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星野源の隠れた名曲3選!【シングルカップリング曲より】

今や国民的アーティストとして世界へと音楽を発信している星野源。
そんなスーパースターの初期のシングル曲を全部知っている方はどのくらいいるのだろうか?

今回は友達に好きなアーティストを聞かれたときに、まだ「星野源」という人が認知されていない頃から星野源の音楽を愛してきた筆者が、シングルカップリング曲から星野源の隠れた名曲を3つおすすめしたいと思います!

アルバムに収録されていない曲たちを、この記事をきっかけに聴いていただけたら、うれしいです。

星野源の隠れた名曲①
味方になってくれる曲『歌を歌うときは』

2011年3月に発売された星野源の記念すべき1stシングル『くだらないの中に』に収録。
表題曲の『くだらないの中に』がとても有名だが、この『歌を歌うときは』は星野源ファン内では好きな方が多い曲。

2019年の東京ドームツアーライブの開始時には、ギター1本で登場してこの曲を歌い上げる星野源に、思わずぐっとくるものがあり泣けました。

とあるインタビュー記事では、2019年のドームツアー「星野源DOME TOUR2019『POP VIRUS』で1曲目に演奏した『歌を歌うときは』についてこう語られている。

ツアーで1曲目に選んだ“歌を歌うときは”は、星野が初めてソロアーティストとして行ったワンマンライブの1曲目。インストバンドが本業である、とどこか言い訳をしてやっている状況の「歌うこと」に対して、「まっすぐちゃんとやりたい。歌を歌うんだ、俺は」という気持ちを歌にしたという。《歌を歌うときは 背筋を伸ばすのよ/想い伝えるには 真面目にやるのよ》と、自身に言い聞かせるように歌われる星野の「歌」に対しての、当時から変わらない決意のような歌詞。ここから始まるドーム公演自体について歌われているようにも聴こえた。

(rockinon.com の以下記事より引用)

この曲はとてもストレートな歌詞の弾き語り曲である。
アコギの弾き語りで、源さんの優しい声で歌われているこの曲の全体的なイメージとしてはフォークで優しさのある曲だが、歌詞の一部には星野源の心の奥底にある「闇」の部分も垣間見られる。

歌を歌うときは 背筋を伸ばすのよ
人を殴るときは 素手で殴るのよ
さよならするときは 目をみて言うのよ
好きだと言うときは 笑顔で言うのよ

2行目の歌詞に注目してみると、優しさの中にある、「闇」の部分がさらっと歌われている。
源さんは曲を作り始めた時から、自分の暗い気持ちを歌にしていたそうだが、まさにこの部分が星野源の中にある「闇」なのではないか。

歌詞の文章で見ると結構インパクト大なこの1フレーズだが、歌を聴いている人たちは自分の奥深いところにあるモヤモヤを歌ってくれる歌手だなという共感性や安心感を抱くことができ、人間味のあるこの歌になんか惹かれてしまうのです。

私もこのストレートすぎる歌詞を聴いたときに、「なんか嫌なことがあるときに、正々堂々と物事を言わない陰湿さが嫌いだから、真っ向勝負していこうよっていうこの気持ちわかる!」と心の奥底にあったモヤモヤを代弁してくれた星野源がかなり近い存在に感じた。

音楽を聴いて気持ちが前向きになる、音楽を通して自分が前向きに歩み寄る感じは曲を聴く中でよく経験するが、音楽の方が自分にそっと寄ってきて味方になる感覚はこの曲が初めてだった。

『歌を歌うときは』はきっとあなたの味方になってくれる音楽だと思う。

星野源の隠れた名曲②
源さんなりのR&B 『もしも』


2012年2月発売のセカンドシングル『フィルム』に収録。
このシングルはカップリング4曲がどれも前作のアコースティック感とはまた違った良さが盛りだくさんです。

そして源さんの大好きなブラックミュージックのエッセンスが少しずつ入ってくるようになって、このくらいの時期から今の音楽に通ずるルーツとなるような曲が増えていくように感じる。

