見出し画像

旅人になったわけ

農学部を卒業後、食品会社で2年働いた。"3年3割"と言われる新卒の離職率。世間の言う通りになるのが悔しかったけど、やっぱりどこか心の中にくすぶる何かがあって、辞めようと決心した。

「明日、死んじゃうなら何する?」

幼少期に阪神淡路大震災を経験したからか、死は意外にあっけなく訪れるものだということを、幼い頃から感じていた。じゃあ、死ぬ前に何がしたいのか。

「そうだ、旅をしよう」

そうして、旅先で美しいものを見ておいしいものを食べるという私の旅人としての人生がスタートした。

ここからは主な旅の記録。

日本一周

2013年(25歳)

画像2

春から初夏にかけて、軽自動車で車中泊をしながら47都道府県を巡った。出発前に「女の子が一人でなんて…」と反対されたが、そんな父には企画書を提出して決裁をもらった。富士山の麓で事故りそうになって対向車に罵声を浴びせられたこともあったし、車中泊をしている道の駅が深夜のヤンキーのたまり場になっていて「早く去ってくれ」と車の中から祈ったこともあったし、草津温泉の足湯にiPhoneを落として再起不能になって絶望したこともあった。

画像3

それでも、「百聞は一見にしかず」という言葉通り、この目で毎日違う景色を見て、空気を肌で感じて、そこでしか食べられないものに舌鼓をうちながら旅をしたことは一生忘れられない、いや、到底忘れることなんかできない経験になった。


世界一周

2016年(28歳)

画像4

次は世界を見てみたくなった。初めての海外は2008年のベトナム縦断10日間。その後は、韓国、香港、台湾、カンボジア、マレーシアと比較的日本に近いライトなアジアを中心に旅をしていた。もちろんアジア圏の国々は大好きである。でも、このままアジアから脱することなく、憧れだけを募らせていていいのだろうか。いや、よくない。タイミングは今だ。

約3ヶ月半にも及ぶ船の旅。寄港地は24。ヨーロッパ、特に北欧を中心に巡ったのだけれど、私の一番のお気に入りは中南米グアテマラ。ティカル遺跡は写真からは想像が及ばないほど魅力が詰まった場所だったし、ホテルの小柄なおじいちゃんシェフが焼いてくれたトルティージャを何回もおかわりした。

画像5

様々な国を見ただけではない。ジェンダーについて考えたり、一生付き合える友達ができたり、民族学についてもっと学びたくなったり。笑ったのと同じくらい、よく悩みよく泣いた。この旅が人生の転機になったと言っても過言ではない。


沖縄本島一周

2017年(29歳)

画像6

沖縄が好きで今まで何度も行っていたのに、本島北部には足を踏み入れたことがなかったので一周することにした。温泉も道の駅もなくて車中泊には向いてないけど、ゲストハウスが驚くほど安いことに気が付いた。


北海道一周

2018年(30歳)

画像7

舞鶴から小樽までフェリーで車を持っていき、車中泊をしながら2週間かけて外周を一周。二風谷アイヌ文化博物館がとてもよかった。旅の最後で胆振東部地震に遭うが、無事帰宅。


ニュージーランドワーキングホリデー

2018~2019年(30,31歳)

画像8

「お姉ちゃんにはニュージーランドがいいと思う」一番下の妹がそう言うなら間違いないだろう。自然が多く、人が少ないのもいいと思った。あまり深く悩まず行き先を決めた。初めてワーホリの制度を知った時は何とも思わなかったけれど、30歳という申請の制限年齢に近づくにつれ、経験をしてみたくなったのだ。3ヶ月ほどでしんどくなって帰国するだろうと予想していたのに、結局1年も滞在してしまった。おそらく、今まで感じてきた生きづらさというものから、少し解放されたからだと思う。

画像9

フラットホワイト、アフガンクッキー、キャロットケーキ、ステーキパイ、Bobby’sのフィッシュアンドチップス、DEEP SOUTHの2Lアイスクリーム。今となっては懐かしい食べ物たち。挙げ始めたらきりがなくなる。キウイフルーツの農園と箱詰めで稼いだ日々と、ゆっくり時間をかけて旅をした日々のバランスもちょうどよかった。


オーストラリア

2019年(31歳)

画像10

1週間の滞在。ニュージーランドのゆるい雰囲気に慣れすぎて、シドニーの都会感に圧倒されて熱が出た。英語が使えるだけでこんなにも旅のハードルが下がるのかと嬉しく思った。

バリ島

画像11

2週間の滞在。地元民にまじって道端でバクソという肉団子スープやサテという焼き鳥をほおばる日々。ケチって500円の安宿に泊まったがために人生初の南京虫にやられ、毎日痒さと戦っていた。旅人経験値が上がった。

台湾一周

画像12

台湾を一周することを「環島」という。台北にはすでに3回も行っていたが、4回目にして念願の一周をすることができた。ローカル列車とバスの旅。

1ヶ月間の滞在予定だったが、中国語はほとんどできないままでも台湾人のやさしさに支えられて何とか生活できた。もちろん地方に行けば行くほど意思疎通がうまくできず、蛋餅という朝ご飯を3人前注文したことになったり、電車で横に座ったおばちゃんがずっとしゃべりかけてくれてたのに1ミリも理解できなかったりしたけれど、アクシデントもすべて含めて楽しい旅になった。台北101で行われた2020年の年越しカウントダウンに行けたこともいい思い出。



ここからの3か国は、日本一周をする前に行った、いわば私の旅ある暮らしのスタート地点になったような国々。

ベトナム縦断

はじめての海外旅行はベトナム。
行きと帰りの飛行機チケットしか取らず、ホーチミンからフエ、ハノイまで北上してベトナムを縦断した。私の原点にして、旅する楽しさに目覚めた旅だった。

韓国

韓国での食べ歩き旅。
旅する中で、文字が分かること=料理名が読めること、という方程式にたどり着く。今思えば食い意地がはっていただけのような気もするが、ハングルをはじめ、語学学習に目覚め始めた。

香港

案の定、ここでもおいしいものをたらふく食べた。
しかし、自分の旅スタイルが変化していくきっかけになる旅でもあった。自由行動が多いとより楽しいし、自分に向いていると気づく。




私の人生のテーマは『旅と食』。
「いってきます」と「いただきます」を楽しみに生きている。

これからも自分をアップデートしていきたいと思う。


読んでいただきありがとうございます。サポートしていただいたお金は「旅と食」のために使わせていただきます。いつもとは違う空の元、旅先で飲むコーヒー1杯分でもご支援いただけるととっても嬉しいです。