教員からみたBizWorld #3「なぜBizWorldを推奨するのか?他のアントレプレナーシップ教育の教材との違いは?」
おひさしぶりのブログです!
前回の投稿以来、2022年と2023年に兵庫県で開催された「兵庫スタートアップアカデミー」のプログラムが無事終了しました。詳細は次回のブログでお伝えしますが、認定フェロー兼アドバイザーとして参加したこの2年間は、教育分野での新たな発見が多く、非常に充実していました。同時に、BizWorldの素晴らしさを感じた2年間でした。というのも、アントレプレナーシップ教育に関する教材は実はこのご時世かなり増えてきており、学校現場で働く僕としてもこれまでいくつかの教材を使ってきたことがあります。もちろんどの教材もとても面白いものですが、その中でもアントレプレナーシップ教育として学校教育界に強くインパクトが残せるのがBizWorldなのではないかと考えています。
今日は、僕がBizWorldをなぜ強く推奨するのかについて、4つの理由を詳しく掘り下げていきたいと思います。
■なぜBizWorldを推しているのか?-アントレプレナーシップ教育実践教員が気づいた4つの理由-
1. コンテンツ力の高さ
まず、これを読んでいただいているみなさんに伺いたいのは
という質問です。
教科書はとても学びに満ち溢れたものであるのですが、教える内容が決まってしまっています。ゆえに、教科書「を」教えるのではなく、教科書「で」何を教えるのかが重要になってくる、ということが学校教育の世界ではよく話されます。
ただ教員にとってそれが難しい。自由にやりたいことをできるわけでもなく、与えられた教科書をうまく料理するというのは本当にむずかしく、教員の職人技になっています。結果的に、数ある教員の業務の中で授業が後回しになっていく先生方は多いのです。生徒対応、書類作成、保護者との対話、部活、授業準備など様々な業務がある中で、毎日の授業をこなすだけで必死な先生方が多いのは1つの事実でしょう。
僕自身も教科書と向き合い続けてきた教員の1人です。どう料理すればよいか?どのように目の前の生徒が教科書を通して学びの喜びを見つけられるのか?それをずっと探究してきた自分が、BizWorldの教材と出会ったとき、「これはすごい!」と思ったのです。例えるなら、生でもとってもおいしいユッケみたいなお肉が届いたような気持ちです。教員が教材とともにアントレプレナーシップの本質について考えていける。生徒はクリエイティブ・ラーニングを通して、アントレプレナーシップの探究ができる。教員も生徒も、この教材を通して、体験的に、楽しみながらアントレプレナーシップに触れることができるのです。「さすが、アメリカで26年近くをかけて先生方が改善されてきた教材だなぁ~」という印象を持ちました。
BizWorldの教育プログラムでは、教員がただ教えるための教材になっているのではなく、生徒たちが自ら創るプロセスを通して、考え、行動していく態度を育みます。重要なポイントとして以下の2つを取り上げてみます。
実世界のシミュレーション: 生徒たちは、ビジネスの基礎を学び、デザインからから資金調達、マーケティングに至るまで、その基礎をまるでゲーム感覚のように体験することができます。これにより、経済の仕組みやビジネスの基本を実践的に学べます。
教育理論に基づいたカリキュラム: 生徒たちが模擬会社を創り、実際に商品を創ってバザーを実施するカリキュラムは、構築主義や社会構成主義の考え方に基づいて作られています。関わり合いの中で、自らが創るプロセスを通して学びが広がっていきます。
次世代の「教科書」のあり方のモデルになるような教材、それがBizWorldです。
2. 運営メンバーがコミュニティを大切にしている
BizWorldの運営チームは、IKIRU合同会社のお二人です。
代表の福田さんは、アメリカのシリコンバレーに母子留学をしていた中、BizWorld創設者のTim Draper(2024年に特に注目されるべきスタートアップ業界の専門家やリーダーを選出し、その影響力や貢献度を称えるWorld's Top 30 Startups Gurus for 2024にも選出されている)に感銘を受け、日本にこの教育プログラムを広げ子どもたちが自分の人生の可能性を広げられるようにしたいという一心で日本での活動を開始されました。そして、もうお一人のCTOを務める尾﨑さんは、大手外資系Tech企業で社長賞をなんと2回も受賞された敏腕プログラマー/マネージャーです。独立し、アントレプレナーシップ教育を独自で実施しようとする中、BizWorldと出会い、「これが広がればいいじゃないか!」とチームにジョインされました。お二人を中心に、大学の研究者、エンジェル投資家、行政、学校の現場の先生たち、を巻き込みながらBizWorldプログラムを日本中に広げていらっしゃいます。
