映画 Winny
東出昌大さん、三浦貴大さんW主演作。
監督・脚本を“松本優作さん”、脚本“岸建太朗さん”
配給はKDDIとナカチカ。
長らく応援している東出昌大さんはじめ、まさに重厚、骨太なキャスト陣で描かれる実話を基にした静かで鋭い法廷ドラマ。
“Winny”という名前は当時かなりニュースになっていたので知っているが、家にPCなどなく、携帯もいわゆる“ガラケー”でいまのスマホのようにPCと変わらないネット環境などなく、Winnyがどういうものでどういった事件なのかこの作品を観るまで知らなかった。
本作の主人公の一人、金子勇さんのこともこの映画ではじめて知りました。
ファイル共有ソフト・Winnyにはひろゆきさんが作った巨大掲示板“2ちゃんねる”も関係がある。
当時はTwitter(現X)などなく、この掲示板は人々の匿名での交流の場として非常に人気があった。
昔すぎて記憶が曖昧だが、当時の携帯ではPC用のサイトをスムーズに閲覧することが難しかった。
重たく、文字化けしたり途中でページが途切れたりするので一つのページを見るのに何度も読み込まなければいけない。
検索エンジンはヤフーが主流、グーグルは英語の羅列や文字化けがひどく、まだ日本には浸透してなかったように思う(少なくとも自分の周りでは)
PCがない自分の当時のネット環境はいまから考えればひどいものだったが、それでも2ちゃんねるはオカルト、ファッション系のネタスレが面白くてたまに頑張って見てました(笑)
当時はユニクロといえばダサいファッションの象徴だったんだよなー(2ちゃんでネタにされてた笑)
管理人のひろゆきさんはいまでは世界で大活躍されているが、当時は実在すら疑われるレベルの都市伝説的な謎の存在。
まさに蓋を開ければで、自分とさほど年齢が変わらない人だと知ったときには本当に驚きました。
死亡説がでたり…ドラゴンボールの作者・鳥山明先生の都市伝説的な噂も沢山あった(単行本やアラレちゃんなどに登場するガスマスクの姿から植物状態だなどという不謹慎なもの)
2ちゃんねるはアメリカの軍事企業?が買い取って人々を監視しているとか、ネットがいまほど発達していない時代にはまことしやかな噂が沢山飛び交っていた。
そういう整備されてない“無法地帯”もそれはそれで楽しかったが…。
映画・Winnyは俳優の役作りが凄まじい。
特にすごいなと思ったのは東出昌大さん、三浦貴大さん、皆川猿時さん。
東出さんの増量、腕を組む、メガネを直すなどの仕草。
メイクもあるとは思うが、横顔とかそっくり!
ちなみに劇中でかけているメガネは金子勇さん本人の遺品だとか…。
三浦さんもいつもの三浦貴大さんじゃないし、この味のある大阪のおっちゃん誰やったっけ?と思ったら皆川さんな訳で(笑)
用語が多くて少し難しく感じるが、とても分かりやすく丁寧に作られた作品だと思います。
〓ストーリー(完全ネタバレ、鑑賞後に読んでいただくことを推奨します!)
※登場人物は敬称略。
薄暗い部屋にキーボードを打つ音が響く。
無造作に散らかった部屋にはパソコン、機材、基盤、雑誌(マイコン)、そしてオランジーナの空のペットボトル。
“暇だからfreenetみたいだけど2chネラー向きのファイル共有ソフトつーのを作って見るわ。もちろんWindowsネイティブな。少しまちなー。”
“金子勇(東出昌大さん)”、彼はビスコなど甘い菓子を食べながらひたすらキーボードを打ち続ける。
02/05/06 15:49、2ちゃんねる、ダウンロードソフト板にWinnyベータ版投稿。
ファイル交換ソフト・Winnyのユーザーは200万人を超え、大量の音楽やゲームなど“違法コピー”がネット上を駆け巡る。
“Winny 開発者 47氏とは一体何者?救世主か?それとも破壊者か?”
Winny公開から1年、金子勇は改良を重ねながら公開を継続。
被害総額数十億円、著作権保護の観点から規制を求める声が上がる。
さらにWinnyによる別の問題も。
2003年8月、Winnyを媒介して感染を広げる強力なウイルス“Antinny”が発見されたのだ。
AntinnyはWinnyユーザーを騙し、深刻な個人情報の漏洩を引き起こす。
ネットや新聞に溢れかえる様々なWinnyの記事。
“Winny、それは彼の頭のなかに広がる広大な宇宙がネットワークの海に生み落とした人類の遺産なのか…”
2003年11月26日、大阪府大阪市。
サイバー犯罪を得意とする弁護士“壇俊光(三浦貴大さん)”は“P2P型ネットワーク(ピアツーピア)”の説明、講義をしている。
“ピアツーピア技術においてピアはあくまで対等な存在であり…”
講義を聴く同じ事務所の弁護士“桂充弘(皆川猿時さん)”は爆睡。
“ちゃんと聞いてくださいよ…ピーツーピーは近い将来、必ず世界を変えるような技術なんですから”
ボーッとしてたら時代に置いていかれる、こんな簡単なことも分からないようではという壇に弁護士の“浜崎太一(和田正人さん)”は
“ピアツーピアは対等な立場いう意味なんやろ?
お前が上からでどないすんねん”
桂も
“ほんまや、世代の違いいうのもあるんやから!”
と反論。
“ピーツーピーネットワークでは、誰がそのデータを手に入れたか解析するのが難しくなり、近年Winnyの様なファイル共有ソフトが…”
Winnyを使用した違法コピーは全国で拡がり続けている。
裏マニュアルと称したWinnyに関する本も。
人々の軽い気持ちが被害をネズミ式に広げていく。
2003年11月27日東京都文京区。
角ばった車体にフェンダーミラーが懐かしい黒塗りのセダン。
“北村文也警部補(渡辺いっけいさん)”率いる“京都府警ハイテク犯罪対策室”のメンバーが金子勇のマンションを訪れる。
同日、群馬県高崎市、愛媛県松山市にも令状をもった京都府警の捜査員が。
“…寝ぼけてはるわ。
金子くん?
Winnyが入ったパソコンはどれですか?”
北村は数台あるパソコンのなかで金子がメインで使っているパソコンを触り
“なんでや、アップロードでけへん”
これはダウンロード専用だという金子に
“そんなわけあるかいや…あるかいやそんな…。
アップロードでけへんで”
北村は若い捜査員にパスする。
大阪府大阪市。
壇と浜崎は先輩弁護士の奥田と酒を飲みながら食事中。
“Winnyを使い違法アップロードをしたとして著作権法違反の疑いで二名逮捕”
Winnyによる逮捕者は全国初。
顔が見たくなったという理由で二人を食事に誘った奥田は最初からそのつもりだったのか、弁護を自分が引き受けることになった、サイバー犯罪は詳しくないから手伝ってくれという。
…が、壇は違法アップロードをした人間を弁護することはできないと断る。
金子勇は“参考人”ということで警察署に。
“なぜWinnyを作ろうと思ったのか?”
フリーネットという別のソフトウェアの技術が画期的だったのでそれに感化されて作った。
“あの、さっきから何回も同じこと言ってますけど”
“著作権侵害の蔓延が目的やったんとちゃうんか?”
