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働く意味が見つからない。迷子の自分を変えた「志」の力

Home事業で分譲マンション向けの営業を率いている尾泉さんは、ビットキーに入社してから3年目となる2022年の2月に
『ビットキーが描いている“夢”を実現することで、新しい“当たり前の暮らし”を日本や世界に広めていく』という志を立てました。

その志を立てたことで、自分の仕事の「役割」、そのまなざしや行動が変わってきたといいます。

「ビットキーって、常に未来を見ている会社だと思うんですよ。
今の暮らしや働き方を変えたいという夢がまずあって、それを実現する手段のひとつとして営業がある。ビットキーの価値観を世の中に浸透させていくために、“このくらいの受注を獲得していこう”という手段に過ぎません。
自分の行動によって、新しい“暮らし”が当たり前になっていくことで、喜んでくれる人々を増やしたいんです。一度しかない人生だから、世の中や未来にそういった貢献が出来れば、本当に悔いのない人生であったと、いつか誇れるのではないかと思います。」

今でこそ『手段ではなく、あくまで志が大事』と語る尾泉さんですが、ビットキーに入社して2年ほどは足元がおぼつかず、どこへ向かっていけばいいのか自分でも分からなかったと語ります。
任務に必死なあまり、自分自身を顧みなかったことも。精神面や体力面で一時期は「どん底」にまで落ちた時期もありました。

そこから「志」にたどり着くまで、どんな道のりを経たのか。そして、志を立てて得たものについて聞きました。

尾泉 良太

長野県出身。野球に明け暮れた学生生活を過ごし、立教大学文学部教育学科卒業後、2011年に大手不動産デベロッパーへ。主にマンション販売の営業を経験したのち、品質管理にも従事。外資系の不動産ベンチャーを経て、2020年1月ビットキーに入社。現在はHome事業の分譲マンションを対象とした営業活動全般を牽引している。

仕事の目標はあったが人生の軸がなかった

大学卒業後、大手の不動産デベロッパーに新卒入社した尾泉さん。首都圏にある新築分譲マンションの販売を担当します。

尾泉:初めての受注を獲得したのは、配属されてから3カ月後くらいでした。1部屋のみでしたが、無事に目標を達成しました。その次は、初回商談でマンション一棟の契約を受注できたんです。
その後、全く契約がとれない時期もありましたが、3年目には営業のスキルも向上して、お客様の立場を考えられるように。その結果、販売実績も上がっていきました。

当時はとにかく目標に対して愚直でしたが、ただ、何のために自分がこの仕事をするのか、誰かや社会の何に役に立っているのか。そういった「自分の軸」となるものを持たないまま働き始めてしまっていたのだと思います。

そうこうしているうちに、精神面でも体力面でも「ガタ」が来てしまい、半年ほど会社を休職させてもらいました。入社して5年目のことでした。

復職後は品質管理の部署に配属され、仕事も順調でした。

尾泉:仕事ぶりから、周りの信頼も得られていたと思います。恥ずかしい話ですが、それによって自分の価値まで上がったような気になり、ふと、「別の会社で働きたい」という気持ちが芽生えました。

転職エージェントから勧められるままに会社を受けるも、満足のいく結果は得られませんでした。「自分の軸」がないがゆえの問題が突出します。

尾泉:「自分の価値を評価してくれるところがいいな」と考えてはいたけれど、実際にはその企業のどこに共感したのか、自分はどんな領域で貢献できるのかなど、言語化できないまま面接に臨んでました。だから、結果が出なかったのは当然だと思います。

今の自分なら、知名度、報酬、職場環境や周りの評判で転職先を考えるのではなく、人生をかけて「何を果たしたいか」を明確にしてから会社を選ぶべきだよ、と言いたいですね。なんとなくで決めると、同じことの繰り返しになってしまうので……。
なんて、偉そうなこと言ってますけど、これ、裏を返せば「自分の軸」を持てないままふらふらしていた自分への戒めでもあるんです(苦笑)。

転職先の「整っていない」環境で得た次への切符

一向に転職先が決まらない尾泉さんは、「今の品質管理の仕事を頑張っていこう」と気持ちを切り替えた矢先、別部署への異動の内示を受けました。

尾泉:キャリアとしては決して悪くない道だったと思います。一般的に考えても、それなりに安定した暮らしが見込まれるので、周りは祝ってくれました。でも、どこか「このままでいいのだろうか」という一抹の不安がよぎり、心の底から喜べませんでした。

また、大企業ならではの慣習というか、ジョブローテーションのような仕組みが自分の性格には合っていないなと、このとき痛感しました。少しずつ自分の得手不得手が分かってきたなかで、不得手な領域にも行かなければならないことに違和感を覚えたんです。

内示から3カ月後、尾泉さんは新卒から9年勤めた会社を退職し、外資系の不動産ベンチャーに転職します。
「不動産をITで変える」というビジョンに魅力を感じ、話を聞きに行って10分で採用即決。それに伴い、翌日には上司に退職の意思を告げた異例の「スピード転職」でしたが……。

