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2022年4月25日のTOKYO854の放送内容です|Blooming Days -日々是好日-|倉嶋桃子

みなさん、こんにちは。倉嶋桃子です。

通勤の行き帰りに必ず通る駅コンコースには、定期的に食べ物系のお店が期間限定で出店していて、普段買えないような商品など見かけると、ついつい購買欲がそそられることがあります。

先日は、「フルーツサンド」のお店が出店していて、ショーケースの中には、見映えがするようにカットされた商品が綺麗に並べられ、多くの方が足を止めて購入していました。

ここ数年「フルーツサンド」が注目され、行列ができるお店の紹介や移動販売などで取り扱われているお店のお話など、SNS上でも見かける機会が多いように思いますが、日本の生活史・食文化研究化の阿古真理 (あこまり)さんの話によると、「フルーツサンド」のブームが始まったのは、2010年代後半とのこと。

その頃は、具材をたっぷり挟んだボリュームあるサンドイッチの流行もあって、サンドイッチ自体がブームとなり、その後、ボリュームサンドイッチの流れは落ち着きを見せていきますが、「フルーツサンド」は、コロナ禍においても次々と新しいお店が登場するようになり、テイクアウト形式でも注目されていきました。

ボリュームサンドイッチが流行した時も、「フルーツサンド」が注目され始めた時も、共通のキーワードは、断面図の見映えがするという「萌え断」。

「インスタ映え」に続いて生まれたと言われている流行りの言葉「萌え断」を狙い、SNSを使って数多くPRされた「フルーツサンド」は一気に広まり、見た目のインパクトとお店こだわりの味に多くの人が惹き付けられたようです。

その他にも、「フルーツサンド」が流行っている理由としてあげられているのが、フルーツを手軽に食べられる点です。

中央果実協会の「果物の消費に関するアンケート調査報告書」(令和2年度)によると、果物を買わない理由のトップ3は「他の食品に比べて値段が高い」「日持ちせず買い置きできない」「食べるまでに皮をむくなど手間がかかる」という点があげられています。

一方で、果物を月に一回以上食べる人のアンケートのトップ3は「美味しくて好きだから(嗜好品・デザートとして)」「健康に良いから」「旬や味覚を楽しめるから」と回答。
「美味しくて好きだから」と答えている年代は男女共に20代が5割に近い結果が出ています。

若い世代の多くがフルーツが好きということから推察してみると、「フルーツサンド」はフルーツを手軽に美味しく食べられて、かつ、SNSなどを利用することが多いこれらの世代にとっては、「SNS映え」するアイテムとして人気が出たことにも納得できる気がします。

この「フルーツサンド」は、日本が発祥の食べ物で、大正から昭和の初めにかけて既に誕生していたと言われていますが、発祥地については、京都の祇園に戦前からあった果物店でパーラーを併設していた「八百文(やおぶん)」(現在は残っていないそうです。)とする説や1868年(明治元年)に日本で初めて現在のフルーツパーラーをオープンした、東京の千疋屋を発祥とする説などがありますが、詳しいことは分かっていません。

立命館大学食マネジメント学部の鎌谷かおる准教授は、「食べ物が嗜好品として扱われるのは1960年代に入ってから。戦前のフルーツサンドは、ケーキ未満の『ちょっとしたぜいたく』だったのではないか」と推察しており、海外の見慣れない果物を食べてもらうために、果物専門店が「フルーツポンチ」や「フルーツサンド」といった日本人向けのメニューが考案されたのではないかとのこと。

果物専門店の歴史について書いてある資料によれば、日本に果物が広まったのは明治時代初期。
当時、果物はとても高価なもので、昭和の終わりごろまで手土産の定番と言えば「果物」。昔からどの商店街でも、一番いい場所に果物店があったと書いてあります。

代表的な老舗の果物屋さんの創業時期を見てみると、日本橋の『千疋屋』は1834年、神田の『万惣』(2011年に廃業)は1846年、新宿の『高野』は1885年、渋谷の『西村』は1910年。

これらの果物店は、大正から昭和にかけて売り物の果物を使ったケーキやジュースを出す「フルーツパーラー」と呼ばれる喫茶店を併設しており、「フルーツサンドは果物店の多角経営の一環として生まれたのではないか」と、日本の生活史・食文化研究化の阿古真理 (あこまり)さんは分析しています。
現在は、このような老舗果物店やフルーツパーラーに加えて、ベーカリーショップ、カフェでも「フルーツサンド」を取り扱うようになり人気店がいくつも誕生しています。

これまで、流行の食べ物が出てきては消えていくという現象がいくつもありましたが、この「フルーツサンド」のブームは今後どのような流れになっていくのか、気になるところです。

さて、4月25日のTOKYO854では、4/25が「世界ペンギンの日」ということで「ペンギン」をテーマにお送りしました。

本日の放送

番組内のトークの合間に挿入された楽曲は、Spotifyのプレミアムプランのユーザーであればフル再生、無料プランのユーザーは30秒まで聴く事が可能です。また、スマートフォンもしくはデスクトップアプリからのみ再生が可能です。ブラウザでお聴きになりたい方はプレリストをおためしください。

本日のプレイリスト

皆様からのメッセージをお待ちしております

番組では皆様からのメッセージをお待ちしております。
番組で取り上げた内容のご感想など、ぜひお聞かせください。

番組の構成上、時間の都合でリクエスト曲にはお応えできない場合がございますが、なにとぞご容赦ください。

今週も皆様にとって素敵な1週間になりますように。

参考資料

実は日本生まれの「フルーツサンド」。大正からコロナ禍の現代まで、愛され続ける理由(クックパッドニュース) – Yahoo!ニュース
https://blooming-days.njs.xyz/i2tq

サンドイッチ界は「萌え断」時代の真っただ中!?フルーツサンドが流行る理由 | テンポスフードメディア
https://www.tenpos.com/foodmedia/trend/613/

フルーツサンド、発祥は京都? 贈答文化 果物ふんだん(もっと関西): 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO39814650Z00C19A1AA2P00/

数少ない専門店に客が殺到!フルーツサンドが流行っている理由|@DIME アットダイム
https://dime.jp/genre/977270/

東京の絶品フルーツサンド20選|都内にある老舗から人気の専門店まで、萌え断にキュンとして、果実の美味しさをまるごと♪|るるぶ
https://rurubu.jp/andmore/article/14042?page=1

中央果実協会「果物の消費に関するアンケート調査報告書」(令和2年度)
http://www.kudamono200.or.jp/pdf/r02anq_hokoku01.pdf

SNS映えの定番!萌え断って?始めた飲食店も増えた?-フルーツサンドが人気になっているワケ-|飲食店の求人・転職は業界NO,1のフーズラボ・エージェント
https://foods-labo.com/column/oyakudachi35


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