決めてかかる警察サイド、否定する金子。
同じやりとりの繰り返し、まさに堂々巡りだ。
突然の朝の訪問からの参考人という名目での取り調べ、金子は疲れきっている。
北村は騒動の原因となっているWinnyのHPの閉鎖を金子に“お願い”し、金子はそれを承諾。
“ただね、それだけやと根本的な解決にはならへんのよ…。
誓約書を書いてもらいたいんです”
Winnyの開発をやめるという宣言を書いてほしいと北村は金子に“お願い”する。
“わかりました、私にできることであればなんでも協力します”
北村は金子に誓約書を書いたことはあるか?と聞き、ないという金子。
奥田は壇を説得するが、壇は動かない。
Winnyを作った開発者が逮捕されれば弁護する、絶対ないが…。
“なぜ言い切れるのか?”
壇はいう。
もし自分がいま右手に持っているナイフで浜崎を刺殺したとする。
当然刺した自分は逮捕されるが、このナイフを作った人は逮捕されない。
このナイフはあくまで“肉を食べる道具”として作られたもので、間違った使い方をした本人が悪い。
技術に罪はない。
アメリカの“ナップスター事件”などファイル共有ソフト絡みの事件ではいずれも開発者は逮捕されていない。
“出る杭は打たれるっちゅうことか…”
“出過ぎた杭は打たれないとも言いますけどね”
“47氏”こと金子勇はネット上では神のように崇められている。
“Winnyはまさに、未来を先取りした技術や…いつか、世界を変えるような”
取り調べ室、北村が持ってきたのは“誓約書の見本”、それを金子に書き写せという。
北村は誓約書というが、見本には“誓約書”ではなく、“申述書”と書いてある。
その内容は
“自分が開発し、配布したWinnyを利用して著作権法違反を行う者が出てくることは明確に分かった上で開発した。
Winnyにより著作権法違反が蔓延することは過去のWinMAXを見ても間違いないと分かっていた。
逮捕者が出たことを聞いたが、分かった上でWinnyを開発した…”
“これを書き写したら帰ってええから”
“これ、あとで訂正できるんですよね?”
“当たり前やがな…”
冷静な状態で書面を見て、北村警部補の発言を聞けば“なにかおかしい”と普通は気づく。
だが、疲れて頭が回らない状態で自分の知らないことを刑事に“そうだ”と言われれば誰でも信じてしまう。
はじめて書く誓約書、申述書と書いてあっても、違いなど分からない。
飴と鞭のごとく、高圧的な若い刑事に対して柔らかく接する北村の言葉に、とにかく帰れるならという気持ちで金子は見本を書き写し、サインしてしまう。
6ヶ月後、松山東警察署。
“このメモを領収書に書き写しといて”
職員たちに“お願い”する警察幹部。
“わしにはやれいわんのか?”
“言うても、いつでも書いたことないじゃろうが”
巡査部長の“仙波敏郎(吉岡秀隆さん)”は巡査でまだ若い“山本幸助(金子大地さん)”から領収書を取り上げ
“ええか…偽領収書を書いたら私文書偽造で3ヶ月以上5年以下の罪になる。
それをもとに公文書を偽造すると、1年以上10年以下の罪や。
詐欺や業務上横領は10年以下!
それだけの罪を犯したもんが…千円のものを万引きした人間を捕まえて調書取れんのか?”
“自分も、良くないことやとおもとります。
でも、みんながやってることですし”
“ほしたらなんのためにするんや…”
“…組織のためです”
“組織のためならなにをしてもええんか!?”
ならどうすればいい、言いたいことがあっても、上から言われれば我慢して従うのが普通の人だ。
みんな仙波のように強くはない…。
堪忍してください、山本は仙波から逃げる。
金子勇はもとの平穏な生活に戻りパソコンに向き合う日々。
仲良しの姉から送られてきた正月の帰省のときに撮った二人並んだ写真に思わず笑顔がこぼれる。
そんな彼のもとにまた、京都府警の北村たちがやってくる。
“金子くん、逮捕状が出た。
著作権法違反幇助や”
警察は本人が忘れた頃に突然やってくるという。
北村たちは金子を逮捕するため、着々と準備をしていたのだ。
北尻総合法律事務所。
パソコンで仕事をする壇に奥田から電話がかかってくる。
TVをつけてくれという奥田。
“Winny開発者逮捕、国内では初。
ニュース速報、東京大学特任助手の金子勇容疑者逮捕。
サイバー犯罪摘発の実績で全国一二位を争う京都府警が…”
ニュースを見て驚く壇。
“いうてたよな、開発者の弁護なら引き受けるって”
壇は金子の弁護を引き受ける。
メンバーは壇、桂、浜崎、“林良太(池田大さん)”、サポートを担当する事務所スタッフの“桜井恵子(木竜麻生さん)”
“Winny事件”のはじまりは2003年11月27日。
映画やゲームなどを違法アップロードしたとして群馬と愛媛でユーザーが逮捕。
同日、開発者・金子勇の家宅捜索も行われたが、逮捕はされなかった。
正確にはできなかった…想定していた証拠が出なかった(金子勇は特別に作ったダウンロード専用のWinnyを使用していたため)
警察は“開発意図(なんのために作ったのか?)”を問題にしている。
著作権侵害の蔓延目的はないと思う、それが壇の考えだ。
2ちゃんねるの金子勇の書き込みと思われるものには
“著作権などの従来の概念が崩れ始めている。
誰かがこの壁に穴をあければ…”
違法な使用をやめるよう注意喚起の書き込みもある。
矛盾ともとれる内容、これをどう解釈、読み取るべきか…。
一部を切り取って判断すると誤解を生む、前後のやりとりなど全体を見て冷静に判断しなければ。
事務所には取材の依頼などWinny事件に関する電話が殺到する。
そのなかの一本、壇あての電話。
“2ちゃんねるのユーザーを中心として弁護費用を集める動きがある、弁護士さん名義で口座を開設した方が安心じゃないか?”
壇と林は金子勇に接見。
“名前47 02/04/11 00:28
著作権などの従来の概念が崩れ始めている。
お上の圧力で規制するのも一つの手だが、技術的に可能であれば誰かがこの壁に穴をあけてしまって後ろに戻れなくなるはず。
最終的には崩れるだけで、将来的には今とは別の著作権の概念が必要になると思う”
金子に壇は状況を説明。
“ご自分で納得されない調書には、絶対に、署名しないでください。
裁判で証拠となってしまいますから”
帰り道、林は壇に
“金子さんは、なんでWinny作ったんでしょう?”
やはり、Winnyはなんのために作られたのか?
そこが一番の争点であり、誰もがまず最初に頭に浮かぶことだ。
“政府関係のプログラマーをしている学生時代の友人はWinny事件はサイバーテロだと…”
都市伝説レベルだが、金子は某国のスパイじゃないか?という話もある。
裁判所、金子が聞かれることはやはり
“あなたは、著作権侵害の蔓延目的で、Winnyを作ったのですか?”
そんなこと一度も言っていないという金子。
“でも警察の取り調べのなかで、そう書きましたよね?”
