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ハマってしまったネトフリドラマ「Heartstopper」

 Netflixというと今では誰もが知っている娯楽媒体になっている。わたしもここ数か月、時間があればドラマや映画を観てしまっている。

 わたしはどちらかというと暗い雰囲気の作品が好きだったので、特に恋愛や学園青春ドラマはほとんど観てこなかった。そんなわたしがある学園恋愛ドラマにドハマりしてしまった。

LGBTQの学生時代を描いたあるドラマ

 Netflixを開き、なにか良いドラマないものかといつものようにザッピングしていた。するとあるドラマが画面に表示されてきた。

「Heartstopper」

 過去に視聴履歴があるドラマだったが1話目で観るのをやめている形跡があった。その時はおそらく、直観的にハマらないと判断したのだろう。しかしすっかりその時のことは忘れていたので、改めて観てみることにした。

 それはゲイの高校生チャーリーが1学年上のラグビー部のニックに恋をする話だった。いわゆる学園恋愛ドラマなのだけど、1話30分にも満たないのでするすると観続けてしまった。

 チャーリー(クラスの端にいそうな感じ)の片思いかと思いきや、ニック(ゴールデンレトリーバーのように人懐っこい)と早い段階で両想いになっていく展開に心の砂漠に雨が降ったかのような感覚になった。

 時間が氷のように解けていき、気づくと時計の針は午前2時を指していた。SNSで「休みの日にNetflix一気観しちゃった」という投稿を目にしたことがあるけど、まさにそれだった。

このドラマにハマった理由

 なぜこのドラマにハマってしまったのか自分なり考えてみた。それはこのドラマを観終わった後の感想に答えがあるような気がする。

「学生の時にこういうのしたかったなあ」
この一文にすべてが詰まっている。


 わたしは物心ついた時から、女の子ではなく男の子を目で追いかけていた。しかし、それは人に決して言ってはいけないことだった。

 高校生ともなると好きな人の話題は当然のように出てくるし、晴れて恋人同士になる人もいた。わたしはそういう話題は避けてきた。女の子から連絡先を聞かれると「部活と勉強で忙しいから」と断っていた(今から思えばかなりイケ好かないやつである)。

 そんなわたしも好きな人がいなかったわけではないし、そういう話をしたくない訳でもなかった。相手から好意を向けれるのも嬉しいことだった。ただ、対象となる性別がほかの人と違った。ただそれだけ。ただそれだけなのだが、わたしは心の扉をそっと閉じカギをかけた。そのカギには「学生時代の恋愛」というタグを付けた。

 そしてその扉をこの「Heartstopper」が開けたのである。チャーリーとニックの2人はまさに自分が送ってみたかった”学生時代の恋愛”を体現していた。

 隣の席に座った子と両思いになり、お互いの家を行き来したり、友達に紹介したり。そんな異性同士でしかありえないと思っていたことを同性同士でやっている。そしてそこには支えてくれる友達がいたり、理解がある家族がいたりする。

 もちろん同性同士ということでいじめてくる人もいるし、そのことが故の葛藤や悩み、そしてときには傷つくこともある。

 しかしわたしには主人公2人の幸せそうな時間だけでなく、そういった苦しい時間でさえ経験してみたかったことなのである。学生時代のわたしは、経験してみたかったそのすべてを”わたしの人生には存在しないもの”として脳内からアンインストールしていた。

 またこのドラマで登場する彼らの友人も多様なセクシャリティで描かれている。特にアセクシャルの男の子が出てくることで、決して恋愛至上主義的なメッセージを与えないような配慮もしてあるように思う。

 ここで描かれているストーリーは、学生時代のわたしが生きたかった世界だった。そしてわたしは「学生の時にこういうことやりたかったなあ」という感情が湧き起こってきたのだった。

まとめ「Heartstopper」から得られたもの

 わたしが抱いた感情は、異性愛者の人には理解できないであろう。でももしかしたら、LGBTQ当事者の学生時代を題材にしたこのようなドラマを通して想像することができるかもしれない。

 わたしも普通の恋愛ドラマを観てもいまいち感情移入できなかったが、このドラマを観て初めて「ストレートの人ってこういう感じで恋愛ドラマを楽しんでいるのか」と妙な感動を覚えた。

 そして、もしわたしがこのドラマに学生時代に出会っていたなら、おそらく「Heartstopper」クラッシュみたいなものを起こし、その後の価値観に大きな影響を与えたと思う(大袈裟かもしれないけど)。もっと早くに出会いたかったけど、今の時代だからこそ作れた作品なのかなとも思う。

 まだ作品は続いているので新シーズンを心待ちにしている(待ちきれずに原作本ももちろん購入済み)。


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