おばた りょうすけ

プロの中国伝統武術家です。都内などで形意拳や八卦掌という伝統武術や武器術を教えています…

おばた りょうすけ

プロの中国伝統武術家です。都内などで形意拳や八卦掌という伝統武術や武器術を教えています。以前は18年間、茨城県警察科学捜査研究所・法医研究室で鑑定をやっていました。武術修行や科捜研勤務などで得た経験をもとに感じたことなどを書きます。京都出身。茨城大学農学部卒。旺龍堂代表。

最近の記事

練武知真 第23話『遊びが気付きを生み出す事を知る為の武術』

心と体を緊張させ、歯をくいしばって努力する・・・ それでも物事が進まない時があります。 根を詰めれば詰める程、行き詰まり、先へ進まず、 苛立ちを覚える事も多々あるでしょう。 それは、努力が足りないのではく、視点の切り替えが必要な時。 一旦、その対象から意識を外し、思考をリセットする必要があります。 私はかなり集中し過ぎる傾向があり、武術において同じ動きを黙々と続ける事にさほど苦を感じません。 そうした訓練中に新たな気付きがあったりもします。

    • 『DAOI(道教芸術国際機構)』によるインタビュー動画公開

      『DAOI(Daoist Arts Organization International)』のYouTube チャンネルに私へのインタビュー動画がオンエアされました。 私の修行時代の話や、旺龍堂の生徒さんへの指導のスタンス、武術に対する考え方などを話しています。 - 【DAOI Talks (47): Chinese Martial Arts in Japan w/ Ryosuke Obata】 https://youtu.be/-IE7PGSxbkw?si=nXxF

      • 練武知真 第22話『伝えることを学ぶ為の武術』

        中国武術を知る者が必ず一度は耳にしたことがある『勁(けい)』。 力は流れるものだという思想に基づいて、大地からの反動力を体内を通して、拳や掌へと伝えます。 各関節の力みを抜いて、チカラを次へ、その次へと伝えてゆくのです。 どこか1つの関節が力んで動かないでいると、 チカラはその先へとは送り出されません。 また、一つの関節があまり大きく動き過ぎると、 伝達してきたチカラはそこで消費され、次へと伝わりません。 関節の動きがある程度で止ま

        • 練武知真 第21話『絶望から這い上がる心を学ぶ武術』

          不利な状況をどのように打開するか。 それは武術における根元的なテーマです。 複数人を相手にする場合を想定したフットワークや位置取りの研究。 武器を持った相手を想定した訓練をする為、自らもあらゆる武器に精通する。 武器には武器を。  また、こちらが素手である場合でも、武器を扱った経験があるかどうかで心のありようが変わってきます。 またもし戦闘中に負傷して片腕になった時にでも、「じゃあ諦めます」とは簡単には言えません。 武術ではどちらの腕でも脚でも

        練武知真 第23話『遊びが気付きを生み出す事を知る為の武術』

          『武術を通して』

          私が武術を通して叶えたいこと。 - 自己を整え、 自己を解放し、 天地と繋がり、自然を尊び、 人を愛せる人物・・・ - 強さと賢さと深い愛を併せ持ち、 現実社会と豊かに繋がりながら、 自分らしく生きて行ける人物・・・ - そのような人物をたくさん育ててゆきたい。 それはその人物だけでなく、その周りの人間をも幸せにする事ができる。 そしてそのような人物が増えてゆくことによって、自然に社会を幸せな方向へとわずかながらでも動かすことができる。 - -

          『武術を通して』

          練武知真 第20話『変と化を知って向上する為の武術』

          長い間、武術を修行してきて気付いたことがあります。 それは「修行には2つの異なる過程がある」ということです。 同じ事を黙々と繰り返し、力を蓄え、向上してゆく過程。 そして、 やり方をガラリと変え、修行の質を変える過程。 この二つの過程の繰り返しによって、全体として高みに向かってゆくのです。 実際の例を挙げて説明しましょう。 形意拳の技の一つ【崩拳(ポンチェン)】という縦拳による中段突きについて。 形意拳は前進して技を打ち出す事を基本とし

