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徳島の古代布、太布を見にいく②

糸績みの後に、出来上がった糸を見せてもらった。

素朴で味わいのある糸

昔、町ぐるみで太布作りが奨励されていた頃は、一家に一台織り機があり、家々で糸作りや織りをしていたけど、現在は、毎週火曜日にグループのメンバーが集まって作業をすることになっているのだそう。

楮を植えて育て、そこから刈り取って枝を裂き、糸を績んでいく。織り機でおるのは本当に最後の工程。そこにまで辿り着くまでに、ものづくりに至る前の自然との営みの時間がある。

「麻は、光沢感があって、上流階級の布って感じがするけれど、太布はマットで素朴で、リネンとコットンの間のような質感。それでいて謎が多いところに惹かれる」とおっしゃっていた。
かつては衣服や作業袋など日常の中にあった布だったのに、それだけに保存されるものも少なく、今では情報量の少ない謎おおき布になっているところが興味深いなと思った。
「今までは、外に出かけて行って話を聞いたりすることが多かったけれど、これからは糸に向き合い制作していく時間にあてたい、太布を生かした新しいこともやっていきたい」と三嶋さんは話していた。
消えかけているからこそ、その布を学びたいと山深い木頭に残る太布織を学ぶことを決めた、三嶋さん。太布に惹かれた三嶋さんがこれからどんなものを生み出していくのか見続けていきたい。

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太布のものを何か1つ欲しいなと思い、ポーチを購入させていただきました。
他にもバッグやペンケースなどもおいてありました。
素朴で味わいのある姿がなんとも可愛らしいです。
量産していないので、あまり他のところでは買えないものでもあります。木頭に植えた楮の木から採れた繊維で、この地域に住む人が作ったもの。
うまく言葉で言えないけれど、単なるものを買うのと違う感覚がしました。

かつて日本人が日用品として使っていたものを、また今の時代に日用品として使い直すことがなんだか面白く感じます。化粧品などを入れるとまた見え方が変わりますね。太布は頑丈な生地らしいので、大切に使いつつもがしがし使いたい。

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