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Creepy Nutsに彼氏がハマっている話
随分と前からCreepy NutsというHip-Hopユニットにハマっている。もうハマっているなどという次元を超えて、聴く音楽としては常連となっている。
Creepy Nuts(R-指定&DJ 松永)
MCバトル日本一のラッパー「R-指定」とDJバトル世界一のDJ、「DJ 松永」による1MC1DJのHIP HOPユニット。
業界屈指のスキルを持つこの2人だからこそ実現できる唯一無二のライブパフォーマンスは必見。
-Creepy Nuts オフィシャルサイトより引用
私とCreepy Nutsの邂逅は、音楽を通してではなく、彼らがパーソナリティを務めるラジオを通してであった。
当時、というかいまでも大好きな『きつねくんと先生』という漫画を書いている園田ゆり先生が自身のTwitterでCreepy Nutsの布教をしていたことがラジオを聴くきっかけとなった。
※『きつねくんと先生』は読む森林浴です。めちゃくちゃに癒されるので読んでください。
まず、ヒップホッパーというとどんなイメージであろうか。ピアスめちゃくちゃ開いている(ペットボトルのキャップくらいの大きさのやつ)、酒、ギャンブル、女……偏見も甚だしいがすべてが厳つくてゴツゴツしているタンクトップのシルバーアクセサリージャラジャラつけてサングラスかけて、キャップ帽子を逆に被っている。
そんなイメージだ。
よくCreepy Nutsのラジオでも登場するZeebraさんも写真だけ見るとちょっと怖い。本当はめちゃくちゃいい人だけれども。
呂布カルマさんは最初見たとき、ストリートファイターに居そうなキャラだと思った。絶対に腕が伸びるパンチを得意とするキャラだ。Twitterを覗くとAV女優のリツイートがちょいちょいあって、なんか信頼できると思った。
Creepy Nutsはそんなヒップホップのイメージを覆すちょっと卑屈で、いわゆる陽キャラに対する思いを拗らせた2人だ。
そこがいい。
ラジオを聴くと分かるのだが、Creepy Nutsのラジオは男子高校生がファミレスとかファストフード店でグダグダ、ドリンクバーだけ・ポテトだけ頼んでずっっっっっと話し込んでいるような感じだ。
朝マックや期間限定バーガーが年中、時間を問わず食べられるように「闇マック」なるものを営業させる(妄想の)話や、宇垣美里アナウンサーにめちゃくちゃDJが上手いアピールする回など、そのくだらなくてまっすぐな男子高校生を思わせるラジオに毎週お腹を抱えている。
そんなCreepy Nutsの魅力に現在進行形で取り憑かれ、精神的にも肉体的にも関係を持っている者がいる。
彼氏である。
私がジブリ作品を勧めても一向に観ないのに、Creepy Nutsを聴かせたら、その3日後には「よふかしのうた〜!」と歌い出すようになってしまった。
しかも、去年の暮れに彼氏が「よふかしのうた」にハマったため、温泉旅行で大分県に行ったときも道を歩きながら「よふかしのうた〜!」と急にアカペラが始まり、R指定パートとDJ松永の合いの手パートに分かれて歌い出すはめになった。
楽しかったので良いが、往来で急に歌い出し、小躍りしながら温泉地の道を歩いているカップルは、さぞ不気味であったろう。
そんな彼氏であったが、最近になってまたCreepy Nutsが再熱したらしい。
ある日、急に「おれ、ワイヤレスヘッドフォンが欲しい。」と言い出し、一緒にヨドバシカメラへと向かった。
彼氏はかなり用意周到で、ウォークマンを持参していた。どうやら、実際に試し聴きをしつつ、音の善し悪しを判断し購入するつもりらしい。
「やはり、こういうところで性格が出るなあ、几帳面だよなあ」と思った。何故ならば私は、直感とデザイン、値段で買ってしまうからだ。
案の定、私に
「音楽入れてきた!これで試し聴きする!」
と言った。
私は素人ながら、
「あぁ、重低音とかよく聴こえるやつが良いよね。」
と言った。
