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米国? 全世界? 株式投資界隈のあるある2択問題。

株式投資に関するブログやyoutubeや書籍を漁っていると、だいたい似たような2択問題を多くの人が扱っています。これはつまり白黒を簡単につけられる問題ではないから盛り上がれるわけで、それぞれの人がそれぞれのポジショントークで解説しています。

複数の動画や記事を見直すのも難儀なのでよくある2択をひとまとめに、私のポジショントークで解説してみようと思った次第です。ちなみに私のポジションは「消し飛んでも心穏やかでいられる金額を時価総額加重平均型株価指数に連動する手数料の安い全世界に広く分散された投資信託にできるだけ長期間突っ込んでおくインデックス投資」です。

楽天証券 or SBI証券
NISAやiDeCoの口座をどこで開設するかの議論。最近いろいろな証券会社が出てきているので現時点ではこの2択ではないのかもしれません。NISAについては楽天ポイントを貯めているなら楽天証券が推されている印象でした。iDeCoについては商品ラインナップの豊富さからSBI証券が推されている印象でした。私はよく調べないままNISA口座をSBI証券で開設してしまいました。当時は「もっと調べてからにすればよかった」と思いましたが、楽天のポイント制度は改悪され、SBIのポイント制度は改善されたので、結果オーライとなっています。ポイントは水物。目的の商品を安い手数料で取り扱っているかどうかで決めればいいと思います。

個別株 or 投資信託
個別に買うかどうかの議論。個別株は自分で直接株を買うのに対して投資信託はファンドにお金を預けてファンドが株を買います。投資信託はお弁当屋さんに例えられたりしています。好きなおかずが好きな配分で入ったお弁当が売っていればそれを買えばいいのです。投資信託ではたくさんの人からお金を集めて具材を大量に買って目的のお弁当を作ります。これが個別株でお弁当を作ろうとすると、好きな具材でお弁当が作れる代わりに、ある具材だけ高くて手に入らなかったり、ある具材だけ量が多すぎたり少なすぎたり、なかなか理想のお弁当を作ることができません。私の場合は全世界に分散しているので具材の種類が桁違いに多く、とてもじゃないですが個人による個別株で再現できるものではないため、投資信託一択です。投資信託には大き上場されているものとされていないものの2種類があります。上場されているものはずばり上場投資信託で、投資関連の情報を集めていると別の呼称であるETF(exchange-traded fund)という言葉をよく目にすることになります。考えることが少なくてラクなのは上場していないほうの投資信託です。ラクなぶん手数料はETFよりちょっと高くなっちゃいますけど。個別株と投資信託は必ずどちらかを選ばなければならないわけではないので、お弁当を買いながら足りないおかずを個別で足している人もたくさんいるんだろうなと思います。個別株オンリーは冒険者。

アクテイブ運用 or インデックス運用
市場平均に満足できるかどうかの議論。インデックス運用とは、投資信託の中で時価総額加重平均型株価指数などの指数に連動させて株を売り買いする運用です。効率的市場仮説などの前提のもとであれば長期運用で市場平均のリターンが得られるとされています。自分の意思が介在しない受け身なのでパッシブ運用とも言われます。そのインデックス運用を上回るために知識と経験を活かして立ち回るのがアクティブ運用です。アクティブ運用をすれば必ずインデックス運用を上回れるのかと言えばそんなことはありません。個人的には投資が趣味で投資が好きな人が選ぶ挑戦者の道であると思っています。たまにインデックス運用のETFや投資信託を複数保有してインデックス運用は安心だからねと主張している人を見かけますが、保有バランスを考えて常に維持できていないと、それはインデックス運用の商品を使ったアクティブ運用です。

インカムゲイン or キャピタルゲイン
配当がほしいかどうかという議論。インカムゲインとは配当や株主優待など株を保有したまま受け取る利益のことです。キャピタルゲインとは株の売買によって得られる利益のことです。株価は上がらないけど配当が1%貰える株と、配当は貰えないけど株価が1%上がる株は、だいたい同じです。よく「現金で貰えるかATMに振り込まれるかの違い」と例えられます。インカムゲインの使い道が美味しいものを食べるとかのご褒美的な消費ならば配当でいいと思います。一方で、使い道が株式投資の最大の旨味である複利を活かすための再投資ならばキャピタルゲインでいいじゃんと思います。キャピタルゲインだと美味しいものが食べられないのかと言えばそんなこともなく、キャピタルゲインであっても配当をもらった気分で同じ割合を取り崩せば美味しいものが食べられます。インカムゲインは株価が上がらなくても貰えるので安定という話も聞きますが、配当が減ったり無くなったりもあるので過信は禁物です。肝心なのは配当があるかないかではなく長期的に見て投資価値があるかないかだと思います。

