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神様になることはできましたか?
わたしには友達がいくにんかいて、そのうちの誰かであって誰でもない誰かのことを、わたしは同居人、と呼ぶのだと思う。わたしは海辺の街にいる。あるいはそうではない場所に。わたしはインターネットにいる。あるいはそうではない場所に。
架空の鹿が死んだ話をしよう。
わたしのことを知らない誰かが、わたしのことを特別な人間だと呼んだ。その人はわたしを知らなかったし、わたしもその人を知らなかった。わたしは
「なりたい自分」になることはできるのでしょうか?
わたしたちは海の近くのアパートメントに住んでいて、わたしたちというのはわたしと同居人のことで、彼女はそこにいたり、いなかったりする。あるいは彼女にとって、わたしはそこにいたり、いなかったりする。
わたしは彼女が実在しないことを知っている。
あるいは、彼女の実在する世界に、わたしは実在しないことを。
季節が何度か巡ってわたしは夏の部屋にいる。夏は幻が見える季節だ。海はそこにあるのかもし
「助けてくれないなら死んでやる」と言われました、どうしたらいいですか?
「どうする?」
質問を読み上げたわたしは訊ねる。彼女は小さな頭をことん、と、絵に描いたようにかしげる。
「あなたが言うの?」
「わたしでもいいけど。たとえば、わたしが、絶対に一緒にいて、とあなたに言う」
「いるけど」
「出かけないで、いつも一緒にいて、ごはんの途中でいなくならないで、外に出ないで」
「やだ」
「やでしょう。でもそれをしてくれないなら、わたしは死ぬ」
「死ねばいい」