          練武知真 第20話『変と化を知って向上する為の武術』

          【九宮八卦掌】套路・《第三掌:震宮八掌》と《第四掌:兌宮八掌》

          昨晩、旺龍堂YouTubeチャンネル【3spiritsryoken】に新しい動画をUPしました。 YouTube動画 【九宮八卦掌】套路・《第三掌:震宮八掌》と《第四掌:兌宮八掌》 Nine Palace Ba Gua Zhang’s The Third and Fourth Routines https://youtu.be/cLle-Ncg5hM?si=8tLxYaoPGetjA0o5 - 旺龍堂で教えている中国伝統武術《九宮八卦掌》。 創始者『董海川』から『

          【九宮八卦掌】套路・《第三掌:震宮八掌》と《第四掌:兌宮八掌》

          練武知真 第19話『呼応を学ぶ為の武術』

          武術にとって大切なもの。 それはたくさんあるのですが、 私がその全般を通して大切に思っているのが『呼応(こおう)』です。 呼び掛け・・・応える。 これは、 1人でおこなう練習も、 2人でおこなう練習も、 そして、 生徒さんへ教える指導の場面でも、 私にとってとても重要なことなのです。 例えば1人での練習。 「1人なのに何と呼応するのか?」 とお思いなる方もいるかも知れませんが、私が修する武術では呼応からは離れる事はありません。

          練武知真 第19話『呼応を学ぶ為の武術』

          形意拳《劈拳》打法 ~7/21【形意拳京都講習会】募集中~

          中国伝統武術・形意拳の5種の基本技『五行拳』 の最初に習う技が《劈拳(へきけん)》です。 車派形意拳では、拳の小指側を打ち下ろします。 【参照YouTube】 山西派車派形意拳の技《劈拳》の実戦用法 https://youtu.be/kIxJTJ7Oruw?si=GuMA2516usruy3zg 中国伝統武術・形意拳の5種の基本技『五行拳』 の最初に習う技が《劈拳(へきけん)》です。 車派形意拳では、拳の小指側を打ち下ろします。 - 劈拳は、形意拳の基本的な

          形意拳《劈拳》打法 ~7/21【形意拳京都講習会】募集中~

          練武知真 第18話『イメージが生み出す力を知る為の武術』

          私達は人間です。 人という体を持って生まれてきました。 そして、それは命が終わる時も変わらず、人の体で死んでゆきます。 私達は何か体を使う活動をする際、この人体をどのように運用するかを考えます。 その身体活動について、 最も効果的な体を作り上げ、 最も効率的な身体の使い方を身に付けてゆきます。 野球であれば野球に、 ダンスであればダンスに、 そして、 武術であれば武術に適合した身体と運動を突き詰めてゆきます。 人間としての最大スペ

          練武知真 第18話『イメージが生み出す力を知る為の武術』

          練武知真 第17話『観察することを学ぶ為の武術』

          中国伝統武術・形意拳。 たった一本の突きに、多くの要求項目の持つこの武術は、 全身をとても精緻に使います。 全身の四肢関節である 足裏⇒足首⇒膝⇒股関節⇒腰⇒肩甲骨⇒ ⇒肩⇒肘⇒手首⇒拳の連動。 さらに 体幹の確立や、脊椎・首・頭部を含む体軸のポジショニング。 丹田や呼吸、気の概念などの外観に現れない内功(内なるチカラ)の活用。 などなど。 各要領を完璧にしようとし過ぎると逆に動けなくなってしまうので、 【意(意識の集中やイメージの活用

          練武知真 第17話『観察することを学ぶ為の武術』

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          【九宮八卦掌】套路・《第一掌:艮宮八掌》と《第二掌:坤宮八掌》