北村の申述書のことだ。
“あれはそう書けと言われたのであって”
質問した裁判官も要領を得ない。
普通は書けと言われても自分が不利になること、ましてや事実と違うことを書いたりしないからだ。
五条警察署の取り調べ室。
“ここに署名してもらえるかな…なぁ、頼むわ。
協力してほしいんやわ”
金子勇は検事の“伊坂誠司(渋川清彦さん)”にまた、“お願い”される。
内容は
“私は常日頃から、近頃のインターネットの普及により、著作権などの従来の概念が崩れ始めていると考えており、著作権侵害を蔓延させて新たな著作権の概念を生み出そうとし、開発するまでに至りました。
勾留質問のとき裁判官には、著作権侵害の蔓延目的でWinnyを開発したわけではありませんと言いましたが、裁判所での発言は嘘です。
弁護士に入れ知恵されました”
“ご自分で納得されない調書には、絶対に、署名しないでください。
金子はまた、署名してしまう。
2ちゃんねるにはWinny、金子勇に対しての賛否両論の書き込みが溢れている。
金子を支援したいという人々のために開設した口座。
壇は500万を超える金額と支援者の数に驚き、事実と違う検察の調書に金子が署名したことに驚き、呆れる。
“なぜ署名したのか?”
“捜査には協力した方がいいのかなと思いまして…”
“協力?デタラメにサインすることが?”
“でも、それは、裁判所で訂正すれば…”
“裁判所で訂正すれば、信用してもらえると?”
“…はい”
“…この国の裁判所は、そんなに甘くないですよ。
自白調書に署名してしまったら、全部自分が喋ったことになってしまうんですから”
“…でも、サ、サインしても、訂正できるんじゃ…?”
“残念ながら、できません”
どれだけ弁護側が寝ずっぱりで闘っても、後ろから撃たれては勝てるものも勝てない。
壇は金子に記帳した通帳、彼を応援する人たちの声を見せ、闘うしかないという。
金子は検察庁で嘘の調書に“お願い”という形で署名させた検事の伊坂と対峙。
さっさと罪を認めた方がいい、認めたらすぐ釈放されて自由になれる。
“お前には責任感いうもんがないんか!”
伊坂が机を叩き、声を張り上げても金子は黙秘を通す。
テレビのインタビューでは著作権保護団体の代表がWinnyは民主主義的な著作権制度を破壊する技術テロ、情報テロと公言。
Winnyは著作権だけでなく、名誉も毀損する。
まるでテロリスト扱いだという桜井。
“こっちはエロリストやな…”
週刊誌には金子勇宅から警察が押収したアダルトビデオが並べられた写真が。
こんな横暴を許していたら日本の技術者は誰も新しいことにチャレンジしなくなる。
こんな写真は関係者のリークがなければ撮れない、壇と桂は検察へ乗り込む。
壇は伊坂に新聞、週刊誌を突きつけ、リークしてるのは検察、警察の人間ではないか、やりすぎだと問い詰める。
“捜査に関する情報を誰がリークしてるのか?”
伊坂はそれはマスコミが勝手にしたことだ、うちにはなんの関係もないと突っぱねる。
“新聞に掲載された逮捕の瞬間の写真、これは逮捕を事前に知っていたから撮れたのでは?”
“私に聞かれても”
“権限を有する人間が、流したのであれば、それはリークには当たらないと?”
“もちろん、リークではありません。
捜査機関には、国家の安全を守る目的がありますので”
本当にこの国の将来を考えているなら、金子勇はいますぐ釈放されるべきだという壇に、伊坂はなにを根拠にという。
開発者の逮捕はあまりに不当なことだからだという壇に、伊坂は金子勇本人が裁判所での発言は嘘だと署名しているじゃないかという。
“それはあなた方が…”
“無理やり書かせたと、仰っしゃりたいんですか?
しかるべき形で証拠を提出してください、法廷で正々堂々と争えばいい。
この国は、法治国家なんですから”
“いまの言葉、胸をはって言えますか?”
“はぁ?”
“この国の未来の技術者、国民に、この逮捕、勾留は正しかったと胸をはって言えますかと聞いてるんです!”
壇の怒り、思いを込めた言葉も伊坂には届かない。
拘置所、金子は暗い部屋の小さな窓から夜空を見上げる。
それは子供の頃に心震わせた満天の星。
子供の頃、近所の書店で雑誌・スカイウォッチャーを読み、暗記したコードを商店街の電気屋の店先に置いてある“NECマイコン”に入力して星空を描いた。
金子は少年の頃、パソコンのなかに広大な宇宙を見たのだ。
それを大人になったいま、暗い部屋の小さな窓から見ている…。
“…起訴されたらどうなるんですか?”
まずは“保釈申し立て(保釈申請)”をする。
だが、現在の刑事司法ではなかなか保釈は認められない。
自分のせいだ、署名してしまったからと落ち込む金子に
“あっちのやり方がおかしい、金子さんのせいじゃない”
壇は励ます。
金子はWinnyの課題、問題を修正したいという。
拘置所のなかでもアイデアが頭に浮かび、ずっとWinnyのことを考えていたのだ。
Winnyを健全に、誰にとっても良いものにする話で二人は盛り上がる。
“金子さんは、ただそこに山があったから登ったんです”
Winnyは著作権侵害蔓延なんかじゃなく、著作者の権利を守るために開発されたと、壇は確信する。
金子勇の公判請求。
平成16年5月31日付けの起訴状には
“違法アップロードの温床として著作権侵害に利用されていることを認識、認容し、あえてWinny最新版を公開、手助けをした”
判例(裁判例)が少ないという浜崎、なにが幇助なのかは書かれていないという桂。
幇助とは犯罪の手助けをしたということ、幇助は刑法の歴史のなかでもかなり解釈が難しいとされる分野。
“とにかくやれることはやらんと”
壇は保釈を取るために裁判所へ、桂は“助っ人”を頼みにいく。
刑事事件のスペシャリスト、“秋田真志(吹越満さん)”弁護士。
弁護士にとって、刑事事件で起訴された案件は一生に一度出るか出ないか。
そんななかでなんと10回以上無罪を勝ち取ったレジェンドだ。
“裁判の要点が明確かつ、簡潔でないことが問題”
金子は拘置所で真っ黒な新聞を読んでいる。
食事を持ってきた看守から自分もWinnyで世話になった、無修正のエロ動画がダウンロードし放題だといわれる金子。
壇は裁判官を説得。
逃亡のおそれが…という裁判官に、彼は逃げる必要なんかない、彼を応援する寄付も集まっている。
“一年間京都のホテルを借りることもできる!”
壇の熱意に押されたのか、保釈が認められる。
保釈当日、京都拘置所に金子勇の姿をとらえようと多くのマスコミが集まる。
壇たちは二手に分かれる作戦で無事ホテルへ。
プログラム開発の禁止、面談禁止リスト…裁判が終わるまで、生き甲斐であるプログラミングをすることができない。
姉など親しい人と会うことはもちろん、連絡をとることもできない。
松山東警察署八沢五丁目交番。
実在しない捜査協力者の“偽領収書”によって作られた裏金、テレビで流れる大洲警察署の元会計課長による匿名での告発。
“いつか暴露してやろうと思って証拠品を持ち出した”
壇、金子、桂、桜井は壇たちの行きつけの店で食事中。
“ネコフライトの話”、金子は久しぶりの“シャバ”を楽しむ。
検察のいう“犯罪を幇助した”という部分、それをどう弾劾するか…。
“幇助はただの言葉ですよ。
問題は、彼らがなぜ金子さんを逮捕したかです。
…その裏の意図を理解しないと、まぁ結局、検察の手のひらの上で遊ばれるだけになっちまう。
…そもそも逮捕までの動きが性急すぎると思いませんか?”
“仮にその…裏の意図を掴めたとして、どうすれば?”