米国 or 全世界
インデックス投資の中でも分かれている議論。だいたいの結論は「どっちでもいい」です。バンガード社の商品で言えば、米国に分散するVTIか米国の中でもS&P500に分散するVOOか全世界に分散するVTかでよく話題にあがります。時価総額加重平均で考えるとVTIの大部分はVOOと重複するのでどちらでもほとんど変わらないと言われています。同様に考えると、全世界株式を選択しても結果的に半分くらいは米国になることから米国の調子に大きく左右されることになるので、この質問の本質は「米国が好きか嫌いか」ではなく「米国1本に絞ってもいいかどうか」になります。「分散するのがいい」という立場に立てば全世界に軍配があがるでしょう。一方で時価総額加重平均で考えたときに半分くらい米国になるということは今の米国に投資妙味があるということなので、米国だけに分散したほうがリターンが大きいのではという立場も理解できます。未来を考えたときに依然として米国に投資妙味があるかどうかはわかりません。「米国に絞ったときに米国が不調で、全世界に広げておいたほうが資産が減らなかったのに!」となる状況と「全世界に広げたときに米国が好調で、米国に絞っておいたほうが資産が増えたのに!」となる状況を天秤にかけた時に、個人的な精神ストレスは前者の方が高いなと思い、私は全世界を選択しました。より正確には米国から始めて米国ハイテクのぷち暴落を体験して早々に全世界に切り替えました。「全世界でいいと思います、私は米国信じてますけど」みたいな人もそれなりに観測されるので、欲張るのでなければ全世界でいいんじゃないでしょうか。

分割投資 or 一括投資
主に長期投資における投資タイミングに関する議論。投資タイミングによるリターンの差は大きくなく、できるだけ長く資金を市場に晒すのがよいとされているので理論的には一括投資に軍配が上がります。これに対する分割投資派の意見は感情面によるところが大きいです。投資タイミングを計ることは難しく、全部投入して暴落したらショックなので高いときも安いときも気にせず一定額ずつ分割して投資して均すことで安心感が得られます。私の場合は「これくらいの現金を投資に回そう」と決めた金額を全額で一括でいける勇気がなく、1年半くらいかけてじわじわ計画したところに落ち着く見込みです。これが分割投資なのかと言われると微妙なところ。「全然余裕でもっと投資に回せるけど分割したほうがいいらしいから分割投資をしよう」というよりは「ビビって今はここまでしか許容できないので今はここまで一括投資をしよう」を繰り返している感じです。今振り返れば最初期に予定した全額を一括投資したほうがリターンはよかったのですが、それは結果論ですし、最初期にそれができたかと言われると、やっぱりできなかっただろうなと思います。今よりリスク許容度がうんと低かったのです。また、一度資産を自身の決めた配分まで動かしてしまえば、毎月なり毎年なり余剰資金が出るたびに配分を守って一括投資することになるので、やっていることは一括投資と分割投資であまり変わらなくなるんじゃないかなぁと思います。この議論は「余裕があるのに分割しているのか余裕がないから分割せざるを得ないのか」の下地が揃っていないと話が噛み合いません。

株式以外を含めたほうがいい or 含めなくていい
資産配分に関する議論です。投資タイミングによるリターンの差は大きくないらしいという話をしました。ではリターンの差を大きくするのは何かと言われるとそれは資産配分(アセットアロケーション)だそうです。株式だけでなく現金はもちろん、債券や不動産やコモデティ(金とかトウモロコシとか)も資産です。最近流行の仮想通貨もそうですね。投資の勉強をしているとよく目にする「同じカゴに卵を盛るな」は株式銘柄だけでなく資産配分にも言えることです。歴史的には株式投資のリターンが高いと言われながらも株式投資だけでは偏っているので、株式と連動しない形で値動きする他の資産を適切な配分で組み合わせることでリターンを最大化しながらリスクを最小限に抑えられるのではと言われています。問題は「では適切な配分とは??」というところです。株式の銘柄配分だけでも「時価総額加重平均で計算するのは効率的市場仮説に基づいているだけで実際の市場は効率的に動いているわけではない云々」で揉めているのに、他の資産まで来たらもうお手上げです。わからないなら等分すればいいじゃない。という提案の投資信託もありますが等分することが合理的である理由はよくわかりません。そしてだいたいはよくわからないからとりあえず等分しているんだというループに陥っています。AIや独自理論で適切らしい資産配分を教えてくれるサービスもありますが、これらはサービス料がかかる上に、中には胡散臭いものもあり、利用するに値するかの判断が難しいです。となるともう現金と株式投資の配分だけで考えた方がシンプルで管理運用しやすいんじゃないでしょうか。ベストではないけれど株式投資の中身で大冒険しない限りは手軽さのわりにベターなところに着地するんじゃないかと思っています。

投資したほうがいい or しないほうがいい
最後にそもそも論です。残念ながらあんまり年金は当てにできないので労働収入に自信がなければ資産形成しておくしかないのかなぁと思っています。投資を富裕層の娯楽だと勘違いしている人もいるようですが、実は低所得者層が何とかして資産を増やすための有効な手段でもあるのです。でも減るかもしれないんでしょ? と言われればそれはその通りなので、最終的にはいろいろ調べたうえで自己責任で。

よく見かけるあるある2択問題はこんなところでしょうか。また何か思いつけば追記します。

余談
アクティブ運用ができる人を心底尊敬します。理論を覆すための自ら立てた作業仮説に基づいた現実世界を使った壮大な実験であり、探究心はくすぐられますが、自分の資産を使ってやる勇気はちょっとないです。

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