尾泉:転職して4カ月後、事業の縮小が決まってしまいました。半年という短い在籍期間でしたが、日本法人でレコードとなる記録を打ち立てられたり、初代の月間MVPを獲得したりと、貢献はできたと思います。

「整っていること」が当たり前のレガシーな大企業で育った僕が、良い意味で「全く整っていない」ベンチャーに飛び込み、短期間で業務知識を身に着ける。そんな、ベンチャーならではのスピード感とダイナミックさに触れ、チャレンジングな環境に順応していくことで、次の挑戦への「助走期間」、つまり「ビットキーへの切符」が得られたと思っています。

2020年の初め、尾泉さんは友人に誘われてビットキーに入社しました。
そこからの2年間は、同僚や上司に追いつけ追い越せの毎日。まさに「無我夢中」でしたが、徐々に体の不調を覚えます。

尾泉:一緒に働くメンバーたちは、平均的な能力が高いうえに、それぞれ突き抜けた力を持っています。ビジネスモデルを考える力、顧客企業の組織すら変えてしまうような営業力、事象を分解する力、懐に飛び込んで信頼関係を築く力……。
入社数カ月後から、営業回りをともにした経営メンバーもそのひとりでした。営業先での所作、アウトプット、構成や戦略の立て方、顧客に語るビジョン。その全てが美しいんです。頭と体に刷り込まれてしまうくらいに何度も見聞きしました。

一方で僕は、漠然とした不安を抱えながら仕事をしていました。自社製品の説明が不十分だったせいで顧客から商談で突っ込まれたり、自分が担当する案件なのに「どうしたいのか」という意志がないまま、商談を進めていくうえで次の打ち手について上司に確認を求めてしまったり。怒られたこともしょっちゅうです。

目の前のことに必死だった、と言えば聞こえはいいかもしれませんが、どこか主体性が持てていなかったんでしょうね。「このままでいいのか」というモヤモヤを解消できていませんでしたし、自分の軸となるものが何であるかを見出すことができずにいました。
そうして転職から1年ほど経ち、次第に体の不調を感じるようになりました。不器用なりに仕事を進めてきて、無理がたたったんだと思います。

本で出会った「志」。 その言葉が気付かせてくれたこと

その後、尾泉さんは生活習慣を変えようと、自分なりに体を労わるようになりました。久しぶりに読書を再開したのもこのころです。

尾泉:昔から本が好きで、日本人にも長年親しまれてきた古典の分野に関心があります。近年でも、日本の思想体系、武士道に関わる本や日本の神話を中心に、幅広いジャンルを読み進めています。ときに辞書を片手に読み解くこともあるため、どうしても時間がかかってしまうのですが(笑)。

特に、渋沢栄一の『論語と算盤』、吉田松陰の『留魂録』は何度読み返したか分かりません。読むたびに発見のある、奥深い本だと思います。

このときは、本を通じて人生観を養いたいという気持ちで読書を再開しました。読んだのは、『論語』『中庸』『大学』『孟子』の四書(*1)、佐藤一斎の『言志四録』、山本常朝の『鍋島論語』など。
自分の抱える悩みや不安は、過去を生きた多くの人と共通する何かがあるのではないか。現代の「生きること」「働くこと」の意味を、歴史から見出せないか。少しでもその核心に近づきたい、という気持ちも少なからずありました。

*1 四書は、儒教の経書のうち
『論語』『大学』『中庸』『孟子』の4つの書物を総称したもの

何度も読んでいるという書籍を見せてもらうと、
ページの端を内側に折った「ふせん」がたくさんありました。

そして、自分の内面から湧き上がってきたものに気付かされます。

尾泉:さまざまな本を読むうちに、たびたび出てくる「志」という言葉が心に沁みて、自問自答を繰り返すようになりました。
辞書で調べてみると、「志」というのは心がある方向を目指す意味の「心指す」が語源なのだと知りました。「志」の文字の「士」印は、進み行く足の形が変形したもので、心が目標を目指して進んでいく様子を表しているそうです。自分の気持ちが向かうところ、つまり「内から発露される強い気持ち」を表現する漢字です。

こういう気持ち、自分は持っているだろうか。社会人になってからこのかた、目の前の仕事を必死にこなしてきたけれど、そこには「志」があっただろうか。転職に関しても「よさそう」「おもしろそう」と、飛びついてきたけど、何のために生きるか、何のためにその仕事を選ぶか。それらを真剣に考えたことはあっただろうか……。

そこで、ふと気が付いたんです。「志」を立てて頑張るメンバーたちが自分の周りにたくさんいるじゃないか、と。

受け身の思考を切り替えた自省

誰かのために志を立てて行動したときこそが、自分が最も輝いているときだった。尾泉さんは過去を振り返って言います。

尾泉:学生時代は野球に打ち込んでいました。
甲子園の出場常連校とされる高校に入学し、春の北信越高校野球大会では準優勝にまで登り詰めるまでに。悔しくも、高校3年生夏の県大会は決勝で敗退してしまい、甲子園へ行くことは叶いませんでしたが、野球を通じて「ひたむきに努力する」姿勢はここで磨かれたのではないかと思います。このときの経験が、「東京六大学野球」を志すきっかけとなり、のちの大学受験へとつながっていきました。

