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「雨は君を横から殴る」

雨が君を横から殴る、
夏の夕刻、隠れた街路樹、天は雷伴って、
其の様、まるで機関銃、撃たれた猫が萎びたように痩せ細り、
俯き二歩先くらいしか見えぬ、視線の先に逃げ場を探す、
雨はときに喚き散らして戸惑わせる、

夜明けに抱いた希望は午前の終わりにゃ向かい風に煽られて、
黄昏れ刻には琥珀で喉を焼きつつ紛いの夢を誰かに語る、
其れからいつものようにまた、錆びた鉄のにおいが残る、檸檬を齧り吸い出して、
雨の隙間を縫うよう駆けた、青いころを思い出す、

雨は僕を上から殴る、
途方に暮れて不誠実なる夢に逃げる、誰かを叩き落そうと、
その物悲しくも滑稽な、姿が君には僕に見え、君には僕がよぎるらしい、
数秒先しか思い描けぬ、不自由なる未知を持つ、
暗がりながらも盲目的に光には手を、
雨は今日も天地を繋ぐ鎖として、僕を君を這わせるように拘束する、

photograph and words by billy.

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