出雲大社!
さぁ、いくぞ!!

――― その3( 完 )続く ―――

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