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<ブルックリン文化風俗アーカイブ>NY暮らし20+年の猛者の集合知とレジリエンス

昨夜久しぶりに、NY暮らしが長めで、ハウスやヒップホップ、そしてその周辺文化が好きな日本人の知り合いがたまたま集まる機会があったので顔を出した。たぶん、それぞれがそれぞれの夢やヴィジョンを描いてここに来て、好きなことを続けながらもそれなりに快適に暮らしていけるための日々のハッスルもちゃんとこなして、ママ友であれば結婚や出産も子育てもして、一通りいろいろやりあげた後で(簡単にまとめすぎか笑)また現場に復活などしていて。そして当然ながらやっぱり現場は最高なわけで。

20、30年以上前に日本からNYにやってきた、その最初の「導入部分」こそ違えど、2022年もそろそろおしまい、というこのご時世にもなれば、だいたい同じような空気を好んで吸ってきた人というのは結局みんなどこかで少しずつつながるようで。何を強要するわけでも、誰が仕切るわけでもなく。つながるべきところはつながるんだなぁ、というしみじみした実感。

NYで暮らす日を夢見て自分も色々と画策していた90年代後半、同じようなことを日本のどこかで考え、実行に移した人々。共通の友人を介した出会いなどで細かいことは知らなくても、ここまで来るともう、勝手に戦友みたいな気分だ。これがあと5年、10年となった時、まだみんながそれぞれにここでの暮らしを楽しみつつ、それぞれに進化して面白いことをやっている様子を近くから遠くからサポートできてたら嬉しい。そんなことを思いつつ、そういえば去年も「積み上げた経験値の向こう側の景色」について書いたなぁ、と思い出し再ポスト。



自分も含め、なんだか近頃身近な友人に大きな動きがありまくりで。良いこともあれば悪いこともあり、その振り幅やバラエティにクラクラくるほど。

でも、共通して言えるのが、多くの仲間たちがもうNY/アメリカ生活も軒並み20年以上になり、それぞれがそれぞれのドラマや窮地を乗り越えてきたことで磨かれたトラブル回避・処理のセンス、セーフティネット、サポートシステム、頼りになる情報収集能力、その真偽を見定める嗅覚、低調な期間が続いたとしても「しのぎ続ける」気力、精神力、そしてそれを維持するためのフィットネス&メンタルヘルスマネジメントに対する知識や体験談も含め、もうとにかくめっぽうレジリエントなのだ。

そんな20+年選手が数人集まった日には、その「それぞれの20+年のジェットコースター的経験・体験に基づいた集合知」のクオリティがすごすぎて。

私の周囲には己の能力と嗅覚で独特の価値判断をし、完全に個人の裁量の中でどんどん切り開くタイプが多いみたいで、そんな彼らが実体験の中からすくい上げてきた知見やセンスは揺るぎない

ここまでくると、窮地にいる友人であっても「アップ&ダウンはありつつも、キミの基本的な底力を信じているから、それをうまいこと発動させて切り抜けておくれ。でもいざとなったらこちらも自分のリソースを投入して後方支援するから踏ん張れ」的な心情になる。彼らの強さを信じている。そして、多分大丈夫。うまくいく。(注:この時点から1年経過したが、窮地にいた友人はやっぱりめちゃくちゃ強かったし大丈夫だったし結局なんとかなった。)

そんな中、昨日初めて物理的に「対面」した現職(当時)のブラジル人女性ボスと秋のNYCを歩きながら、初めてパーソナルなレベルでコネクトできた。同い年くらいかな、、とは思っていたが、22歳でブラジルで結婚した夫とアメリカに渡り、その後12年間の結婚生活にピリオド、さらに次の結婚は6年で破局、今はティーンの息子がいるボーイフレンドと同棲中。USに来るまではブラジルでサイコロジストとして仕事しており、ローカリゼーション業界はアメリカに渡ってからの後付けのキャリアだったそうで(私も全然そう)。今はブラジル・アメリカ両国の国籍を持ち、サンフランシスコの超高級住宅地に住む。途中でピラティス講師の資格も取り(「当時はお金がなかったから、好きなピラティスをタダで続けるには資格を取って教えるしかなかった」という懐事情も#移民あるある、で好感度高し)、いつも超絶にポジティブで優しく、「シングルマザーに育てられたから、私は世の中の全ての女性、特に母親、さらに特化するならシングルマザーは諸手を挙げて応援する」と言っていた。コロナ禍にはブラジルから母親をSFに呼び寄せ一緒に暮らし、必要なワクチンも全て祖国よりも一足早くアメリカで接種させたのだそう。

彼女からも「相手との関係性の中で自分の立ち位置を決めるフレキシビリティもありつつ、いざという時は己の能力とスピリットを大いに発揮して自分で安定と成功を掴んだ」という、強い移民女性のレジリエンス臭がプンプンで。それが「私!私!ミー、マイセルフ&アイ!私の夢とやりたいことだけなの!ザッツイット!キーーー!!」的な幼稚なドリーマーとは格が違うというか、サステナブルに長期的に成功していくための秘訣はここらへんにありそうだな、という静かな確信に至った。知ってたけど。しなやか。「耐震能力はコンクリの高層ビルより五重の塔」「皮を斬らせて骨を絶つ」的な。

そういえば2000年代前半、ユニクロのグローバル広告キャンペーンのキャスティングの仕事をしていた時のボスも、ひたすら強い移民の女性だった。彼女はモデルとしてNYで大成功する、という夢を小規模ながら叶えた後で予定外の妊娠と出産で計画変更を余儀なくされつつも、最終的にはやはり己の立ち位置を見直し、代わりにビジネスウーマンとして大成功した人だった。

期せずして今年の誕生日は、身近にいる強い移民女性やクイヤ仲間たちのレジリエンスに共感・感服しエールを贈りつつ、自分も要らないエネルギーを消耗させることなく、粛々と己の信じる道を進むしかないし、そうするために必要なメンタルもツールも、気がつけばもうすでに自分の中にあったのだ、、という喜びと実感をじわじわと噛み締める日となった。母としての顔から個としての自分に戻りつつあるのを痛切に感じる。ヤバいぞ。いい感じだぞ。

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