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東アジアの奇跡 – ヒップな台湾ガールズを探せ! その1/4


一昨年前より仕事を一緒に取り組み始めたイタリアのスニーカーブランドJOSHUA SANDERSの成長が著しい。

2011年の震災後以降、命の危機を感じた人々は、本能的か身体への意識が高まった。そして昨今のランニングや山登りヨガなどブームにつながり、ファッションもまた身体機能を意識したものが主流となっていった。

僕もまたその一人で、2011年の震災以降の当時、多くの街の人々は未だに革靴やヒールを履き、その姿に違和感を感じた僕は、そういった人々に向けて新しい価値観を持ったモードなスニーカーを見つけたいと1年ほど欧州の工場や展示会をかけあちこち駆け回り探した。

イタリアンの友人が新しい靴のブランドを立ち上げたとの事で現地に向かい、斬新なコンセプトと新しい価値観を提案するそのブランドに一目惚れをし、早速取引を始める事にした。

「ストリート × クチュール」

スニーカーをメゾンの高級な革靴などを製造するイタリアの工場でわざわざ作らせ、従来なスニーカーにはない品のある繊細な佇まいが表現していた。女性向けてはスニーカーのソールを厚めにし、ヒールを日々履く女性に向けてのヒールとスニーカーの中間のプロダクトを提案する。それに柄や素材もスニーカーでは使われないような織物や特殊な革素材を用いてスニーカーの新しい価値を生み出していた。


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昨今の健康ブーム、スニーカーブームも相まって、一年のうちに日本での売り上げは大きく伸び、ブランドも急成長を遂げた。デビューして数シーズンのうちに、日本だけではなく世界中でもブランドとしての価値を高め、今後の方向性と戦略を決めるミーティングの為にパリを訪れた。

かつて世界中のデザイナー、ブランド達は日本の市場を目指した。日本は東アジアでのファッション先進国で消費も他の国よりも飛び抜けて高く、日本で成功すれば莫大な売上が上がると期待されていた。しかしその栄光は過去のものとなったのかと、僕は他の東アジアの他の国々の売上の数字を見て度肝の抜かれた。

日本は今はなんとか東アジアでの売上のトップは維持しているものの、香港1都市でも日本全体に迫る売上で、それに続いて韓国、台湾、上海、シンガポール、それにタイの国々での売上、しいていうならシーズンを追う毎の消費の拡大には目を見張るものがあった。

もちろん僕の浅はかな知識でも、そういった東アジアの経済が盛り上がっているのは知っていた。しかし僕の中に驚きがあるのは、別のところだった。

まがりにも僕はこのファッションに携わるこの仕事で、世界のファッションのトレンドの先っぽに居る感覚で仕事をしていると自負があった。その感覚はパリやミラノ、それにニューヨーク、ロンドンで発表される最先端の物を見極め、その後日本のマーケットにドロップダウンされる。そしてその後、追って他のアジアの国々に回るものだと信じきっていた。

トレンドはそうして少しづつ世界を巡り、少しづつドロップダウンされて波紋のように少しづつマスに広がって行くものだと。それが僕の、いや僕ら日本人の常識だった。

もちろん東アジアの国々にもお洒落なショップはある。しかしその数は限りなく少ないもので、パリで発表されるトレンドの先っぽについてくる店の多くはは日本に限られていた。以前までは。

しかし今では、その数は他の東アジアの国々も日本に負けず劣らず成長を遂げ、いずれは日本を追い越してしまうのは時間の問題だとさえ感じるものだった。

そういえば、数年前からパリの展示会でブランド人間達と共にセールスを行っていると、年々増えていく、お洒落で綺麗な東アジア圏のバイヤーやエディターのお姉さん達の話はよく話題に出ていた。

以前までは日本人は一目見てそのファッションやメイクからすぐに認識できていた。しかし年を追う毎に他のアジアの女性達のファッション、メイクは洗練され、ここ最近では日本人よりもオシャレに気を使い綺麗にしいる人たちが多く、今では彼女たちの言語を聞かない限り、日本人を含めてどこの国からやってきたのか見分けがつかなくなってしまっていた。

そしてよく展示会中に助平なイタリア人達と一緒に、可愛い彼女達がどこのアジアの国から来た女性か言い当てるゲームをやっていたものだ。そして何故だか台湾人がお洒落で可愛い子が多いという結論に皆が達していた。


"その街の文化の成熟度は街の女性のファッションとメイクのセンスに比例する"


旅好きの仲間内で良く語られていた名言だ。これは本当によく本質を捉えていて、良いセンスも持ち合わせている女性が多い街は奥深い文化を持ち、味わいのある街である事が多い。転々と旅をする事が多いとこの事はとても重要な見極めになってくる。

この名言が身に染みていた僕からすると、他のアジアの国々の女性が年々と洗練されていっている姿は驚くべき事だった。


“ 世界はフラット化する。”

数年前に流行ったインターネット後の世界を端的に表したその言葉をふと思い出した。ファッションの世界において日本は何十年もかけて経済の発展にともない欧米に追いつけ追い越せと様々なもの輸入し、模倣し、そして独自のファッション文化を作り上げて欧州の都市と肩を並べる"センス"を持ち合わせる国になった。

それにも関わらず、それらの他の東アジアのここ数年の急速な経済発展とともに、いや、そのファッションに対する"センス"はそれ以上のスピードで成長を遂げ、あっと言う間に日本や欧米の国々に対等するような"センス"を持ち合わせる国々に発展してしまったようだ。

インターネット時代の今、とりわけファッションにおいては、FACEBOOKやINSTGRAMの情報伝播の影響力は凄まじいものがある。

一体東アジアの国々で何か起こっているのか。本当にヒップで可愛い女の子達は存在しているのか。僕は長めの休みを取り、大義名分を肩に乗せて、早速二人の男は台湾の台北に飛んだ。

つづく

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