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富士山登頂への道【登頂編】

前回、往復バス2,200円を支払い、水ヶ塚駐車場(水ヶ塚公園)→富士宮口五合目 行きのチケットを買ってバスに乗り込みました。

午前10:00になりシャトルバスが出発、バスに揺られて富士宮口五合目へ向かいます。

富士山には基本的なルートとして4つあります。

吉田ルート:一番登山者が多い、途中に山小屋が沢山あるので安心
須走ルート:途中から吉田ルートと合流するので、山頂付近で混雑する
御殿場ルート:一番標高が低くから長距離で時間がかかる、登山者少ない
富士宮ルート:吉田の次に登山者多い、五合目の標高が高く高山病の危険

ブルクロ調べ

私は、最も標高が高く移動時間の少ない富士宮ルート(青色)にしました。

出典:富士登山オフィシャルサイト

地図で見ても分かるように、距離が短いのが魅力的です。しかし、標高が高いのでゆっくりと登らないと、高山病の危険性があります。

よって5合目で1時間以上待機して、12時から登山を開始しました。

この時に山小屋に電話すると「今日は風が強いから気合入れて、気を付けてきてくださいね」との言葉。

山小屋の辺りでは、風速20mを超えているとの事。

この時はまだ、風の恐ろしさを軽く考えていました。

富士宮口五合目から六合目まで

五合目は標高2,400mなので、とても涼しくて快適です。

さらに六合目までは比較的なだらかで、約20分ですぐ到着。

再び高度順応するため、山小屋で炒飯700円を食する。

一服して本格的に山登りの開始です。

新七合目➡元祖七合目➡八合目

新七合目➡元祖七合目➡八合目と、岩場をひたすら登ります。

ちょうど目の前を、ツアーガイドさんの引率するグループ10名ほどがいらっしゃったので、ゆっくりとコバンザメのようについて行く事にしました。

近づきすぎると、「特急さん来てまーす!」と言われて、無理して追い越さなければならなくなるので、適度な間合いが必要です。

一度だけ言われたので、「特急じゃありません~!」と、貝のようになってその場にうずくまりました。

すると、この人は初心者だな…と判断されたのか、二度と言われなくなりました。

私はゆっくりゆっくり、高山病にならない様に登り続けました。

しかし、風が半端なく強い…

富士山ってこんなにも、風が強いものなの?

富士山は独立峰で、山や木々等の風を遮るものが何もなく、風速15mは普通だとガイドさんが言ってるのを聞きました。

そうか‥

しかし風が嫌やなぁ~

私は体力的なものよりも、風にかなりの精神力を削ぎ落されてしまいました。

しかし、ツアーのおじさん、おばさん達も進んで行ってます。

私も一歩一歩進んで行くと、知らぬ間に八合目に到着していました。

やったぁ~

後は、今日の宿泊場所である赤岩八合館まで行くだけです。

出典:赤岩八

垂直移動と違って、横移動はめちゃくちゃ楽です。

この区間は、山にさえぎられて風も穏やかで平地と殆ど変わりません。

そして、山小屋が見えた辺りで雨がパラパラと降り出しました。

標高3,000mを超えた辺りで寒さの為に、すでに雨具を着ていたので雨の心配はないのですが、やはり体を冷やすと低体温症の危険があります。

「いそげ~!」

何とか雨が降り出す前に山小屋に駆け込んで、今日の日程を無事に終了する事が出来ました。

赤岩八合館

出典:赤岩八

私がこの山小屋(1泊2食付き9,000円)に宿泊したかったのは、今上天皇が皇太子時代にプリンスルートを使って富士登山をされた時に宿泊された、由緒ある山小屋だと聞いたからです。

富士山には沢山の山小屋があります、様々な口コミを見る事がありますが、こちらのスタッフの方々のお心遣い‥心に染みました。

私が山小屋に着いた時にも、笑顔で迎えてくださりました。

とても心が豊かになりました。

そして今日の寝床である、二段ベットの様なスペースに案内していただきました。

一晩寝るなら十分快適なスペースです。

ふかふかの布団にくるまれて、一服していると知らない間に眠っていました。

ZZZ‥

ZZZ‥

夕食はカレー食べ放題

「そろそろ、夕食食べようか?」

兄に起こされて目を覚ますと、異変を感じました。

頭が痛い‥

高山病の様です。

標高に慣れる前に寝てしまうと、呼吸が浅くなり高山病になりやすいそうです。

私は寝るべきではなかった‥

暫くは起きていて、高地順応してから眠らなければならなかったのです。

頭が痛い‥

しかし、夕食の時間は決まっている。

カレーをとりあえずいただこう。

美味しいはずのカレーですが、頭が痛すぎて、スプーンが進みません。

何とか8割程度食べ進めると、今度は吐き気が‥

う、う、う

苦しそうにしているのを次兄が察して、「もう、残しとき‥」といい、残りを食べてくれました。

本当に優しい兄です。

私は食べ放題のカレーなのに、おかわりする事なく、温かいお茶をすすってから寝床に潜り込みました。

ロキソニンを飲んで寝よう。

寝れば治っている筈だ‥。

歯も磨くことなく、そのまま私は眠りにつきました。

ZZZ‥

ZZZ‥

深夜のトイレ

目を覚ますと山小屋の中は真っ暗闇です。

何時間寝たのだろう?

