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他律的意味世界からの解放/ラオスが教えてくれたこと

2019年1月末のラオス・ルアンパバーンの3泊4日の旅で得たインサイトを、その風景と共に書き起こします。 

ラオスに向かったのは、まだ新しく引越した先での騒音が気になっていたり、睡眠の難しさなどがあり、緊張感が取れない日々が続いていた頃。自分自身の時間を作り、調整するためのリトリートの旅でした。ルアンパバーンで目にしたもの触れたもの、出会った全てが、都会や仕事で意味に塗れて膨れ上がった自意識を少しずつ溶かし、大切なことを教えてくれました。これらの気づきは、全てが繋がっています。

あせりをほどけ

メコン川 

部屋の窓を開けると真正面に広大なメコン川が流れています。
メコン川の流れは止まることとなく、チベットから、ラオス、ミャンマー、タイ、カンボジア、ベトナムを抜け、南シナ海まで4200Km流れ続ける。
眠るときも、目覚めるときも、常にそこにあるメコンの静かで雄大な流れ。どちらが川上で、川下なのか、わからないほどゆったりしたメコンが纏う大量の時間が、私が東京から背負ってきたセカセカした細かく刻まれた時をほぐし、溶かしてくれました。

今回の旅で、町外れにあるブティックホテル Sunset Villa by Burasariを選んだのは、ひと気のないシーンとした静かな世界に行きたかったから。


自意識が自由を邪魔する

Mandalao elephant conserva

必要以上の許容を自意識が強制し、過剰反応で様々なことが受け入れられなくなりそう。

頭で考えず、現実に起こっているこをきちんと見極める。鮮明な所与で意識を揺るがし続ける自由を、他律的意味のうちに同化され、強化され続ける自意識が邪魔する。

最近、怖れより、焦りを取り外す事がむずかしくなってきた。
でもその焦りはきっと、怖れからきている。

自由をこじらせるのは、強さが足りないから

Mandalao elephant conservation

知性は目の前の相手、社会がもつ歴史、背景をより深く知るためにあるもの。自分のもつ過去、今、未来をよりよく理解し続けるためにあるもの。
頭の中で思考をワンダリングさせるのに言葉を使いすぎてはならない。
正しい知識を身につけて、現象を頭ではなく、目や皮膚、身体で捉える。
認知、理解の正しいバランスを取れる知性を鍛えたい。

受け入れてもらうことのよろこび

トゥ・ナァムとの散歩・Mandalao elephant conservation

約80年という私たちとあまり変わらない寿命をもつ象。
息遣いや、静かかつ重量感のある足音。陸上最大の動物である象が持つ圧倒的な存在感を、丸ごと身体で感じる。
彼らと、狭い道を譲り合うように交互に歩いていたら、少しずつ緊張感がとれ、次第に柔らかな信頼関係のような感覚が生まれた。
言葉を交わさないからこそ、そう感じたのかもしれない。

言葉ではなく身体で世界を理解している動物は、現実所与に優れている。だから社会的動物である人間が動物から教えられることは多い。

受け入れられている実感がこんなに純粋に嬉しいものだとは思わなかった、そういう感動を、トゥとナァムという2頭の象が教えてくれた。

「頭で先に理解してしまうと、体が覚えない。わからないなりに、必死に修行をしていると、ある時ふっとわかる。それが体得ということで、体得したものは真に自分のものになり、生涯忘れることがありません」(『人間の証明』野口法蔵著)


生きているから、死に向かう

プーシーの丘

ここで、全ての焦りの原因が見えた気がした。
時間を効率に使わなければという焦り、
必要とされなくなるかもという不安、
人の時間を奪う関わりへの恐れ、
過度な孤独の尊重、
それらが不安や焦りの塊となって私の感覚を時間を蝕んでいた。

その根源には、時間が有限であることに立ち向かう、無謀な抵抗があったのかもしれない。

生きているということは、死に向かうこととと同義。
生きているから時間が生まれ、消えて行く、
それをここで教わった。

受け入れなさい

ルアンパバンの寺院

壺を両手で抱える仏像の前に立ち、
感じたのは、受け入れる場所を常に主体的に持ち続ける、ということ。


こころをひらきなさい

クアンシーの滝

自分、相手、世界に心の目をひらき続けること。
影響すること、されること。
あるいは、自と他を分けないこと。

楽しもう

運動に励む地元の人々

夜の公園で歌謡曲が流れていた。10人ほどの老若男女が、先生に習い、身体をダンスのように動かしている。
待っている子供達が時々、大きな声で笑い、参加者がそれをたしなめる。
そこに漂っている安心感にしばらく見とれていた。

帰路、ルアンパバン からバンコクのスワンナプーム空港に到着し、空港内のバスに乗っていた時、一気に増えた目に入る情報、聞こえてくる音に気づきながら、それらを、少し遠くに感じました。
心を静寂に保つと、目の前に起きていることから目を逸らさず、自意識や他律的意味から距離をとることができる、それを体感する時を、ラオス・ルアンパバンで過ごした時間がもたらしてくれました。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
自分自身の時間を作る ルアンパバン3泊4日の旅を4つの記事でまとめました。
「あせりを解け」/ラオスが教えてくれたこと。世界遺産の街ルアンパバーンDAY1
托鉢と象散歩とカオピックヤッセン/ラオス・世界遺産の街ルアンパバーンDAY2
美しいクアンシーの滝と神聖なプーシーの丘/ラオス・ルアンパバーンDAY3
意味からの解放/ラオスが教えてくれたこと



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