糖尿病との出逢い

人生には、振り返ると
ターニングポイントと
呼べる瞬間がある。

それは、恋愛や結婚など、
ジャンルによって、いくつかあるが
健康に関しては、あの日だと
いつも思い出す日がある。

20代の頃、祖母が亡くなった際、
お葬式で久しぶりに親戚の
おばさんと会った時のことだ。

子供の頃、おばさんの家には
犬がいたのでよく遊びに行っていた。

雑種犬ではあるが白い毛並みが
とてもキレイな犬がいて、当時、
犬を飼ってもらえなかった私は、
祖母の家に行くと、必ずおばさんの
犬小屋へ向かっていた。

おばさんは、よく海外のお菓子を
くれた。旦那さんが海外赴任していたからか
家に海外の甘いお菓子がいつもあった。

母は、グミやコーラなどのお菓子は、
虫歯になったり、体に悪いからと言って
蒸したさつまいもや国産のお菓子を
出すタイプの性格だった。

外国のお菓子は買ってくれなかったので、
おばさんがくれる色とりどりのお菓子に
いつもワクワクしていた。

飼えない犬や海外のワクワクするお菓子、
自分の知らない世界を色々と教えてくれた
おばさん。

そんなおばさんは、車いすに乗って、
虚ろな顔をしていた。

近づくと、私に発した言葉が、

「どこから来たん?」

私は、最初、何を言っているのか
理解できなかったので返答に困った。

すると、

「ぼけてしまったんよ。」

おばさんの隣にいた
親戚のおじさんはこう言った。

その後、親に聞いたのか、
誰に聞いたのか記憶が曖昧だが、
どうやら糖尿病と認知症を
患っているとのこと。

親のことは、まだ覚えているようだが、
私の事は全く記憶になく、話す内容も
同じことを何度も繰り返していた。

私は、この時は、認知症が
糖尿病と関連があり、命に関わる
恐ろしい病気だということは
知る由もなかったし、これから
母や私に降りかかってくることなど、
全く予想していなかった。

恐らく、これが私にとって、
一番、身近な【糖尿病】という
言葉との出逢いだった。

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