OL辞めました。

天才ではない私

音楽の兼業作家として作家事務所に所属したり、こまごまとしたお仕事を請けたり、音楽ミックス技術や英語の勉強をしながらOL仕事を続けていたビシャモン。作家事務所に所属してわかったことは、ビシャモンは天才ではないが、天才である必要はない。仕事として音楽を成り立たせていくのはちょっとした別の能力でたぶん幸運なことにその能力は持ち合わせている。だけどメロディーを作る能力「だけ」では少々技術が足りない。もう少しマルチな技術がいる。

OLをしながらの勉強、作家活動はとにかくハードで、仕事が忙しいときは全く音楽や勉強に手を付けられない日も多く、無理をしては体調を崩したりと、長く情けない気持ちと共に生きてきました。ビシャモンが会社で金の計算をしているこの時にも、この世界にはキラ星のごとく名曲が続々と生まれている。ほんとうに悔しかった。

常駐している Twitter ではあまり弱音をはかないようにしてきましたが、必須スキルのひとつだと考えている「ミックス」がまったく上達しない。勉強しても試しても一向に上達しない。作家事務所にいたときは百曲書いて採用がなければ才能がないと諦めようと思っていました（おかげさまでそれより随分早く採用は頂きましたが＞＜）。そのくらいどうってことなかった。しかしミックスは百軒ドアを叩いても、ひとつも玄関が開かない。そうこうしているうちに夜になり、玄関の灯りも消え、街灯も消え、真っ暗な中でぽつーんと立っている気分でした。

そんな中、「おつかれさま」の一言がとても嬉しかったし救われた。「がんばってるね」の一言で涙が出ちゃった。「いい曲ですね」の一言で（あと一週間音楽を続けよう）と思った。作ることが大好きでやってる反面、そんなギリギリな感じで音楽を続けてきたビシャモンに転機が訪れます。

独立を決めたきっかけ「運命のケーブル」

独立を決めた大きなきっかけはマスタリングエンジニアの森﨑雅人氏に「オーディオインターフェイスとアンプを繋ぐケーブル」そして「マイクケーブル」を作って頂いたことです。モニタースピーカーや音響に関する知識や知恵もお分け頂いた。大げさでもなんでもなく運命のケーブルです。

自宅での作業や自分のミックス能力に限界を感じていましたが、ケーブルを繋いで音を確認したときの目の前がサーっと開けたような感動を忘れません。高級なマイクを所有しないと世界で勝負できないどころか、業界の中、ネットの中でさえレースにならないと諦め半分でしたが、ケーブル1本で録り音が化けてしまった。

今でも、Twitterでスペース（音声で複数の方とお話しできる機能です）を立ち上げると、必ず一回は結構な熱量でケーブルの話しをしてしまいます。笑

ミックス技術はやっとスタートラインに立てたくらいなのですが、おぼろげながら全体像がつかめ、あとは耳を鍛えつつ、実践しながら勉強というところまで辿り着きました。

退職した翌日の10月1日「独立初日」

それでも一度、作家事務所での作家を経験しているので業界がどんな厳しさなのかはよくわかっていて、独立の喜びよりプレッシャーがなかなかに大きい。

10月1日の独立初日は、ワクチン二回目の副反応で微熱があったこともあり、遅く起床して、制服を捨てたり文房具を整理したり、ゆるゆると過ごしていましたが、長期短期スケジュールのことで頭がいっぱい。全く休まらないし、なんならOLをしてたときより心理的プレッシャーが重くのしかかってくる。目の前にプレッシャーという名の黒い物体がのったりどってりと横たわっている。蹴っ飛ばしても押しても、うんともすんとも言わない。

OLやりながら準備しようと考えていたことも激務で全く手を付けられなかった…あれも、これも早くやんなきゃ…＞＜　過集中の傾向があるので、生活のリズムは崩さないよう…運動量の目安も決め、英語学習の有料アプリも再開して…あっ、契約書類や顧客管理のフォーマットを探してダウンロードしなきゃ…。

あっという間に一日が過ぎましたが、安静を心がけていたので作業は全くの手付かずです。副反応の熱は去りましたが、スケジュールを立てていないので気ばかり焦る。クールダウンしないとこんなんじゃとてもじゃない持たない！と思ってキッチンへ。ここでお料理です。お料理いいよね。無になれる。笑　いくつかお料理したら少し落ち着いてきました。Twitterではたくさんの方に労いの言葉やお祝いを頂いて感謝感激でしたが、心中穏やかではない。

「会社を、OLを辞めたら、どれだけ開放感があるだろうと思っていたけど全然そんなことなかったよ」

とツイートして肩を落としてお庭に出ました。

こんなんで大丈夫かビシャモン

ここからは起こったことをそのまま書きますが、途方に暮れた感じで夜空を見上げると星がめちゃくちゃきれいに出てて一気にうわーってなって

(これからはお星さまと一緒に生きるうおおおおおおおおお！)

みたいになった。一瞬プレッシャーが嘘みたいに消えて、ふっと楽になった。あまりも急激に劇的に、気持ちに変化が起こったので面白くてツイートしました。なにこれ？って。笑

…なにが起こったんだろう。ちょっと考えていたのですが、以前からビシャモンには大きな欠点があります。「自分に自分以上のことを求めて、預けることがへたくそ」。

思えばこのとき、預けられるものは全部預けようと実感できたのだと思います。「人事を尽くして天命を待つ」という言葉がありますが、自分のできる限りのことをすればいいじゃないかって、そう感じたのだと思います。

その後

今日は独立四日目です。早い！まだ開業届けを出していないので、正式には失業者で自宅警備員のビシャモンですが、長期スケジュールを組んで、短期スケジュールに落とし込むまでを済ませました。運動しなきゃと思って歩いたら歩き過ぎた！とか、朝、集中して作曲したらもう仕事が終わった気分になっちゃった！とか、早速、過集中の失敗はいろいろありますが、やってみて失敗して、いいバランスを模索しながら精進して参ります。今後ともよろしくお願いいたします☆