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vol.51 ブルースタジオの“パートナー” はちくりはうす・竹村 眞紀さんと、編む〈プロジェクト編〉

vol.48から始まった、ブルースタジオの“パートナー”特集。
こちらの企画では、その名の通り、プロジェクトを共に創り上げた“パートナー”にフォーカスをします!
ブルースタジオとの関係をご紹介するとともに“パートナー”の方々にお話を伺うことで、“外”からブルースタジオを編むシリーズです。

さて、今回の第2弾は、目黒区の住宅街にある、障害者のシェアハウス「はちくりはうす」をご紹介。
前編では、プロジェクトについてご紹介し、
後編は“パートナー”のインタビュー編をお届けしていきます。
(今回はブランディング・プロモーションの柴田が担当させていただきます…!)

vol.51-52で特集する“パートナー”は、「はちくりはうす」オーナーの竹村さんです

「はちくりはうす」は竹村さんご自身が、障害のある娘さんと一緒に暮らすなかで、「まちの方たちと関わりながら暮らせる“居場所”をつくってあげたい」と思う気持ちからうまれました。

今回のプロジェクトにおいて、
ブルースタジオと竹村さんが、“パートナー”であるように、
竹村さんご自身も、「はちくりはうす=まちの拠り所」となるよう、家族・仲間・まちの方たちを“パートナー”として、日々、気軽な距離感でコミュニケーションをとりながら居場所づくりをしています。

今回は、竹村さんと家族・仲間・まちの方が育んでいる「はちくりはうす」の日常をお届けします。

障害者と仲間たちが、まちとつながる家

みんな家族のように ひとつ屋根の下に暮らす はちくりはうす

「はちくりはうす」は、
障害のある方と介助者のための住居・介護事業所・シェア店舗が、ひとつ屋根の下に共存し、地域に溶け込むインクルーシヴな生活拠点の物件となっています。

4階建の“ハコ”が重なりあったような外観がなんとも可愛らしいですね。

障害のある方のためのシェアハウス、
といっても一つの空間に閉ざされて暮らす従来の施設ではなく、生まれ育った愛着のある地域で、仲間たちと共に“まちに溶け込んで暮らしていけるようなシェアハウス”を目指しつくられています。

建物の1階部分には、障害者の地域生活をサポートするためのヘルパー派遣や、親元を離れて過ごすショートステイ事業を行っている「NPO法人はちくりうす」と、車椅子の方も利用できるショートステイ(短期入所施設)に加え、まちの方も気軽に当事者となれるような、日替わりでオーナーチェンジするシェアタイプの飲食店舗を設けています。

ショートステイ(短期入所施設)の横にあるお手洗いやAEDは、近隣の人たちも使えるよう、何かあればいつでもどうぞ!とお知らせをしています。

障害のある方にとっては、カフェに行くことも少し敷居が高く感じてしまうように、車椅子では気軽に入れなかった都内の場所でも、ここならば、ごく普通にコーヒーを飲んだり、気兼ねなく憩うことができます。

1階の飲食店舗に週5日ほど出店している、本をテーマにした「犬みみカフェ」では、“編み物教室”や、”犬の相談室”を開くなど、好きなことを楽しみながら、つながる場づくりをしています。

そんな気さくなコミュニケーションが常にあるからか、物件の前を通ると、お買い物帰りに立ち寄った近隣の方が「こんにちは〜!」と挨拶を交わす元気な姿がみえます。

お店から窓を眺めてみると、常連さんが自転車に子どもを乗せて駆けていく、なんて日常の風景があります。

1階はまちに開いたパブリックな空間となっていますが、
建物内に入り階段を登っていくと、段々とプライベート空間へとつながっていきます。

1階から最上階までは、吹き抜けの階段でつないでおり、“どこにいてもお互いの声や気配を感じることができる”、そんな住まいを実現しています。

2階と3階には、現在、障害のある入居者とその家族が複数世帯で暮らすシェアハウスがあります。
入居者の飛び跳ね等の生活上の床衝撃音を防音するため、床面にはボイドスラブを使用するなど、安心できる暮らしの工夫がされています。