時計を見ると、深夜12時過ぎです。

頭は?

やっぱり痛い‥

そして、トイレに行きたい‥

小雨と寒さと強風吹き荒れる外のトイレに行くのが億劫です。

しかし、行くしかない‥

周りの人たちに迷惑をかけない様にそっと起き上がると、腕時計の照明で辺りを照らしながらベッドを降ります。

みんな寝ています。

誰か一人でも起きてたら気が楽なのですが、みんな寝ている様に見えました。

ギシギシ‥

暗闇を歩きながら、玄関のスリッパを借りて山小屋の外へ

ビュー、ビュー、ビュー

「寒い~、寒すぎです」

凄い風が吹いています。

しかし、何とかバイオトイレまで歩みを進めました。

トイレでは、ザ・コレクターズの「世界を止めて」が大音量でかかっていました。

「懐かしいなぁ‥」

なぜか知っている音楽がかかっていたので、ホッとしました。

無事にトイレを済ませて寝床に戻りました。

しかし、頭が痛いなぁ‥

再びロキソニンを服用して眠りました。

眠りにつくと、すぐに周りがゴソゴソとし出しました。

ここから山頂まで2時間程度かかるので、山頂御来光組が出発の準備を始めたようです。

もう、私は山小屋の前で御来光を見る事に決めていたので、4時まで眠り続けました。

御来光

そして4時過ぎに目を覚ますと、みんなが起きていました。

山小屋の前に出てみたものの、霧で御来光は見えません。

残念‥と、思っていたら雲の切れ目から明かりが‥

なんと、ご来光を見る事が出来ました。

良かった~、これで旅の目的である、赤岩八合館の宿泊ご来光の二つは達成する事が出来ました。

山小屋に戻ると、朝ごはんの良い匂いがします。

ハムの目玉焼き、ごはん、味噌汁などお弁当スタイルの朝定食です。

これも、とても美味しかったです。

非日常にいると、当り前の事にも感謝の念に堪えません。

山頂への挑戦

天気予報を確認すると、雨の予報でした。

山頂は強風と雨

「どうする?」

兄に聞かれた私は「撤退します」と即答しました。

私は雨と強風の恐ろしさをトムラウシ山の事故を当時のニュース、さらに出発前にyoutubeで見ていたので、恐ろしくなったのです。

兄は以前に登頂していたのですが、今回は未経験のお鉢巡りを楽しみにしていたので大変申し訳なく思いましたが、一緒に下山する事にしてもらいました。

そうと決まれば、雨が降り出す前に下山しよう!

荷物をまとめて、プリンスルートを逆に降りて行きます。

帰り道は降りるだけなので、体がとても楽です。

標高が低くなると、不思議な事に頭痛はすっかりなくなりました。

宝永山火口周辺の強風に注意

しかし、途中の宝永山火口に差し掛かる前に、とんでもない風の通り道があり、またも風に苦しめられました。

馬の背と呼ばれる辺りでしょうか?

ここは、過去一番の強風ゾーンでした。

真っ直ぐ進みたいのですが、強風に押されて斜めに進んでしまいます。

さらに、砂や小石がバチバチと体に当たります。

顔に当たるとメチャクチャに痛いです。

このまま、折れた木でも飛んで来たら当たって死んでしまうかもしれないと思うと、とても恐ろしくなりました。

富士宮口五合目に帰還

この強風ゾーンも何とか無事にやり過ごして、宝永山火口を回り、富士宮口五合目の駐車場まで戻る事が出来ました。

幸い1時間毎の帰りのシャトルバスにも、すぐ乗車できました。

山頂を諦めたおかげで、雨にも濡れることなく、帰宅時間も大幅に短縮できて疲れを残す事なく大阪まで帰る事ができました。

決して負け惜しみではなく、山頂を残した事で次回の楽しみが残っていると考え「富士山にまた行きたい」と強く思いました。

強風と高山病に苦しめられた2日間でしたが、次回は風の穏やかな日に異なるコースで挑戦したいと思います。

山小屋に泊まるだけでも、非日常を楽しめる富士登山は最高のレジャーでした。宝永山に行くだけでも、かなり楽しいと思います。

今回の挑戦で、山登りを趣味にしている方の気持ちがわかりました。

駄文を最後までお読みいただき、本当に有難うございました。

おわり

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