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ドーナツ革命党日報

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お受けした人生相談および哉村の日々のことをまとめたマガジンです。
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2017年2月の記事一覧

「神」とは何者の名か

 「憧れのイラストレーター」のことを「神絵師」と呼ぶネットスラングがあります。「神絵師とアフター」というのはもうこれがひとつの寓話のようなものですが、寓話として扱うにはあまりにもくだらないのですが……

 むかしむかし、神絵師がいました。神絵師とリプライを交わしたことがある読者が、ある日神絵師の参加していたイベントのスペースに現れて、言いました。「この後アフターありますか? 参加したいです」 神絵

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不思議の国

 差別についての問題を論じているときの基本的な考え方のひとつに「常識」は万人に通じるものではない、というものがあります。そして腐女子にまつわる言説のたいていは差別に基づいたものです。男の子と女の子が恋をしない世界はすべての人間にとっての不思議の国ではない、まずそのことについて考えなくてはならない。

 「わたし」が見ているあたりまえの世界は「わたし」の世界です。それを基準とした場合、「あなた」の世

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寂しさと承認欲求について

 「モテない、さびしい、モテたい」というご相談を受けます。めちゃくちゃ頻繁に受けます。とりあえず寂しさについて。

「寂しい」というのがどういう状態かというと「自分の輪郭が不明瞭である」という状態じゃないかということを近頃考えていて、だから「だれかほかの人の言葉で自分の輪郭を定義してもらいたい」というのが「承認欲求」ではないかと思う。いろいろなそれのありかたがあるとは思うんですが、いまのところそう

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愛の定義

 オタクは愛についての話をしたがります。愛があるから大丈夫とか、愛がないからダメとか。さて愛というのはなんのことなんだろうか。「なにかを愛する」というのはいったい何のことなんだろうか。

 「愛」という言葉はもともと漢語です。LOVEは英語。どちらも輸入された言語で、日本人にとっては曖昧な言葉です。「愛してる」と言われて「それはつまりいったいなんのことなの」と問い返された場合、わたしたちはいったい

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中間色のともだち

 刺激とストレスの関係についてはもう書きましたが、というわけで好きになるのも嫌いになるのもそれなりに疲れる、そのうえで、「好きなことを仕事にする」あるいは「好きな人・もの」をそばにおく、ということについて。

 「すごく好き」の「好き」の種類が「感情の大きな揺れ」である場合、どんなタイミングでの、どんなかたちでの発露であっても、それはかなりリソースを食うことです。人でも物でも仕事でも概念でも、その

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憎悪の取り扱いのこと

 人生にはいろいろなことがありまして、わたしは2016年から有料で小説技法の講座をはじめました。そこで口を酸っぱくして言うんですが、「いつものこと」と「いつもどおりではないこと」の差分を認識する能力をまず鍛える必要がある。物語とは「いま、いつものことだと思っていること」から「何かしらのいつも通りではないこと」へ移動することです。それさえ描かれていればAからBへ移動するまでもなくAからAダッシュにほ

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