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【最近読んだ本】人と人との繋がりで”いま”があるとわかるよ、きっと。

青山美智子さんの新刊『月曜日の抹茶カフェ』を読んだ。
『木曜日にはココアを』の続編とのこと。
抹茶カフェから読んでも問題はないが、できればココアから読んでほしいなと、個人的には思う。

『木曜日にはココアを』と同じく、舞台は喫茶店「マーブル・カフェ」だ。
その「マーブル・カフェ」が定休日の月曜日に、一度だけ「抹茶カフェ」が開かれた。
そこに訪れた携帯ショップ店員の女性と、その日の主催者である京都の茶屋問屋の若旦那の出会いから始まり、登場人物が次々に繋がれながら12篇のショートストーリーで完結する。

この「短編で繋げていく」というのは青山美智子さんの小説における手法だ。短編ごとに主人公は変わっていくのだが、常に中心となる場所や人はいる。本作品なら、“場所”は「マーブル・カフェ」、”人”は「マスター」と呼ばれるカフェのオーナーだ。このマスターは謎が多いが、実はキーパーソンとなっている。

どのストーリーにも、ハッとしたり、じんわり感動したりする言葉が散りばめられていて、読んでいて心癒される。思わず、「ああ、いいなぁ」と独りごちてしまう。

たとえば、ランジェリーショップの店主がつぶやいた、こんな言葉だ。

「卒業って、次のステージに行っておしまいじゃなくて、ここまでがんばってきたことをたどって自分で自分を認めたり、支えてくれた人たちにあらためて感謝したりの節目ってことでもあるんだわ」

また、子供の頃、宮沢賢治の「よだかの星」を読んで泣いた主人公をおばあちゃんが叱った言葉。

「泣くんやない。よだかは、どんな鳥よりも美しいものになったんだ。なんでかわかるか。自分の力で必死に空をのぼったからやで!」

またある時は、古本屋によく遊びに来るネコの視点から。(このネコすごい!よくわかっている!)

本を読んでいるときのニンゲンの姿って、好きだなって思う。美しいって思う。確かにそこにいるのに、どこかを旅しているのがわかる。体は止まっているのに、何かが動き出しているのが伝わる。

そして、まるでこの本の、いや、青山美智子さんの書くすべての小説の根幹となるような、「人と人との繋がり」について語るマスターの強い言葉。

「そうなんだよ、わからないだろ? でも確実にいるんだ。さかのぼっていくと、繋がっている手がどこまでも無数に増えていくんだ。どの手がひとつでも離れていたら、ここにはたどりつけなかった。どんな出会いも、顔もわからない人たちが脈々と繋いできた手と手の先なんだよ」

ぐっとくる言葉に、時折目の奥を熱くしたり、ほわっとため息をついたりしながら、この本を読み終えた。
そよ風に吹かれたみたいに、やさしい気持ちになって本を閉じた。

日々の生活に疲れている人に、ぜひ読んでほしい一冊だ。
すべての出会いに意味があり、今ここにいる自分に繋がっている数えきれないほどの「手」を感じられるかもしれないから。
そうしたら、また明日、もうちょっとがんばろうと、前をむけるかもしれないから。


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