“…性急さは命取りです、待つんです。
敵が尻尾を見せるまで”
東京に戻った金子は事件のせいで大学の職を解雇されてしまう(辞職させられる)
自宅は家宅捜索で荒らされたまま、大切なPCは1台もない。
昔、姉からもらったカメラ…姉と自分、幼い二人。
金子は河川敷で大好きな飛行機が飛び立つ姿、ビルの間に沈む夕焼けを撮る。
姉に無事を伝えたい、声が聞きたい…。
2ヶ月後、壇たち弁護団は裁判に向けて準備、作戦を練っている。
やってきた金子に落ち込んでいる様子はなく、桂が驚くほどに明るい。
壇と金子はさんま定食を。
さんまの食べた方が分からないという金子、食べにくいものは苦手だ。
熱くない、辛くない、食べにくくない。
男は骨ごと食う…。
“これからの道のりは、厳しいものになると思います。
私は…自分の人生の5年間を金子さんのために使うので、金子さんは、日本に生まれてくる技術者のために…残りの人生使って欲しいっす”
Winny事件、初公判。
裁判所には沢山のマスコミが集まる。
検察席には伊坂の姿も。
起訴検事の公判立会、普通はこない。
伊坂がいるということは有罪への意欲が相当強いということだ。
裁判がはじまる。
“公訴事実。
被告人は、送受信用プログラムの機能を有するファイル共有ソフト、Winnyを制作し、その改良を重ねながら、自己の開設した、WinnyWebSiteと称するHPなどで、継続して公開及び配布をしていたものであるが…”
“検察官が読み上げた公訴事実に間違いはありますか?”
主任弁護人の秋田、処罰意思の内容が不明確だ。
“Winnyそのものが違法だということでしょうか、釈明を求めます”
“釈明の必要はありません”
“開発行為を違法とするならば、これは世界的にも例を見ません。
また違法とする、規定について一切主張がありませんがその点についてはいかがですか?”
“釈明の必要はありません”
“本件は、ソフト開発者が逮捕され、開発行為が違法かどうか、世界的にも注目されているというのに、それを明らかにしない検察官の態度が、いささか疑問です”
なにが問題なのか、なにをすれば犯罪になるのか?
それが分からなければ、プログラマー、技術者は萎縮し、新しいものに手を出せなくなる。
ソフト開発環境が根底から破壊されてしまう。
“本日付けの釈明書、記載第一の通りです”
検察の返しは一辺倒だ。
“Winnyの開発、公開は技術的な実験であって、著作権侵害の手助けをするという意図ではありません。Winnyの開発は、日本のためになると思ってやったことですから、社会に迷惑をかけるために、やったのではないです。
私は無罪です。
金子勇”
検察にあそこまで隠されるとどうしようもないという浜崎、実はよく分かってないだけかもという桂。
Winny事件はインターネット上の事件、ハイテク犯罪対策室がよく分かってないというのは“ない”
“馬鹿がバレたらメンツが保たれへんやろ?”
“たしか…金子さんの逮捕前に警察のパソコンが、ウイルスに感染しましたよね?”
詳しい内容はまだ未発表だが、警察職員にWinnyユーザーがいたらしく、そのパソコンからウイルスが警察のネットワークに侵入した。
“漏洩がリークされてから、金子さんが逮捕される2ヶ月間、警察は、どうしてたんでしょうね?”
秋田がいう警察の捜査情報漏洩。
なにかを隠そうとしていたのか…。
家電量販店のパソコンコーナーには“Winny使用禁止”の文字が。
Winnyは世間では完全に“悪”と見なされている。
金子はノートパソコンを購入。
Winnyの気になっていた箇所、問題部分を修正しようとするが、プログラム開発を禁止されている金子にはその、エンターキーを押すことができない。
愛媛県警の裏金問題。
県警は私的流用を否定、会計処理上のミスで使途は適正だと裏金を否定する。
仙波は山本にどう思った?と聞く。
いかんと思う、でもどうしたらいいか分からない、実際自分もやっていることだ。
“仙波さんは、なんで警察やめんのですか?”
“山本…やめるのは、簡単なことやぞ”
裏金告発の新聞記事を見た浜崎は警察内部にも真実を明らかにしたい人がいると考え深げ。
一人で大きなものと戦っている、その人は大丈夫なのかと桜井は心配する。
制裁を受けないことを願うばかりという林。
“まさに、出る杭は打たれるっちゅうことやな…”
浜崎のその言葉に秋田は反応する。
秋田の実家はみかん農家、鹿対策用に柵を作るために毎年杭を叩く。
杭は一人では打ち込めない。
叩く人、杭を押さえる人、指示を出す人…各パートが一体となってはじめて打ち込まれる。
“…捜査を指示したリーダーは誰なのか?”
金子勇の自宅から押収したパソコンのなかを調べ、報告書にまとめた刑事が証人として出廷。
動画や画像ファイルの確認、どうやって確認作業をしたのか?
“Winnyでダウンロードしたと思われるものを抽出しました”
“そのなかにはどんなデータがありましたか?”
捜査員の口から出たのはアダルトゲーム。
壇が尋問する。
“捜査方針というのは、ハイテク犯罪対策室の会議で決めるんですか?
“当然、事件に関係のある捜査員が行います”
“誰か、中心的なメンバーがいたんですか?”
“捜査会議には全員が出席し意見を出し合い、方向性を決めます”
“ということは、捜査内容の決定権をもつリーダーがいたのではないですか?”
検察官からの異議が入るが、秋田もすかさずフォロー。
“この尋問が不当やと言われたら、捜査についての質問ができなくなります”
裁判官の判断で捜査についての尋問は打ち切りに。
うやむやにされリーダーは突き止められなかった。
“そもそもこの裁判がおかしいのは、警察が原告になってることですよ”
著作権侵害は普通は“親告罪”、被害を受けた本人が訴えを起こすもので被害に対する“賠償訴訟”が通例だ。
“権力による、犯罪行為やな〜”
“こんな横暴許したら絶対あきませんて”
まさに“ジョージ・オーウェル”の“1984”の世界の到来。
1984は来たるべき監視社会を予言したような小説、桜井に嬉しそうに話す桂先生の発言の自由を壇が奪うこのシーン、好きです(笑)
愛媛県・松山市、伊予乃新聞社。
仙波敏郎は記者の“松山(阿部進之介さん)”に真実を調べるよう談判。
県警がだした報告書はデタラメだと訴える仙波に対し、松山は県警の発表を載せただけだ、それが正しいとは一言もいっていないと突き返す。
“それが真実かどうかを調べるのが、記者の仕事やないんですか?”
“…仙波さん、いい加減、察してください”
裁判、北村文也が証人として出廷。
壇が北村に尋問する。
“Winnyのユーザーを検挙することになった経緯を教えてください”
著作権保護団体の人たちに相談されてなんとかしないといけないと思ったという北村。
“11月27日の捜査の際に、あなたに対して具体的に指示をだした人はいますか?”
“タバタ班長です”
“捜査の手法に関しては、タバタ警部補が、あなたに指示をなされたという理解でよろしいですか?”
“捜査の手法に関しては、一任されておりました”
“一任!?…今回の捜査に関して、あなたが捜査の方法や方向性を決めていたということですか?”
“まぁ、そういうことになります”
“話は変わりますが、当時、あなたは、金子さんを被疑者にすることはできないという認識やったんですよね?”
“私は、金子くんは、単純に作っただけで、使った人が悪いんやという認識でした”
ではなぜ違法アップロードした被疑者宅ではなく、金子勇の自宅に行ったのか?
