退職のこと
十月いっぱいで退職する旨を、今週上司に報告した。
昨年の十二月から今年の一月にかけての二ヶ月間の休職。
二月のあたまに復職して復調のために私なりに努力はしてきたけれど状態が戻りきらず、七月まで頑張ってみたところで、これ以上は今の会社に勤め続けるのは厳しいなと思うようになった。
環境を変えてリスタートすることが、調子を戻すために必要だと判断した。
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復職時のシチュエーションは悪くなかった。
復職前の人事・産業医との面談のときにお願いしていた部署異動の希望も現場の方で調整してもらえて、新しい環境でのリスタートになった。
勤務形態も、週に一日出社して残りは在宅ワークというペースでしばらく続けるということで、新しい部署の直属の上司から了承をもらえた。
二月のあたまから復職して最初の一ヶ月は頭も全然働かずにほとんど成果を出せなかったけれど、まずは週一回ちゃんと出社できることを最初の一ヶ月の目標としていて、それは達成できていたので、滑り出しはまずまずだった。
お仕事の内容としてはこれまでと少々異なるものの、これまでの経験や専門性を引き続き活かせるものだったので、そこまで不安はなかった。
未経験なこともあったから新しい知識・技術を習得する必要があったけれど、上司も仕事量を調整してくれたし、そのおかげでキャッチアップの時間も持てたし、何より新鮮な気持ちで向き合うことができた。
キャッチアップに集中することで、休職前のつらかったことや復職時の不安を少し忘れることができた。
一ヶ月が経過し三月に入ってからは、少しづつ強度を上げることができるようになってきた。
知識・技術のキャッチアップも進行して、会議や周囲とのコミュニケーションでも理解できない事柄がほぼ無くなってきていたし、自分のタスクにも落とし込めるようになってきていた。
ゆっくりとした歩みだけれども、ここまでは当初想定していたよりも順調だったように思う。
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四月に入って、元の上司が不意に声をかけてきたことがあった。
元いた部署が同じフロアではあったものの少しだけ離れていて、元の上司とは業務上の接点も異動後はほぼ無かった。
加えて、私の方は週一回の出社で、コロナ禍がずっと続いていた中で他の社員も私ほどではないにせよ出社回数は制限していたためか、元の上司と遭遇する機会はほぼ無かったから、安心していたし油断していた。
突然のことだったので、私はその時、戸惑ってまともなリアクションが取れなかった。
手が震えて、動悸がした。
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その後も、出社した時に、同じフロアのオープンスペースで元の上司の笑い声が聞こえてくることがあって(元の上司はものすごく声がとおる人だった)そのたびに、手が震えたり動悸がしたりして、そのうち頭痛や体の痛みを生じるようになっていった。
在宅ワークしていてリモート会議している時でもたまに、出社して参加しているメンバーのマイクからその声が拾われてくることがあって、そのたびに体調が悪くなることすらあった。
...今、この文章を書いているときですら、思い出してしまうためか、さっそく頭痛がしてきている。
そのうち、休職前までのいざこざやら屈辱やらを在宅時や休日も思い出すようになってしまうようになって、その都度、頭痛や体の調子が悪くなる。
突如泣き出したり、メンタルが落ちて塞ぎこんでしまうこともたびたびあった。
私が弱いだけで、もっと考え方とか気の持ちようをあらためれば快方に向かうのかなと思って、数ヶ月間あれこれと試し尽くしてきたつもりだけれど、もう策が無い。
以前の強いと思っていた私はもうどこかにいなくなってしまっていた。
そんなこんなで数ヶ月経って、やっぱりこれ以上は無理だと考えるようになった。
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自分の唯一の取り柄はまがりなりにも仕事で成果を出せること、会社や仲間たちに何らかの形で貢献し続けることしかないと思って、これまでやってきていたから、復職後もなかなか状態が戻らずにしばらく目立った成果もあげられずにいたことが自分自身歯痒かったし、惨めな気持ちにもなっていた。
だから本当は、ここで辞めてしまうのは逃げ出すようで嫌だった。
でも「逃げることも大事」だって思えるきっかけがあった。
Testosterone( @badassceo )さん のアドバイスにいつも救われてきて、決断できた。
自信を失いつつあったし、何よりもまずは体調やメンタルを少しでも元に戻すためには、人生を取り戻すためには、この環境から離れなければと切に思った。
そして七月から少しづつ転職活動を進めて、八月の終わりに転職先が決まった。
ジェンダーのことがハンディになるかなと思って手探りで始めた転職活動だったけれど、幸いにしてその影響は当初考えていたよりも全然少なくて、思ったよりも早く決めることができた。
自信も少し取り戻すことができたと思う。
転職活動のことは、また今度書きたいと思います。
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