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練武知真 第23話『遊びが気付きを生み出す事を知る為の武術』

心と体を緊張させ、歯をくいしばって努力する・・・

それでも物事が進まない時があります。

根を詰めれば詰める程、行き詰まり、先へ進まず、

苛立ちを覚える事も多々あるでしょう。

 

それは、努力が足りないのではく、視点の切り替えが必要な時。

 

一旦、その対象から意識を外し、思考をリセットする必要があります。

 

私はかなり集中し過ぎる傾向があり、武術において同じ動きを黙々と続ける事にさほど苦を感じません。

そうした訓練中に新たな気付きがあったりもします。

 

しかし不思議な事に「新たな発見」や「新しいアイデア」は、

むしろ気楽に武術の動きを楽しんでいる時の方が多い気がします。

 

まるで遊んでいるような感覚で、心も体もリラックスして動いている時に、

「ん?この感覚は・・・」

などと新しい感覚を得たりするのです。

 

それは根を詰めて、精神を興奮させて行う鍛練では気付けないことかも知れません。

 

真にリラックスしているからこそ、凝り固まった思考を溶かし、同じく凝り固まった肉体をほぐせる。

 

それによって、異なる角度から物事を見る事ができるようになり、体の感受性が上がって、これまで気づけなかった微細な感覚を把握できるようになります。

 

または武術とは全く関係ない事をしている時などに

「もしかして?!」

などと、心に引っ掛かっていた事への答えらしきものが急に湧き出したりすることもあります。

 

てくてくと散歩している時に、ふと足裏に大地を感じ、

「ああ、普通に歩いている時も、ちゃんと大地は足下にあって、

私は大地の上に存在しているのだなぁ」

と実感を持ったことがあります。

 

それによって、天と地と人が一つになる事、

「三才合一」

を自身の肉体をもって深く理解することができました。

 

形意拳の根本姿勢である「三体式」は古くは「三才式」と呼ばれており、

この三才合一を目指す事を求めています。

それは武術を行う時だけではなく、日常においても天地との繋がりを感じて生きる事だと私は考えています。

 

そのような大切な事を、

武術修行中ではなく、

何も考えずに散歩という遊びをしていた時に感得した事が私にはとても面白いのです。

 

一つの事を猪突猛進に突き進むというのも、物事を強力に進めるには必要な事です。

 

しかし、絶対に貫けない岩山にひたすらぶつかるよりも、

一息入れて、心と体をリラックスさせる事によって見えてくる別のルートもあると思います。

 

「遊びが物事を進めることもある」

 

これは私が確信している事の一つです。

 

 

2024年7月17日 小幡 良祐

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