ものに宿る人の思いは引き継がれる
私がまだ小さい頃、たぶん幼稚園くらいの年だったと思う。
父が、姉と私を屋根裏部屋に引き連れていった。
「内緒だよ。」と宝箱から取り出したネックレス。
姉には’鍵’のチャームがついた、私には’ハサミ’のチャームがついたネックレスをくれた。
アメリカに行った時に、私たち二人にと買ってきてくれたものだった。
「自分の力で鍵を開けて、人生を突き進むように」
「自分の力で切り開いて、人生を突き進むように」
父からのメッセージを受け取ってから、二十数年。
実家の自分の部屋に置きっぱなしになっていたネックレスを手に取ると、当時の空気感や幼い自分の感覚が、全身に行き渡った。
家族のためではなく、人生は自分のために生きるものだけど、
繋がりや思いが、自分に力をくれる。
ふぅ、、と息を吐いて、
今の自分と向き合う時間。
退職して悠々自適に生活する愛する父が作った、山形のわらび漬けと大根のぬか漬けをビールと共に食しながら、じんわりと心が温まる。
今日も、きっと明日も、幸せだ〜〜って、思う。
ただ、姉の’鍵’だと思っていたチャームは、木工作業の際に、木材を固定する’クランプ’だったことには、笑ってしまった。(笑)
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