見出し画像

詠うこと

私は歌うことが好きだ。いや、好きだった。
好きだったことを改めて最近思い出したのだった。

好きなのは心に響く詞が並ぶもの、重低音。ロック。学生時代はVロックと洋楽が専ら耳を占領していた。恋や愛を唄うものは苦手で「守りたい」と述べられるものに関してはどれもこれも同じに聞こえ、右から左に抜け落ちた。

大好きなのは人生に炎を灯してくれるような応援歌で、自分を鼓舞出来るものならアニソンでも何でも構わなかった。事実、十八番と呼べるものの中には数曲アニソンが含まれている。

気づいたことだが、最近の私はそれらの音楽を聴いていない。いつも好んで耳にしているのは読書に集中できるBGMや掃除・片づけの合間にテンションを上げてくれるパーティポップの様なものばかり。たまにクラシックをかけてティータイムにすることもあるが、以前聴いていた様なものは全くといっていいほど久しぶりだった。子どもと歌を歌いながら、ふと、歌うことについて、思い出したのだった。

口を開け腹から声を出して歌うことには何にも代えがたい気持ちよさがある。ただ、あまり高音が出せないので女性歌手のものなどは無縁に近かった。営業職だったが、オジサン受けするような声は出せないのでいつもドスが利いた声でうぉぉぉお!と歌うと、決まってびっくりされるのだがやめなかった。たとえ不快に思われたとしても、誰かのために自分のウタを汚したくない気がしていたから。

案外受け入れられて、飲み会の延長線上にカラオケがあると盛り上げ役としてよく連れていかれた。気持ちよく歌えることが嬉しかった。

そんなことを懐古しながら、自分の好きな歌を口ずさむことから、また日常に取り入れたいなと思った。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?