          今日、旺龍堂YouTubeチャンネル【3spiritsryoken】に新しい動画を投稿しました。 旺龍堂で教えている中国伝統武術・九宮八卦掌の動画です。 九宮八卦掌は、龍のようなしなやかな動きと円を描くフットワークが特徴の中国伝統武術です。 相手と正面からぶつからず、素早く側面や背後に回り込んで攻めるのを得意とします。 指先による急所への攻撃の他、発勁による強力な掌打や拳打、肘や膝を使った超近距離攻撃、そして、関節技などバリエーション豊かな攻撃をおこないます。 - ≪九宮八卦掌の伝承系譜≫ 董海川⇒史計棟(継棟)⇒韓福順⇒呉峻山⇒張法夢⇒王喜亮⇒趙玉祥⇒小幡良祐 - 九宮八卦掌には、基礎練習を終えた後に学ぶ「套路(複数の技で構成された一連の練習法)」が八種類あります。 いずれも円周を移動しながら、様々な技を繰り出してゆきます。 各種の套路にはそれぞれ八つの技があり、合計64技の基本技法を学びます。 - この動画は第1番目の套路と第2番目の套路を演示したものです。 - 《第一掌:艮宮八掌(ごんきゅうはちしょう)》 1.葉底蔵花(ようていぞうか)  2.磨身掌(ましんしょう)  3.順勢掌(じゅんせいしょう) 4.双撞掌(そうとうしょう)  5.転身掌(てんしんしょう)  6.迎面穿袖(げいめんせんしゅう) 7.立樁掌(りっとうしょう)  8.鷂子翻身掌(ようしほんしんしょう) - 《第二掌:坤宮八掌(こんきゅうはちしょう)》 1.回身斜撞掌(かいしんしゃとうしょう) 2.靠身掌(こうしんしょう)  3.片旋掌(へんせんしょう)  4.虎口掌(ここうしょう)  5.朝陽掌(ちょうようしょう)  6.風輪掌(ふうりんしょう) 7.換影掌(かんえいしょう)  8.取水掌(しゅすいしょう) - *本来、各套路は右回りと左回りの両方向をおこなうのですが、本動画では右回りを第一掌で、左回りを第二掌で演武しています。 - - - 旺龍堂代表 小幡 良祐 OBATA RYOSUKE 【OBATA RYOSUKE Official Site】https://bd-bagua.com/ 【旺龍堂OHRYUDO Homepage】 http://ohryudo.com/ 【旺龍堂OHRYUDO YouTube】 http://www.youtube.com/user/3spiritsryoken

          【九宮八卦掌】套路・《第一掌:艮宮八掌》と《第二掌:坤宮八掌》

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          『龍になる』Become A Dragon

          今日の旺龍堂・八卦刀練習会。 受講者は1名の旺龍堂会員の男性。 八卦掌教室に古くから通っている方。 - 基本練習は勿論のこと、 八つある套路(武術の型・それぞれに八つの技がある)も全て覚えておられます。 - そんな彼の突破すべき壁は『心を自由にする』こと。 - 技の正確性には問題はありません。 つまり、八卦掌で最初に求める段階 【定架子(ていかし)】 は十二分に定着しています。 - しかし、 「意」を使って技と技とを途切れなく連動させ、 「心」

          『龍になる』Become A Dragon

          練武知真 第16話『全身全霊を知る為の武術』

          心と頭と体を一つの事に集中させる・・・ これはなかなかに難しいことのように感じます。 特に何もかもにおいて、スピードと手軽さが重視される近年では。 そしてその反面、 何かをしながら別の事をする「ながら」の行動が日常の大半を占め、 何かをしながら別の事を考えているこの現代では、 心と頭と体がバラバラになる傾向が強い気がします。 たしかに同時に複数の事柄をおこなうことによって、効率的な作業が可能になります。 しかし、全てが効率重視で良いのでしょうか?

          練武知真 第16話『全身全霊を知る為の武術』

          【受講者募集中】中国伝統武術《形意拳》京都講習会(7/21)

          7月21日(日)の午後、京都市内にて、 中国伝統武術『山西派・車毅斉系 形意拳』 の4時間講習会を開催します。 - 内容は、形意拳の基本姿勢である【三体式站樁功】から始まり、 5種類の基本技である「五行拳」のうち、【劈拳と崩拳】の2拳をレクチャーします。 趙玉祥老師より伝承された古伝の形意拳の技を、術理から実戦用法まで丁寧に指導します。 - 会場は京都駅から地下鉄烏丸線1本。鞍馬口駅下車徒歩5分。 - 武術未経験の方でも参加OKです。 ご興味のおありの方

          【受講者募集中】中国伝統武術《形意拳》京都講習会(7/21)

          練武知真 第15話『自分を知る為の武術』

          以前にもお話ししたとおり、 私が旺龍堂で教える中国伝統武術「形意拳」・「八卦掌」では 『自由になること』 を最終目的としています。 (練武知真 第1話参照) 形に縛られず、 自分の個性を活かして、 自分にマッチしたスタイルで闘うことが その人にとっての「最強」だと思うからです。 では・・・ 「元々、何もしなくても良いのではないか?」 「少しヒントだけ貰えは、後は自己流でやればOKなのでは?」 と考える方がいるかも知れません。 私の考

          練武知真 第15話『自分を知る為の武術』