送受信機能があるかの確認とHPの閉鎖を直接お願いするために行った…。
“もう結構です、質問にだけ答えてください”
質問以外のことを喋ろうとする北村を壇はシャットアウトする。
法廷での発言はすべて、裁判に影響する可能性がある。
北村に余計なことを喋られては困る。
林が北村に尋ねる。
“被告人はもともと参考人であり、あなたは捜索をやったときも、本人からの質問に関し、あくまで参考人であって被疑者ではないと。
取り調べではないということを繰り返し伝えたということですか?”
“もちろんです”
その後被疑者になった、その理由を林は北村に問う。
林の北村への尋問を聞いていた弁護団のメンバーは思わず目を合わせる。
事情聴取はWinnyの機能やシステムについて聞く予定だったが、取り調べ室で金子が“著作権侵害を蔓延させて著作権の枠組みを変えるんや”と言いはじめた、自分もどうしたらいいのかと悩んだ。
北村は法廷で大嘘をつく。
“素人みたいな尋問するのやめてくださいよ”
壇は北村に好き勝手喋らせた林に苛立ちを隠せない。
“せっかくリーダーが北村やって突き止めたのに”
“まぁまぁまぁまぁ、ええやん”
浜崎が間に入り、レジェンド秋田が尋問の極意を指南する。
“尋問のポイントを見出して、血肉になるまで繰り返し反芻(はんすう)する。
尋問は、ライブですから。
練習が、命”
秋田は林に恋愛の目的はなにかと問う。
相手に好きだという自分の気持ちを伝えることか?
“それも、あると思いますけど”
“なら、その考え方を改めてください。
目的は相手に好きになってもらうこと、そのためにはなにも、自分の気持ちを伝えることだけが答えではない”
相手に好きと言わせればいい。
尋問に置き換えれば、嘘をついている人間に、私が嘘をつきましたと言わせるのだ。
予定が狂った、次の尋問が最大の山場。
壇たちは秋田に次の尋問を頼み、秋田はあっさりと快諾。
メディアに“蔓延”している“蔓延”という聞きなれない言葉…これは本当に金子が考えたのか、秋田は気になって仕方ない。
喫茶店で壇と秋田は金子から話を聞く。
秋田の警察からどのような取り調べを受けたのかという金子への質問。
Winnyの開発を中止するという誓約書を書けといわれて承諾したら北村が見本を持ってきて書き写すようにいわれた、あとで訂正できるともいわれた。
“えっ、北村に無理矢理作文させられたんですか?
…なんでそんな大事なこといままで言わなかったんですか!”
金子は北村がいう誓約書に“蔓延”を“満えん”と書いた。
普段、“蔓延”という言葉を使わないから単純に間違えたのだという。
伊坂の取り調べでは自分の意思で黙秘した。
“あとこれ、誓約書やなくて、申述書やね”
誓約書という口実で申述書のフォーマットに書かせた。
まさに詐欺師のやり口だ。
最大の山場となる反対尋問がはじまる。
主任弁護人の秋田が北村に尋問。
“11月27日のことについて、この日一斉の強制捜査に乗りだした?”
“はい”
“金子さんの自宅の強制捜査の指揮を執ったのもあなたであると、そういう理解でよろしいでしょうか?”
“そうです”
“で、あるならば。
金子さんがどういった人物であるのか?
著作権法上プログラム開発者に対し、どういった問題が生じるのか事前に調査された訳ですよね?”
“自分はしていないが、他の者がしたと思う”
“あなた自身は調べようとはしなかった?”
“はい、特には”
“金子さんはあなたの捜査対象であるにも関わらず、そういった曖昧な関心だった訳ですねぇ”
“他の逮捕者のことで頭がいっぱいだったんだと思います”
“申述書についてお聞きします”
秋田は北村にたたみかける。
“これはすべて金子さんの任意で書いたのですか?”
“いや、それは違います”
“ん、どう違うの?”
ここから北村はガラガラと崩れはじめる。
“…本人が、普段字は書かないのでサンプルはありませんかと聞いた訳です。
でもサンプルはないので、見本を書いてあげようかということで、私が書きました”
“…ちなみにその見本はいまでもお持ちですか”
“うーん、おそらくもう廃棄したと思いますけど”
“えー金子さんの証言ですとこれは、誓約書という名前でしたね”
“はい、金子くんはそういう風に表現してたと思います”
“それを申述書、という言葉に変えたのはあなたですね?”
“ええ”
“これは、そのときのもので間違いないですか?”
“はい、間違いありません”
“この書式…供述調書と同じようになってますねー”
“…そうかも知れませんね”
検察官が意義を申し立てるが、これは検証に関する質問です、この点に関して検察官が嫌なことは特にないでしょうと秋田は返す。
“出来る限り端的に、簡潔に聞くように”
裁判長の許可を得た秋田は北村へ尋問を続ける。
“一枚目の真ん中にインターネット上に満えん(蔓延)という言葉があるの分かりますか?”
“はい”
“これも、金子さんが使った表現ですか?”
“これはそうやと思います”
首を横に振る金子。
“蔓延という言葉は…特殊な表現であるという認識はありますか?”
“いいえ、そうは思いませんが”
“あなた前回の証言で、蔓延という言葉を金子さんが使っていた記憶があると仰っていましたが、それはどの場面ですか?”
“取り調べの最中です。
彼の趣旨を見極めるために10分ぐらいそこにおりましたので”
“あなた金子さんの2ちゃんねるの発言を見たことがある訳ですよねぇ?”
“はい”
“そのなかに一度でも蔓延という言葉は出てきましたか?”
“…いや、覚えがないですね”
“うーん、覚えがないですかー。
あなた前回、著作権団体との接触を認めておられますねぇ…”
“え?…ええ”
“平成十五年…11月4日、京都の五条警察で著作権協会の方の調書が作成されてるようなんですけどご記憶ありますか?”
“覚えてますよ”
“えー甲11号証を示します。
その…6ページに、著作権侵害が蔓延しているという記述がありますねー”
“はい、ありますね”
“ありますね。
えーそして次に、甲49号証を示します。
これは平成十五年、11月11日に作成された調書の6ページこの部分。
著作権侵害が蔓延している状況という記述がありますね”
“はい”
“ありますねー。
ということはあなたは…著作権侵害が蔓延しているという表現を11月27日以前に、耳にしていたのではないですか?”
北村は凍りつき、狼狽、取り乱す。
検察官は予想外の事態に驚きを隠せない。
取り調べのプロが尋問のプロに食われた瞬間。
“…いや。
…や、私はそういうことは聞いておりません。
…この調書を見たのも、そ、そういう調べをしたというのも、いま、いまここではじめて知りました!
はじめて知りました!”
こういう役はいっけいさんが日本一だと思う。
してやったりの秋田率いる弁護団と金子はいつもの店で祝いの宴。
すごいという桜井に秋田は指南する。
蔓延という言葉は金子の言葉ではない、捜査報告書や著作権協会の供述調書には蔓延という言葉がある、ということは…北村はそれを引用したのではないか?
警察のなかで使ってませんか?と聞くと北村は否定、嘘をついた。
北村は秋田の罠にまんまとはまったのだ。
蔓延という言葉が警察内部で蔓延していた。
“わざと嘘をつかせてピンどめし、そこに矛盾を突きつける、これが反対尋問の基本テクニック”
桜井はじめ一同は秋田を拍手喝采。
“金子さんにとってWinnyってなんなんですか?”