ビジネスにおいて重要なことは、個人依存を減らし、効果的な構造を構築して、より多くの人々に製品を届け、規模を拡大していくことです。これは、利益を最大化するための不可欠なプロセスですし、教育の教材販売の世界でもこのパターンは顕著です。
こういったビジネスモデルの常識を理解しながらも、福田さんと尾﨑さんは、教育における最も重要な要素として人間関係を重視しています。BizWorldに関わるすべての人が幸福を感じられるような仕組みを模索していて、その過程で、BizWorldという教育コミュニティ内での支え合いや、ともに成長し合う文化を育んでおられます。他の企業さんもぜひこの視点を意識していただきたいというポイントを2つ取り上げてみます:
プログラム実施のサポート体制: BizWorldでは、教員がプログラムを効果的に導入し、生徒に最大限の影響を与えられるよう、継続的なサポートと定期的なコミュニケーションを提供しています。そもそもこのプログラムは認定者のみが実施可能であり、教員と運営メンバー間の信頼関係がその成功の鍵を握っています。この体制により、教員はより自信を持ってプログラムを運営でき、児童・生徒への教育効果も最大化されると考えています。
アントレプレナーシップ教育勉強会: BizWorld Japanが主催するこの勉強会は、数か月に一度、アントレプレナーシップ教育の最前線で活動する方々が集まり、最新の情報やアイデアを共有する場となっています。教員は新たな教育技術やアプローチを学ぶことができ、自身の教育実践をアップデートする機会になります。また、参加者同士のネットワーク形成にも寄与するので、教育界全体の連携を促進しています。
こういったコミュニティ観とアプローチにより、認定フェローになったみなさんが互いに学び合い、育ちあう環境が整っています。
3. 世界とのコネクション
BizWorldは、広範な国際的ネットワークを活用し、世界中の教育者やビジネスリーダーと積極的に連携しています。特に注目したいのは、BizWorld本部が主催する「YES!」プログラム(Young Entrepreneur Success Program)です。このプログラムでは、世界中から選ばれた若者がシリコンバレーの投資家の前で自らのビジネスプランをプレゼンテーションし、その場で賞金と1年間のメンタリングを勝ち取るチャンスを得ます。これは、日本人の中高大学生にとって非常に貴重な機会です。
さらに、BizWorld本部の教育者やビジネスディレクターが来日し、認定フェローや子どもたちとの間で直接交流を行うこともあります。子どもたちはもちろん、教員にとっても、グローバルな視点でのアントレプレナーシップ教育に触れられる数少ない機会です。
ドバイやロンドンなど、世界各地で開催される教育カンファレンスやスタートアップに関する情報もBizWorld Japanのコミュニティを通じて共有されています。このような国際的なつながりは、日本に存在する他のアントレプレナーシップ教育教材と大きく異なる特徴です。
これらの国際的な取り組みから、以下の二つの重要なポイントが浮かび上がります:
国際的なピッチの機会: 「YES!」プログラムでは、参加者は実際にビジネスをしている若者がほとんどになります。アイデアレベルだけではなく、実践している若者が集まる場に進むだけで、日本の若者全体のアントレプレナーシップ涵養が見込めます。将来的な国際的ビジネス感覚の素養を若者のうちから養っておくことは非常に重要な機会だといえます。
文化間交流の強化: BizWorldの活動は、参加者が異文化との交流を通じて、多様な価値観を理解し尊重する態度を育む上で重要な役割を果たします。教材を通してだけでもPay ForwardやConstructive Criticism、Philanthropyなど、アントレプレナーシップにおいても重要な概念を考える機会が準備されています。 これにより、より広い視野で物事を考え、グローバルな問題発見、解決の能力を養うことができます。また今後はシリコンバレーキャンプ・ロンドンキャンプなども開催される予定です。