この曲は、星野源著書の『働く男』の楽曲紹介でこう書かれている。

俺なりのR&B。俺なりのディアンジェロです。

(2015 星野源『働く男』文藝春秋 P173より引用)


曲を作った本人はとてもシンプルに解説している。
ここで、R&Bとディアンジェロってなんだ?というはてなマークが脳内に浮かぶ人もいると思うので、自分の知識の整理のためにも、改めてこの2つのワードについて調べてみた。

まずはR&Bという音楽がどのようなジャンルなのかについて、分かりやすく説明されたサイトの文を読んでほしい。

R&B…「リズムアンドブルース」の略で、アメリカのアフリカ系アメリカ人が生んだポピュラーミュージックのジャンルの1つです。1940年代にブルースやジャズ、ゴスペルの要素を合わせることにより活気のある都会的なリズムが生まれ、それが後にR&Bとなりました。
1950年代の初期にはブルースディスクと呼ばれていたこのジャンルですが、1970年代には「リズムアンドブルース」はソウルとファンクの音楽要素を含むようになり、 80年代には新しいR&Bスタイルが登場しそれはオリジナルとはかなり違った「現代のR&B」として知られるようになりました。現在では、「R&B」は「現代のR&B」としてリズムや打ちの強いビートに乗りながら、ブルース感のあるメロディを歌うのが特徴の音楽全般のことを指します。
(dews365.comの以下記事より引用)

ディアンジェロというアーティストについてはウィキペディアで生い立ちなどを読んでみてくださいね。

そして、ディアンジェロの音楽を聴いたときに、「あ!星野源の好きなブラックミュージック感のあるかっこいいリズム感が似てる!!」と思ったので私が『もしも』の曲に近いなと思ったディアンジェロの1曲を載せます。
比べて聴いてみてください。

この曲のリズムと、『もしも』のベースとなるリズム、どこか似ていませんか?

このようにこの曲は源さん本人がおっしゃる通り、星野源なりのディアンジェロの空気を纏った楽曲となっている。

歌の進行のリズムは、キレッキレでなく割と普通のポップスのように歌われているけれど、バックのリズム隊が思わず揺れながらハンドクラップしたくなるようなバキバキのR&B感。
ドラムの後拍がやや重たい感じ。

源さんのゆるく歌う感じと、リズムのかっこよさが中和されると、かっこいいんだけどゆったりと聴ける音楽へと変化してしまうのが不思議。
曲全体としても、サビで大きな盛り上がりがなく進む感じも洋楽っぽい。

歌詞としては、中盤の歌詞が韻を踏んでいてラップではないけれど、繰り返しの歌詞を印象つける効果をもたらしている。

時々 浮かぶ話
時々 消える命
時々 浮かぶ笑い
時々 消える世界


「時々」のイの語尾に合わせて後に続く言葉もイの音になっているのが、歌詞を見ずに聴いてもわかるくらい、印象的。

そしてこのままかっこよく進んで終わるのか、と思いきや最後の後奏になんと、あの楽器が登場して、一気にアジアのオリエンタルさが…!

その楽器とは、星野源おなじみの、マリンバ!

最後のマリンバは、シンプルなリズム構成でR&Bの雰囲気がさっと消えて日本のポップスのリズムとして演奏されている。

このブラックミュージックとアジアの音楽が盛り込まれている感じを、2012年から星野源は行っていたとは、びっくりです。

星野源の音楽ジャンルがブラックミュージックを日本人に適した音楽に昇格させるべく独自に創った「イエローミュージック」と称されるようになったのは、まだ数年前のこと。
だがこの当時からすでに源さんの曲の中では自然と「イエローミュージック」のいう独自の音楽スタイルが確立していたことに、この曲が気づかせてくれた。

そんな源さんなりのディアンジェロ、ぜひ聴いてみてください。

星野源の隠れた名曲③
群馬を連想させるソウルミュージック『彼方』

2012年7月発売の『夢の外へ』に収録。
表題曲はMVのダンスが印象的で、軽やかな楽しい歌だが、カップリング曲の『彼方』はガラッと雰囲気が変わってしっとりとした大人な雰囲気。