そう聞く秋田に金子はWinnyは自分の表現、プログラミング以外の言語で喋る術を知らないのでと答える。
宴を締める一言、金子は腕を組みながら
“自分が有罪になったら多くのプログラマーに迷惑がかかるので闘うことにした、自分は世の中が良くなって欲しいと思ってる、自分を有罪にして世の中が良くなるならそれを最優先にしてほしい”
“金子さんの無罪を勝ち取るためにみんな集まってるんやから!”
壇はツッコミ、桂はコケ、場は笑いにつつまれる。
愛媛弁護士会館、仙波敏郎は弁護士たちに訴える。
捜査費の99%以上は警察職員が書いた偽の領収書による裏金になっている、裏金を作るために多くのえん罪事件も起きている。
裏金を根絶しなければ、このままでは県民の信頼を失う。
このままではいけない。
弁護士たちは記者会見で話をしてくれるよう仙波に依頼、仙波は快く引き受ける。
“いつか、誰かがやらなければ…”
記者会見は1月20日、前日19日に仙波のことや内容を伏せた状態でマスコミ各社に連絡。
仙波は前日の19日は自宅ではなくホテルに泊まる。
県警に悟られないよう、慎重に事を進める。
“妨害もあるかも知れない、特に盗聴には気をつけるように”
仙波は弁護士から釘を刺される。
帰宅してTVをつけると“Winny、捜査情報漏洩”のニュースが。
京都府警の捜査情報が漏洩、捜査報告書や指名手配書などの捜査資料が流出した。
仙波の自宅窓から見える黒いセダン…感づかれたのか?
情報漏洩はWinnyが原因だという記事は誤解だと壇は憤る。
正確にはWinnyを通じて感染したウイルスの問題なのだと…これではWinnyの悪い印象が作られてしまう。
まるで何者かが金子勇を犯罪者に仕立て上げるかのごとく負の連鎖は続く。
金子はWinnyによる情報漏洩を止めるため、プログラムの修正をやりたいと壇たちに懇願。
あと二行のコードを書き換えれば情報漏洩を止められる、自分はこんなことは願っていない…。
“金子さんを逮捕させる訳にはいかない、金子を信じている多くの人たちの気持ちが水の泡になる。
裁判が落ち着くまで辛抱してください…”
金子、壇、みんなが頭を抱える。
記者会見前日、仙波は車でホテルへ。
仙波の車をつけるかのように走る一台のセダン、ホテルに着いた仙波は不安に苛まれながら前日の夜を過ごす。
Winnyからの情報漏洩、新聞を見ながら悩む金子。
壇たちは裁判に向けて仕組みなど、Winnyを分かりやすく説明するにはどうすればいいか考えている。
睡眠不足に疲労困憊、桂はダウン。
帰り際に
“裁判官の多くは自分と同じネットに縁がないアナログ人間なんや、自分でも分かるようなものでないと意味がない”
壇たちは悩む。
眠れない金子、金子は事態を改善できるパソコンが目の前にあるのになにもできない自分の無力さに涙する。
仙波は警察手帳を前に眠れぬ夜を過ごす。
壇は一人事務所に残り、資料作りを続ける。
1月20日、記者会見当日。
集まったマスコミの前で仙波敏郎は裏金作りの実態を告発する。
“人一倍強い正義感をもって警察官になったはずの若者たちが今日も何処かで、上からの指示で裏金作りに加担させられている。
警察官としての良心を蝕まれている。
私はその現実の前にこれ以上黙っていられなかった。
現場で一生懸命働いている若い捜査員、寒いなか、昼夜を問わず頑張っている立派な若者たちが沢山いる。
志をもって県警に入ってくる人たちのためにも、このままではいけない”
記者会見をテレビで見た山本はなにを思ったのだろう、仙波の思いは、届いたのだろうか…?
現職警察官による実名、顔だしでの告発。
愛媛県警は今回も否定する。
仙波敏郎の記者会見は波紋を呼び、いつもの店で食事中の壇たちの耳にも届く。
仙波さんはどうなるのかという桜井に浜崎は
“立証が難しい、警察職員が実際に書いているところを見せるしかないかもな”
その浜崎の言葉からヒントを得た壇は金子に法廷でプログラムを実演してもらい、理解を得る方法を思いつく。
金子の開発意図を言葉で説明するのは無理だ…。
金子が開発したフリーソフト、“ネコファイト”、“ネコフライト”
どちらも人工知能を搭載した金子勇の代表作。
法廷で金子は自身がプログラミングをはじめた子供の頃のことを話し、代表作であるネコファイトを実演。
ネコファイトがどういうものか話はじめると専門用語を交えながら夢中で喋り続け、実演途中に新しいアイデアを思いついたと勝手にプログラムを修正しはじめる金子に裁判官、検察官、傍聴に来ている人たちは困惑する。
“彼は普通のプログラマーが3年かけて作るプログラムを二週間で作ることができる。
そのプログラムセンスは10年に一人の逸材といわれている”
法廷で夢中でキーボードを打ち続ける金子をよそに、壇はプログラマーとしての金子勇とはどういう人物か、説明を続ける。
“彼の技術というのは技術に対する単純な探究心でしかなく、社会の秩序を壊すなどの思惑などない”
事務所、金子は壇に自分は一般常識にうとい、普通のことをあまり知らないと話す。
“正しく理解して扱わないと取り返しのつかないことになる”
幼い頃から宇宙の雑誌ばかり読んでいた、空ばかり見てるからいろんなところにぶつかる。
“宇宙への憧れが、金子勇を作ったんですね…”
“宇宙は広すぎて無理かもしれないが、コンピューターの宇宙なら自分一人でその大部分に触れることができるんじゃないかって考えた、小学生の頃に。
まだ夢半ばだが…”
壇は金子に宇宙に触れられるビジネスをやろうという。
金子はやりたいことを、好きなように開発すればいい、お金のことは自分がやる。
二人は壮大な夢を、笑い、語り合う。
仙波敏郎の告発から半年以上の月日が流れたが、新聞には裏金否定の記事が載るだけ。
あろうことか出世できなかった腹いせ、腹いせ告発と書かれ、窓を割られるなど仙波は嫌がらせを受ける。
裏金問題が進展しないなか、伊予乃新聞の記者・松山がWinny上に流出した裏金の証拠を見つける。
ファイル名には“流出”と書かれている。
ウイルスに感染して流出したのか、心ある誰かが意図的に流したのか…。
裏が取れるかも知れない、松山は動く。
闘いは続いている、裁判官に分かりやすくすべてを説明することが大事だ。
壇たちは対策を練り、裁判に挑み続ける。
P2Pからはじまり、1999年にイアン・クラークが書いた“フリーネットの論文”について説明する。
“フリーネット”とは言論弾圧への対策手段として開発された“匿名出版システム”のこと。
金子はこの論文を読んで非常に画期的な技術かつ画期的な提案だと思った。
“どのあたりが?”
“フリーネットの匿名性の部分、そこに関する主張が新しいと思った。
例えば、新聞社は情報提供者の情報を知っているがそれを明かさない、明かさないからこそ匿名性は成り立つ。
しかし実際には新聞社は情報提供者本人を知っている。
フリーネットは匿名性は技術的に実現できるといっていて、そこに関する主張が非常に画期的だと思った”
金子勇のいう匿名性とはニュースソースを守る、言論、思想、表現の自由を保証する、そういう趣旨。
警察の取り調べのなかで著作権侵害を蔓延させてネット社会の著作権の枠組みを変えたいということは絶対に言っていない。
“なぜ調書にそのような記載があるのか?”
