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聖地ブッダガヤ編

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ブッダガヤでPTSD再発しかけた話

ブッダガヤでPTSD再発しかけた話

ブッダガヤでの滞在を始めてまだ日の浅い頃、宿の外へ出たところで一人のインド人に話しかけられた。アショーカと名乗るその男は、齡は四十後半と見えるのだが、少年のような小さい体をしておりちょっと異様な雰囲気を醸し出していた。しかもその両耳は西洋ファンタジーでお馴染みのあの架空種族「ゴブリン」のように尖っていて、その体の小ささもあって本当にゴブリンのようだった。

更に異様だったのはその血走った目だ。たま

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続・ガヤ駅にて

続・ガヤ駅にて

私が今から野宿しようとしているここガヤ市はビハールという州の一都市なのだが、このビハール州はインド全州の中でも貧困率・犯罪率共にぶっちぎりでワースト1位という、インド全土にその悪名を轟かすほどの最悪な土地なのだそう。ガヤ空港からブッダガヤへ向かう道では度々強盗がでて旅行者が襲撃されているという。出発前の私は巡礼者らしく歩いてブッダガヤを目指そうと思っていたのだが、先輩仏友(ブッとも)の一言「狩られ

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ブッダガヤの物乞い 5 そしてガヤ駅へ

ブッダガヤの物乞い 5 そしてガヤ駅へ

一月以上滞在したブッダガヤも残り数日となったある日の昼、いつもの繁華街へと出かけた。ここで食事ができるのもあと数回か、と感慨に耽りながらカフェラテを嗜んでいると聞き覚えのある声が聞こえてきた。

「グルジー、グルジーよぉ…」

振り返ってみると、いつかの投稿で紹介したあの「足が悪い振りをする男」だった。
(ブッダガヤの物乞い 1 参照)
https://note.com/birdpato/n/n5

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ブッダガヤの物乞い 4 仏五左衛門編

ブッダガヤの物乞い 4 仏五左衛門編

写真 : 夜のマハーボディテンプル

インドの物乞いには実に様々なタイプがいるが、金をせびる時はたいてい皆しおらしい感じで来る。だが時折とんでもなくぞんざいなやつがいて驚かされる。

いつだったか大通りを歩いていたときのこと。道端で車座になって団欒に耽っているホームレス一家の脇を通りすぎようとしたとき、母親とおぼしき女が私に気付くと、

「あ、ちょうどいいのが来やがった!」

とでも言うような勢い

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ブッダガヤの物乞い 3 中年の危機編

ブッダガヤの物乞い 3 中年の危機編

2024/01/30

昨日はちょっと趣を変えてベトナムの寺院を訪ねてみようと思い昼過ぎに宿を出た。田園風景の中をさ迷っていると自転車に乗った子供(小学2、3年生くらい)がやってきてヒンディー語で何か叫んでくる。

「おい小僧、この俺にヒンディー語は通じねえぞ」

と自信をもって言い放つと、

「はぁー」

と、大人びたため息をついて今度は数字を連呼し始めた。

「ダース!ダース!(10)」

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ブッダガヤの物乞い 2 カギュモンラム編

ブッダガヤの物乞い 2 カギュモンラム編

2024/01/28

先日終了したカギュモンラムにはインド人のグルジー達が大勢参加していた。初日は十数人程度だったのが日に日に増えていき、最終日には200人近い大所帯になっておりなかなかの騒ぎだった。

昨今、インド人の仏教徒数は爆発的に増えていると聞く。特にカースト最下層の不可触民を中心に増えており二、三十年前には10万人単位だったのが今は1億人を超えているのだとか。

この人たちもそういった

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ブッダガヤの物乞い 1

ブッダガヤの物乞い 1

とあるレストランのテラス席で昼食をとっていたところ一人の物乞いに絡まれた。いつも足を引きずって歩いている男だった。「なんか食い物くれ」と手を動かして訴えてくるので「なにもあげらんないよ」とこちらも手を動かして牽制していると、向かいに座っていた女性が口に合わなかったらしく「これ飲みなさい」と自分のスープを差し出した。

 しかし男は手を振ってそれを拒否、僕のベジターリー(スペシャル)についてきたヨー

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