この曲についても、源さんの著書『働く男』で楽曲紹介されていました。

日本人が作る、土の匂いのするソウルミュージックを目指して作りました。
舞台はなんとなく、群馬です。
(2015 星野源 『働く男』文藝春秋 P175より引用)

この曲は、ソウルミュージックを目指して作られた曲のようだ。
ちなみに、ソウルミュージックのジャンルについての解説はこちら。

1950-1960年代のアメリカにおいて、アフリカ系アメリカ人のゴスペルとブルースが合わさり発展することでできた黒人音楽の一種です。
ゴスペルは賛美歌であることが多いですが、ゴスペルをルーツに持つソウルミュージックは基本的には大衆音楽であり世俗的な音楽です。
音楽の特徴としてはゴスペルに由来するコード進行や、覚えやすいリズム、コールアンドレスポンス、即興の多用などがあります。
(dews365.comの以下記事より引用)

ソウルミュージックの中でも、少しゆったりとした曲が『彼方』の曲に近い気がするので、このあたりも聴いてみるとイメージが掴みやすいと思います。

そして源さんの楽曲解説にもあったように、この曲は「土の匂い」「群馬」というキーワードで表現されている。

私は群馬県出身なので、大学時代に群馬でこの曲を聴いた時に、「確かに、群馬の土っぽさが表れているな」と感じた。

群馬県は海がなく、住宅地周辺にも畑が多いので、雨が降ると雨の匂いというか、土混じりの匂いがするので「土っぽさ」という源さんの表現はすごく的確であると思う。

そして、この曲はどこか哀愁が漂っていて、群馬の人の少ない寂しげな風景が目に浮かぶ。
源さんの出身も埼玉なので、群馬に訪れた時のイメージや記憶から、この曲が作られたと思うと群馬出身者の星野源ファンとしては非常に嬉しいですね。

この曲、個人的に源さんのしっとり系の曲の中でかなり好きなので、もう少し曲について話そうと思う。

『彼方』はメロディーの音の流れがなめらかに進んでいくが、その中に絶妙な音の外しが…。
この部分がすごく哀愁漂うメロディの鍵となっているような気がして、寂しい雰囲気につながっているのではないかと感じる。

私が好きな、冒頭のメロディーラインはこちら。

耳のあたりに雨 
胸の下を濡らして
晴れる日をずっと待っている

そして、歌詞に注目すると最後に繰り返されている歌詞が、地方から都会に憧れる若者にすごく刺さるメッセージなのです。

群馬に住んでいた時に、畑の見える景色を電車の車窓から眺めながら感じていた心の内を、表現されているかのようなそんな歌詞が群馬の大学生だった私にはすごく染みた。

ここではない何処か
いまではない彼方へ
ここではない何処か
今ではない貴方へ

この曲の歌詞のように、「ここではない何処か」で暮らしたいと思った私は、社会人になって群馬を離れ上京した。

上京したての時に、あの雨が降った時に土の匂いがする群馬が恋しくなり、この曲を聴いたことを記事を書きながらふと思い出した。

時期的にも、秋がお似合いの曲だと思うので、秋の夜長にこの曲を聴いて「群馬の土っぽさ」をぜひ味わって哀愁に浸ってみてほしい。

おわりに

以上が星野源の音楽を長年聴いてきた筆者による、星野源のシングルカップリング曲から激選した、星野源の隠れた名曲3選です。
YouTubeにも公開されていないくらい、マイナーな曲なのでぜひ音楽配信サイトでこの3曲を聴いてみてください!

そして、星野源の著書である『働く男』に源さんの今までの楽曲に対しての解説が書かれているので、興味をもった方は読んでみるとより音楽への理解が深まると思います。ぜひ!

星野源の音楽についてはまだまだ好きな曲がたくさんあるのでまた記事にしようかと。

長くなりましたが、最後まで読んでくださりありがとうございました。

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では、また!

 lemon

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