契約は大切、というお話。

コピーライターの多賀です。今回は「契約」のお話をしてみたいと思います。

1. 契約書は結ぶこと「も」ある。

巷の「契約」にはいろいろあると思いますが、私のようなフリーランスの場合、「業務委託契約」を結ぶことが多いです。「業務委託契約」とググるなり、ウィキってみるなりしていただければその詳細はわかると思いますが、まあ言ってみれば「あなたにだいたいこれだけの量のお仕事を、これくらいの期間でお願いするので、報酬はこの程度ね」ということが書かれた書類に、契約を結ぶ同士が印鑑をつく、というものです。そこにはさらに「こういうことやったら、ルール違反ね」という規定も加えられており、要はその書類に書いてあることに沿ってお仕事を進めていくことになるわけです。私がググってみたら、たぶんこれがわかりやすいんじゃないか、と思った記事のリンクを、下に貼っておきます。

業務委託とは?他の契約との違いから契約書作成までのポイントを網羅 │ Knowldge society

まあそんなわけで、私もお取引先とは「業務委託契約書」を交わしてお仕事をさせていただくケースもあるわけですが、ここでケース「も」あると申し上げたのには理由があります。それは、契約書を交わさずに仕事をするケースもある、ということです。

2. 義兄が甥っ子に遺した言葉。

突然ですが先日、2020年の1月ですが、私の義兄が亡くなりました。義兄はとあるロックミュージカル劇団の主宰をやっておられた方で、その劇団は、名前を挙げれば「へえ!」と思っていただけるような役者さんたちも輩出しています。義兄自身も「知る人ぞ知る」な人だったのですが、「有名になる」チャンスは山ほどあったと思われるのだけど、そうはしなかった。どうしてなんだろう、とずっと思っていたのですが、私が先日のnoteにも書いたような「有名になると不自由になることも多い(記事はこちらから)」ということを感じて、あえてそうしない人生を貫いてきたのかな、と私自身を納得させていたところがありました。ところが義兄の死後、甥っ子(義兄の息子、彼もなぜかダイスケと言います)と会う機会があり、じっくり話をしたところ、甥っ子の中で「親父の忘れられない言葉がある」という話を聞きました。

「ダイスケ、契約だけはちゃんとしとけよ」

ちなみに甥っ子のダイスケも、ミュージシャンを志していた男でした。そんな息子だから、ちゃんと伝えておかねばいけないこととしてそう言ったのだろうと思いますが、この話を聞いて私は「義兄も迷った時期があったんだろうなあ」と想像を膨らませたわけです。だって息子に契約の話をする、しかも「ちゃんとしとけ」と言うということは、自身がちゃんとできなかった経験があったからなのだろうなあ、と。もしかしたら、その契約をちゃんとしておけば、有名になって、お金がたんまり入ってきて、家族に苦労させることもなかった、という後悔の念もどこかにあったのかもしれないなあ、などと想像をたくましくした次第です。

まあ、義兄の話はこれくらいにしておきましょう。また別稿で、たっぷり書けるネタは揃っておりますから(笑)。

3. 「誰かからの紹介」の「誰か」が信用できるか。

なんで義兄の話を持ち出しかというと、私、お引き受けした仕事の中には業務委託契約書を交わさず進めるものも少なからずあるから、です。これってどういうことかというと、誰かからの紹介でいただけたクライアントとのお仕事の場合がほとんどです。本来なら、そういう場合でもきちんと業務委託契約書を結んだ上で仕事を進めた方がいいのですが、一方で業務委託契約書を結ぶということは、「契約書を結ばないと安心できないくらいの信用しかお互いにありません」という意思表明にも見えたりするのです。それはつまり、「誰かからの紹介」である「誰か」も信用ならない、という見え方にもなる。そんな「忖度」が働くから、契約書を結ばずに進める仕事も発生する、というわけです。

私の場合はフリーランスなので、そこまでお仕事をいただくクライアントがたくさんあるというわけではないので、「誰かからの紹介」が契約書みたいなもの、という認識で仕事が進められる環境にはあります。しかしながら、厳密に言えばそういうケースであったとしても、契約書は結んでおくべきものだろう、とは思います。なぜなら「誰かからの紹介」の「誰か」が、そこまで深い関係の仲ではない場合も世の中にはあるだろうと思うから。義兄が「ダイスケ、契約だけはちゃんとしとけよ」と甥っ子に遺した言葉には、大丈夫だろうと信用した「誰か」が実はそこまで信用できる人物、あるいは企業ではなかった、という意味が込められていると感じるのです。

4. 起業や独立を考えるなら「契約」は理解しておこう。

幸せなことに、私はこれまで「信用」のおけないクライアントに出会ったことがありません。いや、厳密に言えば「出会いそうになった」ことは、何度かあります。そういう場合の危機回避能力が、私はどうやら高いようです。それはたぶん、私がそもそも「チキン野郎だから」なのだと思うのですが、それはまた別稿で展開できるくらいネタがありますから、そちらをお楽しみに、ということで。いずれにしても、これから起業するとか、独立するとか、会社を興すとか、フリーランスになるとか、そんなことを考えている人たちにはぜひ、契約書を結ぶ意味については理解しておいてもらいたいと思います。世の中には心根のいい人はいるけれど、誰もが心根がいいかというとそうでもない、いや、たいがいの人はそうでもないと考えて、独立なり起業なりをされた方がいい。まあ、心根がいいとは言えない人も、それはそれで人間だもの、と私は思うようになったわけですが、そのあたりもまた別稿を立てられる話なので、今回はこれくらいにしておいてあげます(笑)。おあとがよろしいようで。

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