ちなみに、建物サインにもこだわりがあり、
触ってもケガをしないよう優しい質感を使用しています。
そんな小さな気遣いがあるのも、居心地良い暮らしの要素のひとつ。

「はち・くり・うす」がひとつ屋根の下で暮らす、そんなロゴデザインに。

そして、最上階の4階には、
入居者と家族たちだけでなく、仲間たちも共に使えるようなシェアリビング「はちくりBASE」があります。

みんなで集まり、ご飯を食べたり談笑したりと、ささやかな日常を共有する空間となっています。

そんな「はちくりBASE」の隣にある、大きな窓から外へ出ると、
目黒から東京を一望できるような眺めの良い景色が広がります。

うっすらと、中央にみえるのは「富士山」です。

屋上テラスには、共に喜びを分かち合う場所として、車椅子のまま座りながら、園芸作業ができるプランターを配し、みんなで家庭菜園を楽しめるようなスペースをつくっています。

実際にテラスでは、大きな空の下で仕事終わりのビールを一杯!なんて楽しみ方をするヘルパーさんもいらっしゃるみたいです。
(それぞれが自由に活用し、過ごせる“居場所”がある。なんだか羨ましいですね!)

目黒区に、根ざした拠り所を

“目黒区“にある「はちくりはうす」ですが、
立地も、今回の物件をつくる上で重要となる条件でした。
というのも、「娘が、場所と人に慣れていたまちで、コミュニティカフェをつくりたい!」と考えていた竹村さんにとって、“目黒区“が一番都合の良い環境だったのです。

住宅街を歩いているとみえてくる「はちくりはうす」は、
なんだかいつでも帰りを待ってくれるような、そんな暖かい表情を感じます。

今回のプロジェクトではまず、
不動産チームと共に“土地探し”から始まりました。
ショートステイ居室の避難経路確保のため、敷地は2方向道路に面する角地・屋上付きという条件を満たす、予算に見合った物件探しは苦労の連続。
ただ、物件が見つからない限りはプロジェクトもスタートできないため、
根気強く不動産チームと竹村さんは共に、理想を探し続けました。

そして、タイミングよく土地が見つかってからは、
地主の方にこちらの事情を聞いていただき、趣旨に賛同してくださったおかげで今回の購入が決まったそう。

そんな、時期やご縁が重なり、本プロジェクトがはじまりました。

変わらない日常を“シェア”する

物件目の前の、小さな三角地のよくあるまちなかのベンチ一つとっても、
気軽な距離感でふれあう出会いが生まれています。

竹村さん
「たまに、お店が閉まる時にそこのベンチでお茶している人には、残ったクッキーを、よかったら味見してください!って渡したりしています。
この出会いがきっかけで、少しでもこの場所を知ってもらえたら嬉しいので…」

また、「犬みみカフェ」では毎週木曜日は、不登校の子たちが集まる場所としても使われていて、18歳以下の子どもには1人100円でランチを提供したりしているそう。

集まって特別なことをするわけでもなく、
何気ない日常を誰かと共に過ごすからこそ、
誰しもが日常で感じる、ささやかな楽しみや喜び、悲しみを包み込んでくれるような感覚が、この物件にはあるように感じます。

ご機嫌がいちばんの人徳!

次号vol.52はインタビュー編です。

「色々な人がいるけど、ご機嫌がいちばんの人徳!」
と、朗らかな表情で、ご自身の思いをお話ししてくださった竹村さん。

私も「はちくりはうす」でお話しをし、まちへ一歩踏み出したとき、
なんだか深呼吸したようにこころ軽やかで、晴れ晴れとした気持ちになりました。

そんな、ブルースタジオの“パートナー”・竹村さんにお話を伺ったインタビュー編は、次号でたっぷりとお届けいたします。

どうぞお楽しみに!


\今回紹介した事例についてもっと詳しく知りたい方に/

◯はちくりはうす
・press release: https://www.bluestudio.jp/bs_news/013523.html

犬みみカフェ
・Instagram:https://www.instagram.com/inumimi_cafe/

◯NPO法人はちくりうす
・Instagram:https://www.instagram.com/8curious_tokyo/




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