北村の作文だからだ。
Winnyから流出した証拠が決め手になり、愛媛県警の裏金が世間に暴かれる。
“もしかしてこれが、逮捕の裏の意図?”
トカゲの尻尾…いくら尻尾を追い回しても決して本体は姿を見せない、いつも真実は藪の中だ。
図らずもWinnyが仙波敏郎の勇気ある告発に貢献した。
だが…金子は頭を抱え続けている。
Winnyの置かれている状況もまた、このままではいけないのだ。
金子はたまらず姉に電話、電話は留守番電話に繋がる。
迷惑、心配をかけたことへの謝罪、みずからの無事、あとひとつ。
金子は姉になにを伝えたかったのか…。
テレビにはWinnyを使用しないよう官房長官からの異例の呼びかけが流れる(当時内閣官房長官だった安倍晋三さんが呼びかけた)
事務所での夕暮れ、F35、伊丹空港から飛び立つ飛行機のバンク角の話…壇と金子はたわいない話で盛り上がる。
裏金を暴いた仙波敏郎には嫌がらせが続いている。
法廷、検察官から金子への尋問。
“あなた自身、Winnyを開発されているときに、いまの日本の社会で、言論が、脅かされてるとか弾圧されてるとかそういう認識はあったんですか?”
“その認識はずっとあった、世界には公表することで制限を受けてしまう情報が沢山ある。
またその情報の発信者は攻撃を受けてしまう可能性もある。
それを防ぐ、守るために匿名性を担保する技術について考えていた。
告発、著作物、公表することによって攻撃を受けてしまう場合でもいい。
匿名で情報を発信したい場合にはすべて当てはまる”
裁判の最後に金子勇が語った思い。
“私は、科学技術は素晴らしいものだという、1970年代に生まれ育ちました。
いまでも私は、科学技術は素晴らしいものだと信じています。
そしてこれまで私は、色々なプログラムを作り、発表してきました。
新しい技術を生み、表にだしていくことこそが、私の技術者としての自己表現であり、私なりの社会への貢献のあり方だと考えていたからです。
10年前にWinnyを作っても、検証が出来なかったでしょうし、10年後にWinnyを作っても、ありふれた技術だと見なされたでしょう。
Winnyの開発は、早すぎたのでしょうか?それとも遅すぎたのでしょうか?
最近私は、そんなことも考えます。
Winnyについて色々と言われていますが、これらの問題はすべて技術的に解決可能であり、Winnyは将来的には評価される技術だと信じています。
今日ここに、色々と言われてきたことに対しての対策を施したWinnyを持ってきました。
しかしいまの私には、これを公開することすらできません。
私がWinnyの開発中断を余儀なくされてから、すでに2年半以上の時間が経過しました。
その間にも世界中では、様々な技術が生まれ、私の方でも、新しいアイデアを思いついています。
…ですがいまの私は、それを、形にすることができません。
…私にはそれが、残念でなりません。
金子は深く頭を下げる。
金子は眠れぬ夜を過ごし、壇はネットニュースを見てため息をつく。
“アメリカが世界をリード!動画投稿サイトYoutubeが世界を席巻”
初公判から3年、判決。
“罰金150万円、敗訴”
伊丹空港に向かう二人。
まだ負けた訳じゃない、次も頑張ろうという金子に壇は
“日本では一度有罪になってしまうと、次に無罪になっても名誉の回復は難しい。
裁判を続けるということは金子勇の開発者としての大切な時間を奪ってしまうことになる。
それを考えると…”
もっとバンクしよう、闘おうという金子に、壇も頷く。
7年後、葬儀場。
壇は金子勇の“姉(吉田羊さん)”から形見分けとして金子が愛用していたメガネを受け取る。
それは金子勇という一人の人間の生き様。
諦めずに闘い続けた金子勇は最高裁で無罪を勝ち取るが、それから一年7ヶ月後、急性心筋梗塞でこの世を去る。
42歳。
二人は空を見上げる、金子勇がいつも見ていた空を。
響き渡る飛行機が飛ぶ音…。
“未来の技術者のために”
闘いが終わり、彼が再び技術者として過ごせたのはわずか半年。
金子勇が遺したプログラムは、今日もどこかで動いている。
〓あとがき・感想(みたいなもの)
まず最初に書いた通り、Winnyの名称、それが大きな問題となり、連日ニュースで流れていたのは知っているが、Winnyがどんなもので、どんな事件だったのかはこの映画を観てはじめて知った。
金子勇さんのこともこの映画ではじめて知りました。
金子さんは一審では敗訴しているが、高等裁判所では無罪の判決を受け、最高裁判所で無罪が確定している。
高等裁判所での判決理由は悪用される可能性を認識しているだけでは、著作権侵害目的で開発したとは認められないというもの。
最高裁判所での判決は
“現に行われようとしている具体的な著作権侵害を認識、認容しながらWinnyの公開、提供を行ったものでないことは明らかである上”
“その公開、提供に当たり、常時利用者に対しWinnyを著作権侵害のために利用することがないよう警告を発していたなどの本件事実関係の下では、例外的とはいえない範囲の者がそれを著作権侵害に利用する蓋然性が高いことを認識、認容していたとまで認めることも困難であり、被告人には著作権法違反罪の幇助犯の故意が欠ける”
金子さんがWinnyを公開することによって、それが著作権侵害に利用されることを認識、認容、つまり分かった上で開発し、違法行為に使われることを認めていたと判断するのは難しい。
疑わしきは罰せず、という風にもとれる判決。
この判決は4対1で反対の意見もあったという。
Winnyの機能、匿名性などを考えれば、確率的に、極めて著作物侵害に利用される可能性が高い。
実際にほとんどの人間がそのように利用した。
認識と認容も認められると判断したのだ。
著作権侵害的な利用に対する対策を施すことなく、公開を継続していたことでも、認識、認容していたと判断できるのではないか?
