籠の中の鳥はいついつ出やる
蛇行しながら駅まで伸びる緑道を愛犬と歩いていた。両サイドの植え込みを行ったり来たりする愛犬の後ろを、私もふわふわと続く。色とりどりの絵の具を少しずつ絞り出したパレットのような花壇、ひらひらと蝶と戯れる桜の花びら。降り注ぐ柔らかい日差しが一眼レフに映し出されたようなアウトフォーカスの世界を作り出す。
パタパタッ、という音に顔を上げた。西洋風のしゃれた家の真っ白な外壁にドーム型のアンティークな鳥籠が吊るされていて、中に薄オレンジ色のカナリアが腹を見せるように格子に止まっていた。