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【黒漆楼閣人物螺鈿硯箱】って何?美術館で役立つ漆器作品のキャプション読解テクニックと、5つの装飾技法を紹介!
あなたは美術館で漆器の工芸作品を見ていて、
このようなキャプション(作品の名札)
を見たことがありませんか?
『黒漆楼閣人物螺鈿硯箱』
作品が綺麗だったのでキャプションを見たものの、
5文字以上の漢字が羅列されると
「ああ、ごめんなさい」
「専門家じゃないのでわかりません」
という気持ちが押し寄せてしまいます。
挙げ句の果てに、
キャプションを見たのちに
「ふむふむ」「ほほう」と
さも理解したかのような雰囲気を出しながら
その場をゆっくりと去る…
なんて行動をしてしまいますよね。
でも今日からは、
「漆器の作品が好きな人」から
「漆器の作品がわかっていて好きな人」
になれるでしょう。
今回の記事では、
漆器作品のキャプションを読み解く方法と
文様を付けるための技法についての基本を
ご紹介したいと思います。
もう長い名前に惑わされない!
【キャプションが語る漆器作品の真実】
漢字が並んでいて、
難しいと感じる方が多いと思いますが
「読み方」さえ覚えていれば、
その作品の基本的な情報が理解できるようになります。
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基本的に、
〈塗り〉〈文様〉〈技法〉〈用途〉
の順で作品の名前になっていると覚えてください。
ちなみに、記事のタイトルから登場している
【黒漆楼閣人物螺鈿硯箱】はこんな作品でした。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/122292853/picture_pc_35a8ff59c5b281901b80e88d61c06572.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/122292734/picture_pc_546316379459b7d3798e12f5c4e3ad79.jpg?width=1200)
ここで、応用としてこのキャプションを読み解いてみましょう。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/122293679/picture_pc_e44f4cd77a394fab5096f8ac121bf23e.png?width=1200)
もう、5文字以上の漢字も怖くありませんね。
〈塗り〉は朱漆、
〈文様〉は花鳥、
〈技法〉は沈金、
〈用途〉は膳です。
【朱漆花鳥沈金膳】は、こんな作品でした。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/122293992/picture_pc_185622ff5f6cc932c1dc184db20aac3f.jpg?width=1200)
もっと漆器作品を理解するために!
【知っておきたい5つの装飾技法】
漆器作品のキャプションは
理解できるようになりましたが、
まだ「?」が残るのは「文様をつける方法」でしょう。
ここでは、漆器作品に使われる
文様をつける方法を5つ紹介します。
もちろん、文様をつける方法は
5つだけではありません。
この記事を読んで、
技法に興味を持った方は調べてみてくださいね。
⑴沈金
沈金刀という、彫刻刀のような刀で文様を彫り
その溝に漆をすり込み、その漆が乾かないうちに
金箔や金粉を押し込んで密着させます。
文様以外の金を拭き取ると溝は金色の、
鋭く繊細な文様になります。
先ほどの【朱漆花鳥沈金膳】がその例です。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/122295893/picture_pc_9ecb370d520cc261521bbc6c0d1adc22.jpg?width=1200)
⑵螺鈿
夜光貝やあわび貝を、砥石で摺り
1ミリ以下の薄い板状にします。
これを文様の形に切り漆器にはめ込んだり、
貼ったりすることで虹色に変化する文様が生まれます。
光の向きで変わる色味に心奪われます。
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⑶箔絵
漆で文様を描き、金箔を押して接着させます。
完全に乾かしたあと、金箔を吹き払うと
漆で描いた文様が金色になって現れます。
この金箔の上に黒漆で文様を描き入れて仕上る技法です。
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⑷堆朱
漆に砥粉(砥石を切り出す際に生じた砥石の粉末)を混ぜた|灰漆《はいうるし》に文様を彫ったり、または木に直接文様を彫ったりして、その上から朱漆を塗ります。
漆を塗り重ねて、文様をレリーフ状に彫っていく方法もあります。
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堆朱には「朱」という文字が既に含まれているので
「どんな文様か」から名前が始まっていますね。
⑸堆錦
※こちらは琉球独特の技法です。
書き手の私が沖縄出身のため、ラインナップに加えました。どこかでお役に立てれば幸いです。
漆に朱や黒の顔料(絵の具)を混ぜて練り、
粘土状にします。(堆錦餅という)
これを棒で平たくのばし、
文様の形に切り取って貼り付け
柔らかいうちに凹凸をつけ、線を入れて仕上げる技法です。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/122299262/picture_pc_19421460084838c02de470b97efebaa8.jpg?width=1200)
本居宣長の和歌、
「敷島の大和心を人とわば朝日に匂ふ山桜花」
をモチーフした文様です。
明治後期から昭和初期にかけて、
発注された漆器だと言われています。
「祝凱旋」の文字の意味としては戦勝記念品であったためです。
漆器作品がより美しく見える!【キャプションと技法】
美しい漆器の鑑賞を楽しむためには、
キャプションを読み解くことが重要です。
キャプションには美しい漆器の世界を理解する
ヒントや背景、制作技法などが含まれています。
そのため、私たちはキャプションを読み解くことで、漆器の魅力に気づき、より深い鑑賞ができるでしょう。
この記事がみなさまのお役に立てれば幸いです。
応援したいと思ってくれたらうれしいです! これからも楽しく記事を書いていきます☆