青春を捧げるほど野球を頑張れたのは、志があったからなんですよね。
その志は、「みんなが野球本来の楽しみを再確認し、正しい努力をして学生生活をより充実させること」。同じ目的を達成するため集まった仲間たちにとって、思い出が色褪せてしまうようなことは絶対したくなかった。

私の人生を振り返ってみると、誰かのために、志を立てて行動したときこそ真価を発揮できているような気がします。

そして、いつしか「自分はどうしたいか」を見失ってしまった社会人生活もあらためて振り返りました。

尾泉:新卒で大手の不動産デベロッパーに入れたのは、運がよかったのだと思います(笑)。大学でも続けていた学生野球で完全燃焼した結果、正直、就職活動に全く身が入っていませんでした。両親や先輩など、身近な人の影響もあり、ただ漠然と「住まいと暮らしに関する、安定した仕事がいいかな」とだけ考えていましたね。

だからでしょうか。人生で叶えたいことや生き方といった「志」を見出すことができなかったんです。与えられた業務をただこなすだけの日々。膨大な情報、業務量に必死で、自分と対話する時間も持てずに来ました。

過去はすべて、今につながっている

この意識の変化をきっかけに、「これまではどこか調子が合わなかった歯車が、ようやく噛み合ってまわり始めた」そんな感覚を持ったそうです。

尾泉:前職では、ずっと「一個人」のみにフォーカスしていたんです。今では、その「一個人」や「一家族」という単位を積み重ねてゆくことで、「暮らし」という規模、レベル感で考えられるようになりました。
「暮らし」を体現する「一個人」も根っこの部分では同じ共同体ですが、その意識を強く持って1社目、2社目を過ごせてはいませんでしたね。

同時に、利益を最優先するのではなく、社会を変えることを優先して考えるようにもなりました。ビットキーという会社を通じて、社会に対してどんなインパクトを残せるのか。

もちろん、会社が存続するには利益も大事にしなくてはなりません。「志」を持ってからは、話の内容や資料などのアウトプットが変わり、成果もより大きなものとなって返ってくるようになりました。そうして、入社から3年目を超え、ようやく「ここにいていいんだ」という気持ちになれたんです。

営業は、世の中にある困りごとを解決したり、未来に向かって将来の人たちへと還元されるような活動。それを通して、尾泉さんが伝えたいこととは。

尾泉:成績を残すための目的や手段ならいくらでも話せますが、それだと単なる手段論になってしまう。そこに「心」が入っていないと何の意味もないんです。極論を言えば、数字や成績などの目標なんて大したことじゃない。いや、もちろん大事なんですが、それよりももっと見逃してはいけない、大切な価値があると思って行動しています。

描いた風景を実現するための手段のひとつが、自分が取り組んでいる「営業」なのだと、ここにきてようやく腑に落ちました。

ビットキーは、すでに「社会」や「暮らし」を大きく変えられるものを持っています。まだまだ道半ばだけど、僕や仲間が描いている暮らしの風景は、必ずやって来ると思っているんですよ。

尾泉:入社以来、いろんな人に支えられてきました。失敗してもチャンスを与え続けてくれたことへの恩義と、もらったチャンスで自己を磨いてきたという自負を持てるようになりました。

恩に報いるには、自分の力を最大限磨き、周囲の人たちと目線を合わせたうえで巻き込み、お客様との認識を合わせ、“美しい受注”につなげる――。
この手段を積み重ねていくことが、『ビットキーが描く“夢”を実現する』という自分の志をかなえることにつながるんだと思います。

8年間も鬱屈を抱えて過ごした1社目も、半年で途絶えてしまった2社目も、ビットキーであがいた最初の2年間も。「失敗した」と後悔したこともありましたが、今となっては「大正解」です(笑)。

「いま、ここ」につながるために、全部必要なプロセスだったんだって。

「What's your "KEY"」 とは

ビットキーってどんな会社ですか? 
面接などで、よく聞かれる言葉です。毎度うまく説明しようと試みますが、私たちも、十分伝えきれていない気がしています。
ビットキーには、この会社に何かしらの魅力を感じた人たちが集まっています。これまでたどってきた道は様々で、その人自身の持ち味も様々です。
いまはまだ、うまく説明できないこの会社の魅力を、彼/彼女たちの語りから感じ取ってもらうことはできないだろうか。
同時に、その人となりも伝われば。
そんな想いから、新シリーズ What’s your “KEY” を始めます。
あなたをこの会社に導いたものはなんですか?
この問いかけから、ここに集う人たちの思いや、この会社が持っているなにかが浮き彫りになれば、と思っています。