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「本当の自分」を手放すとラクになる

たった一つの「本当の自分」など存在しないという話。

作家の平野啓一郎さんが提唱している「分人主義」。
この考え方を理解した時、生きるのがラクになったと感じた。

この「分人主義」というのは、
「本当の自分」というものは存在せず、
関わっている対人関係ごとの複数の顔がすべて「本当の自分」である、という考え方。

家族といる時の自分、友達といる時の自分、恋人といる時の自分、仕事相手といる時の自分は、話し方や性格が変わるのは当たり前のことで、もっと細分化すると、関係性をもつ相手一人一人に対して違う自分が存在する。
それが分人である。

その全てが「本当の自分」であり、
個人を構成しているのは、この「分人の集合体」でしかない。

この考えは本当に目の前がパッと明るくなったというか、
めちゃくちゃ腑に落ちたのだ。

「本当の自分ってなんだろう?」

は誰もが一度は思う問いであり、
皆どの自分が「本当の自分なのか?」を探している。

ぜ  ん  ぶ  本  当  の  自  分  だ  っ  た  !

本の中で印象に残ったことを3つ書き出してみた。

①「好き」とは?

この「分人」という思想を理解していくと、「好き」がどういう状態であるかわかる。

「この人が好き」とは「その人と一緒にいる時の自分(分人)が好き」という状態である。

愛とは、相手の存在が、あなた自身を愛させてくれることだ。
そして同時に、あなたの存在によって、相手が自らを愛せるようになることだ。
本書より

これは多くの人が納得する考え方だと思う。

私はここ数年、可能な限り、好きな人達と関わり、好きな人達と好きな仕事をし、嫌いな人と関わらないようにしている。

そしたら自己肯定感が凄いのだ。

これは、「好きな人達と一緒にいる自分」=「自分の好きな分人」が人生の多くの時間を占めるようになったことが要因だとわかった。

②なぜ大切な人を失うと辛いのか

そして「なぜ大切な人を失うと辛いのか」を考える。

この分人主義に則ると、
「大切な人を失って悲しい」という感情は、
「同時にその人と一緒にいるときの自分(分人)も失ったから悲しい」
と考えられる。

もう相手と一緒にいる時の自分の分人を生きることはできない。
だから深い喪失を味わうことになる。

これはとても、真理だな、と思う。

③嫉妬の正体

自分が多くの分人を持つように、
他人もたくさんの分人を持っている。
自分が知っている相手は、自分といる時の分人でしかない。

だから「自分の知らない相手の分人」を知ってしまった時に戸惑ってしまうし、
自分向けの分人よりも、友達や仕事など違う分人に大きなウェイトを占められてしまうことに耐えられない。
これが嫉妬。

嫉妬はなかなかコントロールできないけど、頭でわかっていれば受け入れられるし、うまいバランスでやっていくしかない。

こんな感じで、色々と頭の中がスッキリする分人主義。

このnoteを書いている私も、
「noteを書いている私」という分人であり、
家族や友達といる時の私とは全く違うだろう。
でもそれを「当たり前だ」と思えることが重要なのだ。

そして今の若い子たちは意識せずとも、この分人主義をすんなり受け入れているように思える。

複数のSNSアカウントを持ち、複数のコミュニティで活動し、フリーで複数の仕事を請け負うことが、当たり前の時代になったからだ。

「私はこういう人間だ」「あの人はこういう人だ」とラベリングする時代は終わったのだ。

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