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「持続可能な円盤商法」を真面目に考えさせられる時代に来ているのではないか。

「持続可能な円盤商法」というと何だか15年くらい前のライトノベルのタイトルのようです。「持続可能」と書いて「サスティナブル」と読む。

ゴールデンウィークに暇に任せて見ていたテレビで「3年ぶりに行動制限のないGW」と同じくらい耳にした印象的なワードのひとつが「SDGs」でした。どこかしらで名前くらいは聞いたことがあるのではないでしょうか。SDGsとはSustainable Development Goalsの略で、2015年の国際サミットで採択された「誰一人取り残さない」持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現のための2030年を年限とする17の国際目標のことです。17の目標は以下の通り。

01: 貧困をなくそう
02: 飢餓をゼロに
03: すべての人に健康と福祉を
04: 質の高い教育をみんなに
05: ジェンダー平等を実現しよう
06: 安全な水とトイレを世界中に
07: エネルギーをみんなにそしてクリーンに
08: 働きがいも経済成長も
09: 産業と技術革新の基盤をつくろう
10: 人や国の不平等をなくそう
11: 住み続けられるまちづくり
12: つくる責任つかう責任
13: 気候変動に具体的な対策を
14: 海の豊かさを守ろう
15: 緑の豊かさも守ろう
16: 平和と公正をすべての人に
17: パートナーシップで目標を達成しよう

ワイドショーの特集でよく取り上げられていたのは、廃棄物の再利用でした。例えば、竹林で伐採された不要な竹がパンダの餌になり、パンダの食べ残した竹が、「あのパンダが使った竹材」として付加価値のあるアクセサリーになり、その収益の一部が竹林保全の一部に使われるケース。これは「住み続けられるまちづくり」「つくる責任つかう責任」「緑の豊かさも守ろう」あたりに該当する活動です。プロ野球の折れたバットも同じよに付加価値のある箸や靴ベラに生まれ変わっているそうです。このような企業レベルの取り組みでなくても、個人でレジ袋をお断りしたり、節電節水に心がけることでSDGsに繋がります。

ふと、身の周りので大量に余っていて「つくる責任つかう責任」に該当するものはないだろうかと考えて思い浮かんだのが、最速先行抽選申込券や握手券などの特典を目当てに大量購入されたCDやBlu-rayなどの円盤でした。

積みまくっている人は積み上げられた円盤をどうしているのでしょう。雑に調べると「捨てる」「売る」「配る」あたりが候補として出てきます。「捨てる」のであれば自治体のルールに則った方法で捨てなければなりません。2017年にAKB48のCD585枚が山に捨てられ容疑者が廃棄物処理法違反で書類送検された件は記憶に新しいです。「売る」だと昔はBOOKOFFでしたが最近はメルカリなども使えるのでしょうか。「配る」は私もいくらか恩恵を受けていて、知らないコンテンツに足を伸ばすきっかけになっています。逆に私が布教したこともあります。

うん、「配る」だ。「配る」なら体系的なシステムを構築することで、余った資源を有効活用しながら、ファン層の拡大を狙うことができます。「リサイクル」も悪くありません。三星化成工業株式会社さんがウェルカムな感じで引き取ってくださると風のウワサで聞きました。「宅配便などをご利用の場合10000枚以内であればご連絡不要です」は心強い! ……というのを消費する側だけでなく生産する側も真剣に考えなければならないのがまさにSDGsの「つくる責任つかう責任」です。持続可能な社会なくして持続可能な会社はないので、SDGsに関する活動は投資家の投資判断材料にもなっています。

円盤関連企業が取り組める活動について、簡単に思い付くところで言えば、アニメイトやゲーマーズなどの販売店に不要な円盤回収BOXを設けるのはどうでしょう。上記の三星化成工業株式会社さんへの共通の窓口を設置することで、ゴミを資源に変える機会を増やすことができそうですし、ついでに顧客の訪問機会を増やすこともできそうです。同じ敷地内に「新品の商品」と「特典が抜かれただけでほぼ新品のゴミ」が共存している様は想像すると何だかシュールですが、まぁ、そういう売り方を、しているわけなので。

そもそも論で言えば、特典で釣ってアナログな円盤を何とかしてたくさん売ろうという商法自体が、サブスクリプションサービスの展開によりアニメや音楽をデジタルで楽しめるようになったこの時代にうまくマッチしていません。SDGsが浸透するにつれて、無駄に多くの円盤を買わせる商売はますます厳しい局面を向かえるのではないでしょうか。SDGsに繋がる活動と併せて、円盤に頼ることなく十分な利益を生み出せるシステムを早々に構築してほしいなと思います。じゃないと業界全体が衰退に向かいそうで何だか心配です。

余談

実際に三星化成工業株式会社さんにCDを持ち込んだnoteに出会いました。読み物として面白かったのでご興味とご都合あえば是非。

頂いたサポートは、美味しいものを経て、私の血となり肉となり次の作品となる。