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アパレル店員がTOCを考えてみた

会社の目標は、お金を儲け続けること。
そう提唱するイスラエルの物理学者
エリヤフ・ゴールドラット著『The Goal』

TOCはTheory Of Constraintsの略語で
日本語では制約理論の条件と呼ばれています。

制約理論は本当にどの場面でも通用するのか、
私が長年携わるアパレル業界にも落とし込めるのか。
こちらを参考に考察してみました。



『The Goal』 が発表されたのは1984年、
大量生産・大量消費がベーシックになりつつある時代。

日本はバブル以前の、
『生産すればするほど売れる』という世界の理論は
現代の不景気においても解決できるのでしょうか。

もともと
ゴールドラット氏は、
家族との時間を作りたいという思いから
この理論に至ったという説もあるため、
日本の『時間の限り働く』という文化を
当てはめることができるのか私は疑問だらけでした。

あたりまえに気づく


スループットを増やしながら
在庫と業務費用を減らす

スループットとは
販売による利益の割合、
つまり『入ってくるお金』のこと。
(例:Tシャツを販売して手元に入ったお金)


在庫とは
商品を完成させるために必要なすべてのお金。
それぞれの部品や組み立てる前の在庫など、
それぞれに価値があり『売れる』もの。
(例:Tシャツに施したプリントのインクや商品タグ)


業務費用とは
在庫をスループットするために使われるお金。
『売ることができない』もの。
(例:人件費)


つまり販売数を増やしながら、
商品とそれに関わる在庫と人件費を減らしていけば
会社は続けることが可能、という意味なります。

しかし
効率を高めようとすればするほど
目標から遠ざかるとも言っています。
従業員が手を休めることなく
常に作業している工場はとても非効率らしいのです。


理由として
・急なイレギュラーに対応できない
・作業人数が多すぎて余剰在庫が増えてしまう

などが挙げられます。

個人的な意見としては、現在はコロナ禍による
人員不足の場合が多いと思うので
少しでも個人の労働に時間的余裕を持たせることが
大事なのではないかと考えました。


ボトルネック

ここで『ボトルネック』という言葉が登場します。
ビジネス用語で、生産能力に影響する要因や
障害のことを差します。

先ほどの、従業員が常に作業をしている状況で

・イレギュラーが現れた場合
・時間がかかる工程がある

その場合生産した部品を使いきれず
余剰在庫となるのもボトルネックと言えるでしょう。

商品になる前の状態『仕掛かり在庫』が増えることになります。


ボトルネックを解決していく中で、
以下ふたつの出来事に常に影響されます。

・依存的事象
(例:Tシャツのボディーが届く、プリントする、自社商品タグをつける、梱包するなどの確定している一連の流れ)

※(売上データから平均生産数を求め、それに沿って作業を進める等)


・統計的変動
(例:Tシャツのボディー到着が遅れている、プリント工程が多く仕上がりが遅れるなど予測できない問題)

※(大量注文、まとめ買い、従業員の休暇による人員不足、資材不足など)


改善策一例:
※ボトルネックの生産能力を増やすために品質検査を前もって行う
(梱包は時間がかかるのでスピードUPのために、前もって検品を行う)

ボトルネックの仕掛かり品をすべて
現金化することができた場合の利益
外注などによるコストを比べてみるのも大事です。
明らかに仕掛かり品を現金化したほうが
良い場合もあります。

プリント工程がボトルネックなら、
プリントを外注してしまう…などです。

ボトルネックは会社にとってチャンスでもあります。
見つけて改善することで確実に成果が出るからです。

しかし
ボトルネックは解決したらボトルネックではなくなり、
別の場所で新たなボトルネックが生まれています。
これは終わることのない、会社の課題です。

こうして文字にしてみると、
あたりまえの事ばかりなのですが
理論として会社に置き換え行動しているチームは
少ないのではないでしょうか?

問題解決ツリー

問題解決ツリーとは目標に向かう中で
障害となる事柄を木の枝のように繋げて
ボトルネックを見つけていくプロセスです。


商品の設定在庫数はツリーで表すと
見えてくるかもしれません。
さらにツリーで説明することによって
直営店のスタッフも納得してくれる可能性があります。

どうしても販売数や粗利を追う管理側と
商品を『今買いたい』お客様を相手にする販売側では
意見が対立しがちです。

管理側はなるべく在庫を減らしたい
販売側は余裕を持って在庫を持ちたい

販売側は設定在庫数を増やしたい→管理側は毎月の売れ数を比較する→

突発的に販売数が伸びた商品は、
現場の肌感として在庫を多く持ちたいと思います。
しかし通常より多く販売したのはその日だけで、
ひと月トータルでは3日で1枚のペース。

それでも、まだまだ引き下がらない販売側


販売側(まとめ買い対策での在庫増)→管理側(在庫が増えるとどうなる・もし店舗でさばけなかったら?)

販売側は一度のまとめ買いに惑わされず、
店舗の過去の販売数や
大量に在庫を抱えてしまった場合の
会社の存続まで考慮する必要があります。

売り逃がしは心苦しい場面もありますが
会社のためだと割り切り、
完売してラッキーだという
マインドに持っていくことが必要です。

時間はかかってしまいますが、
このように販売側と管理側の問題を
木の枝のように繋いでいくことで
社内の摩擦は減っていくでしょう。


まとめ

『The Goal』を読み、
自分の仕事に当てはめて考えていますが
社員に過重労働を求める事なく、
会社が儲け続けるのは可能なのか
未だ半信半疑の状態です。

制約理論は
在庫と経費を減らし利益を増やすこと
ボトルネックを探し解消することを永遠と続ける


というシンプルかつ困難な理論であると言えます。


『The Goal』の理解を深めるために、
『バッファデザイン』という書籍も参考にしましたので
またの機会にこちらも解説したいと思います。
それでは、また。





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