記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

3月のライオン 10巻 【ネタバレあり読書感想文】 毒親モンスターに


★★★★★
amazonでレビューしたものです
例によってまだ掲載されません。。。
→掲載されました。

<あらすじ>
零と同じ高校に進学し、充実した日々を送るひなた。3年になり、やり直した高校生活を自分なりに振り返る零。2人のもとに思わぬ人物が現れて…。珠玉の第10巻!!

アマゾンのページより

1.楽しい高校生活


ひなちゃんが同じ高校に入学して、嬉しい桐山くん。

アウトレイジの将棋部には入ってもらえませんでしたが(というか桐山のせい)、ひなちゃんに仲の良い友達ができ、高校で楽しく過ごしている日々を見て、桐山くんも嬉しく思っています。

一方、独占欲もだいぶ出てきたようで、、

他の男の子がひなちゃんに接近すると牽制しに走るという、なんとも年相応の高校生らしい行動も起こすようになりました。
いやあ、青春だねえ。

2.母という残酷


この話で一番印象に残り、そして恐ろしいと思ったのが、幸田家の母でした。
「預かっていた」「うちの子」「居候」
言葉の端々に、家族ではない余所者のくせに家に入ってきて自分の子供を追い詰めた、という被害者意識を感じ、母親って怖いなと思いました。
幸田父の方は、父親らしい言葉を零にかけてあげていたのに、彼女は零を家族とも子供とも思っていなかったようです。

幸田家の長女と長男が、零ほど努力できず将棋ができなかったのは、一番は本人たちの問題であり、次に親の問題であり、零の問題ではありません。
将棋の家に生まれた自分の子供が他の家の子に将棋で負け、その結果挫折してしまった事実を母親として受け入れ難いのは当然でしょう。でもそれも、零のせいではありません。

引き取った経緯からして、父親同士が知り合いだっただけで、幸田家と桐山家は家族ぐるみで付き合いがあったわけではないでしょう。急に知らない子供を連れてこられて、引き取ったから自分の子供と同じように面倒を見ろと言われても、妻として母として戸惑うのはわかります。
この幸田母はおそらく、夫の言うことを聞き自分の意見を言うことはなく、家事育児をし、夫が仕事に専念できる環境を作り続けてきた専業主婦でしょう。零を引き取る時も幸田父が決めて妻は反対も意見も言わなかったと推測されます。
でも、何も言わなかったとしても、表面上は問題なく面倒を見ていたとしても、その内面は違い続けていました。そして、それは零にも伝わっていました。

母親とはそれほど我が子が大事なのでしょうか。

この家で零のことを一番理解し、気持ちを通じ、味方になってくれたのは、タロウという犬だったのでしょう。

最後に「元気でな?」と零は犬のタロウを抱きしめて別れを告げます。
きっとこの家で、零は誰にも暖かく抱きしめてもらったことはないでしょう。
そして、このタロウと零はもう会うことはないのでしょう。
とてもとても悲しいシーンです。

3.モンスター討伐に結婚宣言

おじいちゃんが入院してやってきた男、父親。

自分で妊娠させた妻に、他の可愛い女の子ができた話をして泣かせ、子供の養育費も払わず生まれた子にも会わず、元の妻の葬式にもこなかったのに、自分の住むところが無くなりそうになったから、子供を追い出して住むためにやってきたんだそうです。

いや、、意味がわからない。
どうしてそういう行動が取れるのか。。
他人に申し訳ないとか可哀想とかいう考えや感情がないのか。。。

残念ながらそういう人間はいます。

平然と嘘をつき人を傷つけても何も感じず、自分のためだけに動き、他人を動かす人間。
自分と同じ人間と括るのも抵抗を感じるような身勝手な存在。
言葉は通じるのに話し合ってわかりあうことは困難な生物。

そういうものとは関わらないのが一番ですが、家族となるとそうはいかないのが現実です。夫婦は辞められますが、親子はやめられません。
日本の制度はいまだに血縁単位家族単位で設定されており、家族単位で相互に援助を要求され、家族単位で責任と取らされます。
心ある人間なら、情もあり、思いやることもできるため、そう簡単に排除はできません。

この男は、自分の娘が自分を冷たく追い払えない人間だとわかって、それを利用しようとやってきたのです。家族の情など何もなく、ただ自分のために。

それに対して、桐山くんは戦い始めました。
自分は家族と主張し、大事な家族を守るために。

いきなりのストレートパンチの結婚宣言で。

いやあ、空気読めないにも程があるけど、モンスターをぶっ壊すにはこれぐらいの破壊力がないと無理ですかねえ。


著者:羽海野チカ (著)
ASIN ‏ : ‎ B00PXF6BGO
出版社 ‏ : ‎ 白泉社 (2014/11/28)
発売日 ‏ : ‎ 2014/11/28
言語 ‏ : ‎ 日本語
ファイルサイズ ‏ : ‎ 45905 KB
本の長さ ‏ : ‎ 178ページ

こちらもどうぞ




この記事が参加している募集

読書感想文

マンガ感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?