「これで聴いてみる!」と意気揚々に彼氏がウォークマンを差し出した。画面を見ると、『板の上の魔物』というCreepy Nutsの曲が表示されており、これには「エッ?Creepy Nuts??」と声が出てしまう。
あの、ベースとかドラムがすごいやつじゃなくて?いや、Creepy Nutsはすごいけども。
私の困惑をよそに、手際よく彼氏はBluetoothを繋げている。音楽の再生ボタンを押してヘッドフォンをかぶると、リズムに乗り始めてしまった。
ここはクラブではなく、ヨドバシカメラの2階である。
しばらくすると、「おー!すごい!ね!聴いて!」と言いながらヘッドフォンを外し、私にヘッドフォンを手渡した。それを着けると、Creepy Nutsの『板の上の魔物』が流れ出す。
うん、まあ、音が綺麗ね……
そんな感じで聴いていると、彼氏が「ね??!すごくない?!」と興奮していた。
「音は聴こえるけど、こう……ノイズキャンセリング機能がめちゃくちゃ働いていて良いってこと……?」と聴くと、
「違う違う!DJ松永の『ハッ!』って合いの手がちゃんと聴こえるくない??!!!?!?!?!!!」
彼氏は重低音でもノイズキャンセリング機能でもなく、「Creepy NutsのDJ松永が織り成す合いの手が如何様に聴こえるのか」を良きヘッドフォンの判断基準としていた。
これには、さすがの私も売り場で大笑いしてしまって、もう1回聴かせてとお願いし、ちゃんと聴いてみる他なかった。DJ松永は確かに「ハッ!」と言っていた。
私たちはその後1時間くらいヨドバシカメラの2階、ヘッドフォンコーナーのワイヤレスヘッドフォンをCreepy Nutsの『板の上の魔物』で聴き比べをした。
もちろん、判断基準は「DJ松永の合いの手『ハッ!』がちゃんと聴こえるかどうか」である。
1時間もヘッドフォンコーナーでケラケラ笑っているカップルはたいそう怪しく見えるのか、途中警備員さんが周りをうろついていたが、こちらは『ハッ!』の吟味中なのである。
その後、無事ヘッドフォンを購入した彼氏は、帰り道すごく嬉しそうな顔をしていた。
毎日、そのヘッドフォンで歌を聴いているのだろう。電話をするたびに、Creepy Nutsの歌詞のどこそこがいいという話をよくする。ラジオも聞き出したらしい。
『生業』の歌詞がすごい。フリースタイルダンジョンの動画をみたけどすごい。俺には絶対にできない。DJ松永は面白くて、DJしている映像も見たけどすごかった!
などなど、こんな話をいつもしている。
ある日、電話をしていると、私のほうの洗濯ものが終わったため
「洗濯物干してくるから待ってて」
と声をかけた。
こういう相手が珈琲を入れるため、トイレに行くために席を立つということはしばしばあるため、「分かったー!」と彼氏が返事をし、私はベランダへ洗濯物を干しに行った。
時折、彼氏の笑い声がする。
戻って、なにしてたの?と聞くと「R指定のバース集見ていた」と言う。ついに暇つぶしに、バース集まで観るようになってしまった。
彼のCreepy Nuts好きはますます加速している。
自分の好きを共有して、こんなにハマってくれるなら良かった。なぜ、ジブリ作品は観ないんだとは思うけど。
私は彼氏から『エリートヤンキー三郎』を読んで!と言われている。少し読んでみたが、3話くらいで読むのをやめてしまった。
「ちゃんと読んでるの?!どこまで読んだ?!」と彼氏に詰問され、全く読んでいないが、
「えーとね、あの〜……三郎?がダンプカーに追いかけ回されるところ〜……そこらへんまでかな〜」と適当に答えたら、本当にその場面があるらしく
「えっ?!結構読み込んでない?!!?!」
と言われてしまった。すまなかった。
試しにフリースタイルダンジョン(偽)を開催したら、普通に「悔しい」と言われてしまった。
そんなことでは、フリースタイルダンジョンでストレート負けしてしまうし、もし、近いうちにマイクを通じて言葉が精神介入してしまう世界になり、ディビジョンラップバトルをしなくちゃいけないようになったらすぐに重症を負ってしまう。
まずは、彼氏を一流のヒップホッパーに育てなければなるまい(決意)
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