BizWorld Japanは、これらの機会を最大限に活用して、日本の学校教育システムに新しい風を吹き込むことを目指しています。
4. 教員のスキル向上とその波及効果
BizWorldは、教員が参加する認定フェロー研修を通じて、アントレプレナーシップについての理解はもちろん、授業デザインや教育理論についても考える機会を提供しています。また、プログラムを実施していくことで、教員自身の教育技術を向上が見込める機会となります。具体的には、以下の2点のようなメリットが考えられます:
教育実践の革新: 教員はBizWorldの教材を通してプロジェクトベースの学習や、批判的思考を促進するディスカッション、協働学習など、生徒の積極的な参加を促す教育実践を学ぶことができます。BizWorldは約26年間をかけてアメリカの教員たちが本質を研ぎ洗練させてきた教材です。そのエッセンスを学ぶことができます。
教育集団への影響: 認定フェローとしてアントレプレナーシップ教育の実践経験を持つ教員が増えると、その教員の所属するコミュニティにも効果的な影響があると推測できます。認定フェローの教員が、新たに学んだ教育実践を同僚やコミュニティに広め、学校教育の質が全体的に向上し、より実践的な学校教育の実現につながる可能性があります。
さらに、BizWorldのフェローシップは教員のキャリアにおいて重要な役割を果たすと考えられます。アントレプレナーシップ教育を実践する過程の中で、教員自身のアントレプレナーシップと向き合う必要性が必ず生まれます。その自分との対話が、教員自身のより良いキャリア形成につながり、自身の働き方や生き方をより良くしていくと機会になると考えられます。その人生観は、日本の多様な教育の現場にとって、必ず良い形で生かされるでしょう。
このようにして、BizWorldのプログラムは教員個人に対しても、教育の現場に対しても効果的な影響を与えてくれると思います。教員にとっても児童・生徒にとっても、それぞれのコミュニティがより良くなっていくきっかけになりうる、そんな可能性に満ちた教材です。
■おわりに
前回のブログのまとめとして、アントレプレナーシップ教育と起業家教育の違いについて述べました。
日本の学校教育においてなぜアントレプレナーシップ教育が広がったほうがよいかについては、立場によって様々な意図や思惑があるように感じますが、僕自身の意見は前回のブログで想いを綴っています。
そして、繰り返し強調しますがどのアントレプレナーシップ教育のプログラムも素晴らしいものだと思います!一番重要なのはアントレプレナーシップ教育を広げることですので、BizWorldに固執する必要はありません。
※一点、起業家の方の講演だけで終わるパターンはもったいないと痛烈に感じてしまうので、もしそうなっている場合はぜひ、何かの教材を。。。
ただ、今回のブログで述べたように、BizWorldの教育プログラムは多くの学校にとってさまざまなメリットが生まれると、とても感じています。
教員のスキルアップ、学びの質の向上、そして国際的なつながりの拡大は、我々学校現場の人間にとっても常に課題となりうるものです。ゆえに、これら課題に間接的にもアプローチできる教材がこのBizWorldなので、どうしてもBizWorld推しになってしまいます。
※アントレプレナーシップ教育教材作成の関係者のみなさま、お許しください。
そもそも、学校教育に関わる法人のみなさまには、競合と呼ばれる関係性になりうる関係者とも力を合わせて、より良い教育を創っていただきたいと強く願っていますし、それこそアントレプレナーシップの発揮だと考えられるので、ぜひ、BizWorldがその架け橋になってもらえればと考えています。
BizWorldが提供するこれらの機会について、さらに掘り下げた内容や、具体的な教育の場面での影響については、今後もブログを通じて紹介していきます。皆さんからのフィードバックや意見もぜひお聞かせいただけると嬉しいです。
今回もご覧いただきありがとうございました。
これからもご支援のほどよろしくお願いします!
〈ライター〉
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