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デジタル終活時代に提案する、エンディングノートではなく、エンディング・ドキュメントを書いてみた話。

精神保健福祉士の和賀です。

エンディング・ドキュメント??なになに?
エンディング・ノートでしょう、と思われるかもしれません。私は生来の天邪鬼なので「エンディング・ノートを書きましょう!」と言われると、何だか嫌だなあ、書きたくないなあと思ってしまうのです。

また、終活にまつわるご相談では「実家にエンディングノートを書いて欲しいと置いてきたけど、次に行った時にはそのまま置いてあって!書いてくれないんです。」というお話を聴いたり。

あるオンラインの終活に関する講座では、「そもそもエンディングノートすら、親に話を出すのが難しい…」「たまにしか行かない実家で、久しぶりに会う親に直接言うのは勇気がいるので…」というお声が多かったのです。確かにいきなりエンディング・ノートを渡すのは勇気がいると思います。

亡くなる順番は決まっていない


まずお伝えするのは、皆さんのお話の多くは自分より先に親が亡くなるという思い込みがあることです。直接的な言い方になりますが、亡くなる順番は決まっていないのです。「親に先立つは不孝」という諺がありように、あってはならないことという考えが前提にあると思います。私自身も母よりは先に死にたくないと願っていますが、これが叶うかどうかはわかりません。そういうお話をするとハッとする方が多いのです。

さて、エンディング・ドキュメントは私の勝手に作った造語です。


これを思いついたのは、私の両親が海外旅行に夫婦で行く時に必ず私に貴重品のありかなどを分かるようにしてくれていた経験からです。

私は一人っ子で、近所に親戚は住んでいません。というのは典型的な核家族で、遠くの親戚より近くの他人、という関係性で暮らしていました。両親がもしも海外旅行中に亡くなった場合には、1人で全て行わなければなりません。

両親が夫婦で海外旅行に行くようになったのは私が大学生になった時からで、毎年1~2回行っていました。出掛ける時には、「二人が死んだら、このメモを見て対応するんだよ」と父が封筒を置いていってくれました。

結局、海外旅行で亡くなることはなかったのでその封筒を一度も見たことはありません。また、そのメモの作成過程や詳細な内容も知りません。それを開けることは「亡くなった後」という想いが私にはあったので、願掛けも含めて見ないようにもしていました。

この経験を他の人に話をすると、とても驚かれます。私はこの経験はとても記憶に残っていて、もちろん平時に貴重品のありかやその他重要な事を全く話していない、という状態ではありません。とはいえ、家の権利書やその他両親の全財産を常に把握するのも子どもながらに重荷にもなります。大体把握している程度で充分かもしれませんし、その時の家族の状況によるので何が正解かはわかりません。

Googleドキュメントを「エンディング・ドキュメント」に使った私流デジタル終活


今回、私がエンディング・ドキュメントを作成したのは、子ども2人が大学生となり、子どもが生まれてから初めて夫婦で海外旅行に行くタイミングで思いつきました。ノートでも良かったのですが、単に面倒だなあと思って書きやすいツールは何だろうと考えた時に、Googleドキュメントを使おうと思ったのです。

いざ書いてみると、意外と時間もかかるし書けば書くほど「あれもこれも」となっていきます。実際に自分でやってみて本当に時間もかかりましたし、何だか疲れるなあと思いました。とはいえ、もしも夫婦で海外旅行先で亡くなったら子ども達が何もわからない状態もかわいそうだと思い何とか最低限書き出しました。具体的な暗証番号や通帳の残高までは入れませんでしたが、貴重品の場所のありかなどはGoogleドキュメントを共有後、一緒に確認しました。子どもはその場所を写真に撮っていたりしました。

ちなみにこのGoogleドキュメントの名前は「二人が死んだらやることリスト」でした。ちょっと直接的過ぎるなと思い「エンディング・ドキュメント」と書き直そうと思っています。

実際に、書いてみるとSNSのログインID、もしも亡くなったらSNSで亡くなったことを告知して欲しいとも書きました。ただ、文面までは書かなかったので次までには文面も書いておこうと思いました。今は、年賀状などのやり取りがなくなり、ほぼSNSでの交流が主になっています。また、仕事関係もSNSをはじめ、メールが主になっており、特に私は組織に所属していないこともあり自分が発信しない限り存在が不明になります。組織に所属する夫の方は職場の連絡先を書きました。生命保険その他、書いてみると本当にたくさんあるなと思います。

ちなみに、Facebookなどは追悼アカウントという機能があります。

さて、今回書き出してみて思ったのは、1回書いて完成しないこと、随時訂正が必要になることです。ノートよりは断然Googleドキュメントの方が使い勝手も良いなと思います。それは、旅行前に子ども2人のメールにGoogleドキュメントの共有リンクを送りました。そして無事に帰って来れたので、共有リンクは外して今は自分だけが見れる状態です。

エンディングノートを書いておいて、と実家に置いてくる、または渡すことは比較的やられている方はいるかもしれません。その後、そのノートに書きこまれているどうか確認はしているでしょうか?年齢を重ねた両親に一方的に「書いといて」はもしかしたら乱暴なことかもしれません。

日々コミュニケーションが取れていれば必要がない


ちなみに、私は母にエンディングノートを渡していません。近居ということもあり、よく行くので何がどこにあるのか日々話をしています。なのであえてノートに書く必要がないのです。そもそもエンディングノートがマストなのではなく、あくまでも補助的なもの、もしくはそもそも必要がない場合もあります。

それは、日々コミュニケーションが取れていれば必要がないからです。とはいえ、それが出来ないからこそエンディングノートが注目されている。ではエンディングノートをきっかけに、両親と少しだけ少しづつ話をしながら書いてみる。それにはまず自分が始めて見ることをお勧めします。自分が書かないでおいて、相手に求めるのも筋違いだと思いませんか?

少なくとも私は今回自分でエンディング・ドキュメントを書いてみて、簡単ではないなあと感じました。そして「死」に向き合うことすらしていない、「死」を想像するのも嫌だと思う人には尚更、エンディングノートを書くことは嫌だと感じると思います。

エンディングノートを両親に書いて欲しいと思うのであれば自分が書いてみる


是非、エンディングノートを両親に書いて欲しいと思うのであれば自分が書いてみること。そして、1人で取り組むのでなく誰かと話しながら進めること。もしくは、何度も話していればそもそもエンディングノートに拘らなくても良いこと。色々なバリエーションを持って欲しいなと思います。

みんながやっているから「書く」「書くべきものだ」ではないのです。その前に日常で確認できることや方法はたくさんあります。


  • 自分でエンディングノートを書いてみる。

  • 自分が書いたことを伝えてみる。

  • そして、エンディングノートの完成に拘らず、まずは話してみる。

  • 話すのさえ難しいのであれば、それはまた違う方法を考えてみる。

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