“幇助犯が成立する”、一人の裁判官は反対意見を述べたという。
グーグルで検索して見るとWinnyと金子さんには賛否両論あるのが分かる。
日本では裁判所が無罪と判断すれば無罪だ。
金子勇さんは悪くない、ということ。
だが、個人的には多くの疑問も残る。
この“悪くない”は、法に触れるような悪いことはしていないということのようにも思う。
したことに対して、道徳上、人としてはどうなのか、そこはまた別のような気がする。
実際にWinnyによって著作権侵害、児童ポルノなどの被害にあった人がいるのだから。
無罪も被害も共に事実なのだ。
Winnyとはファイル共有ソフトのこと。
動画、ゲーム、音楽などのファイルをアップロードし、それをダウンロードすることができる。
またWinnyには電子掲示板の機能もある。
メインのファイル共有に関しては非常に匿名性が高い(実際はそうでもないという意見もある)が、電子掲示板の方は匿名性が低く、逮捕者はこの電子掲示板への書き込みから足がついたという。
やはりWinnyに関して思うことは裁判の争点にもなった“なんのために作ったのか?”ということだ。
劇中でのナイフは人を傷つけるものではなく、肉、料理を食べるためのものだという壇先生のセリフ。
道具、ソフトウェア、自分に身近なものでいえばスマホのアプリなどなんでもそうだが、ほぼすべてのツールに目的がある。
インターネットに関する知識が人並み、もしくはそれ以下の自分がWinnyの機能を知って真っ先に頭に浮かんだのはやはりYouTube、あとはDailymotion。
Winnyはそれらの前身のようなものなのかな?と思った。
映画を観るまで他の使い方は正直、思いつかなかった。
きっと世の中の多くの人がWinnyをそう使うものだと思い、そういった使い方が便利なので違法アップロード、ダウンロードをし、著作権侵害、名誉毀損などが世に溢れたのだと思う。
映画のなかの金子さんのセリフにフリーネットに感化された、匿名性の部分が画期的だと思ったというものがある。
公表することで制限を受けてしまう情報、発信者が攻撃を受けてしまう情報。
“金子さんのいう匿名性とはニュースソースを守る、言論、思想、表現の自由を保証する”
仙波敏郎さんは警察の不正を告発したせいで、嫌がらせ、金子さんのいう攻撃を受けてしまう。
つまり仙波さんのような人を守るためのソフトウェア、それがWinnyの本来の目的ということだろう。
だとするならば、素人の自分には匿名で画像や文章をアップロードできる機能だけで事足りるんじゃないかと思ってしまう。
動画や音声をアップロードする機能は例えば、告発の際に不正の様子をとらえた動画、音声をアップロードするために必要かも知れない。
でもゲームをアップロード可能な機能はニュースソースを守る目的に必要ないと思う。
こんなものを開発できる人が必要なファイルだけをアップロードできる仕様には作れない…というのは考えにくい。
一度Winnyのネットワーク上にアップされたファイルは削除することが難しいといわれている。
国や組織にとって不都合な情報が権力によって削除されないという点では、金子さんのいう言論、思想、表現の自由を守る、保証するというWinny本来の目的にかなった作りといえる。
だが、著作権侵害や名誉毀損に当たるものも削除できない。
最高裁での
“認識、認容していたと認めることはできない”
金子さんがWinnyが違法に使われるていることを“公開後”に認識していたことは普通に考えれば明らかに思う。
だって2ちゃんねる上で注意喚起をしてる訳ですから。
注意をしているということは認容、認めてはいなかったのかも知れない。
ここで疑問に思うのは分かった時点でWinnyの問題点が解決するまでなぜ公開をストップすることをしなかったのか?
違法に使用しているユーザーが注意されただけで違法な使用をやめる訳がない。
その普通の人ならやる対処を金子さんはやらなかった。
そこが運命の分かれ道だったように思う。
金子さんは2ちゃんねるの住人、いわゆる“2ちゃんねらー”、Winnyも2ちゃんねるの掲示板上でのやりとりから開発がはじまった。
だからか、金子さんが最初にWinnyを公開したのは2ちゃんねる。
これもなんというか…いただけない。
検証は2ちゃんねるやHP上に公開して世間の不特定多数の人に使ってもらうのではなく、問題点がないことを実証できるまで、プロジェクトなどもっとしかるべき場所でやるべきだった。
仮に公開するまでこんな使われ方をすることを金子さんが分かってなかったとしても、気づいた時点で公開を中止するべきだった。
映画のなかで自分は一般常識にうとい、普通のことをあまり知らないというセリフがある。
金子さんは生粋の技術屋、いい意味でこの分野のおたくだと思う。
きっとその人生の多くの時間を大好きなパソコンに向き合って費やしたのではないか?
Winny事件は金子さんの“世間知らず”な部分が引き起こした事件といえるかも知れない。
プラグラミングに関してはずば抜けた天才だが、普通の人が当たり前に分かることが分からない。
芸能界やスポーツ選手などその分野で一流と呼ばれる人たちにはありがちなことだ。
一つのことに他の人より何倍も懸命に取り組んできたせいで、それ以外のことがおろそかになってしまう。
壇先生が金子さんに宇宙に触れられるビジネスをやろうというシーンがあるが、個人でも企業でもいい、金子さんにはそういった足りない部分を補ってくれるパートナーが必要だった。
金子さんが警察の事情聴取で述べたという
“インターネットが普及した現在、デジタルコンテンツが違法にやり取りされるのは仕方ない。
新たなビジネススタイルを模索せず、警察の取り締まりで、現体制を維持させているのはおかしい”
この新たなビジネススタイルと聞いて頭に浮かぶのはやはり共存の道を見出したYouTubeだ。
金子さんが他の人が作れないものを開発し、良きパートナーがサポートする。
もしかしたら、YouTube登場以前に日本発でYouTubeのような素晴らしいものが誕生していたかも知れないし、映画ならNetflixやU-NEXTのようなもの、また音楽もそうだ。
サブスク時代が日本発信でもっと早くに訪れていたかも知れない。
警察のやり方もいただけない(詳細はストーリーにて)
金子さんは警察や検察から“お願い”をされる。
一般的にお願いというものは相手に断られることがある。
相手にはお願いを断る権利があり、相手が嫌なことはお願いしても断られる。
警察や検察がいうお願いは違う。
お願い=やれ、従えだ。
警察からのお願いを断っても分かったというまでお願いしてくるとか。
金子さんが“お願い”を受け入れなければ、その場から帰してもらえなかった可能性が大きい。
暗黙の強要、そこに選択肢はないのだ。
明確に法律に違反していない、証拠がない、強制できない、相手がグレーな場合には警察はこういう手段に出てくるという。
お願いされる、断るを24時間、連日連夜続ければどうなるかは分からないが…(笑)
金子さんの逮捕は警察の仕返しという話がある。
情報漏洩の仕返しである。
これはあるかも知れない。
被害を受けたのが警察組織や警察関係者の場合、犯人に対して警察は非常に厳しいという。
警察で働く人たちも同じ人間、身内がやられたら怒りや憎しみの感情が湧くのは当然のこと。
警察で働いている=善人ではない。
善人もいれば悪人もいる。
グーグルの検索候補に殺された、という不謹慎で穏やかでないワードが表示される。
これは…どんな話か読んでないが、それこそ都市伝説レベルの話ではないだろうか?
現代において殺人はもっともリスキーで頭が悪い解決手段だ。
自分にはいい意味でも悪い意味でも、金子さんが世の中を騒がせる、国家転覆を企むような人間には思えない。
情報漏洩の被害にあった、いくら腹がたつからといって、国の組織が殺害するとは思えない。
組織のなかに日本万歳、組織万歳な人間がいて勝手にやったなら分からないが…。
外国が自国に不利益をもたらす危険人物と判断して…いや、やっぱり都市伝説レベルの話だ。
映画は非常に分かりやすく、キャストも素晴らしい面々で完成度が非常に高い。
エンターテイメント的なぐっ!と盛り上がるシーンはなく(一番盛り上がるのは秋田先生が北村警部補を追いつめるシーン)、静かに、重厚に、丁寧に事件を描いていく。
この綺麗な女優さん誰やっけ?と思って観てたら木竜麻生さん!
木竜麻生さんをはじめて観たのは2018年の映画“鈴木家の嘘”
父親役の岸部一徳さんが実在する大宮にあるソープランドで揉めて娘役の木竜麻生さんが迎えに行くやつ(笑)
大人になったなーと思ったけど、そのとき24歳だったのか。
東出さんは…やっぱり素晴らしいです、これからも応援していきたい!
42歳で亡くなった金子勇さん。
自分は今年の6月で42歳になったんですけど…早すぎる。
きっともっともっとやりたいことがあったでしょう。
ご冥福を心よりお祈りします。