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#あなたの好きなPR事例はなんですか?|PRラヴァーズ 後編

NHKの隠れた名作番組「コンテンツ・ラヴァーズ」にインスパイアされて始まった「PRラヴァーズ」。メディアをフル活用した施策・提案を手掛ける社内メンバーが国内外の秀逸事例について語り合います。 
前編は以下からご覧いただけます。


マイノリティの声に耳を傾けたマスターカード

茅野「社会課題を解決したPR事例として、マスターカードの『TRUE NAME』を紹介します。」

出典:True Name | Mastercard 

茅野「クレジットカードって、戸籍上の名前でしか作れないんですよね。トランスジェンダーの人のなかには外見と名前が一致しないことで『他人のカードを使っているのでは?』などの疑念を抱かれることがあり、嫌な想いをしたりトラブルになってしまうこともあるそうなんです。そんなマイノリティに向けて表記名を選べるクレジットカードを実際に作ったんです。手続きとか大変だったと思いますが、やり切って実現したことが企業としてすばらしいと思いました。」

クリフ「カンヌのPR部門でゴールドを獲った施策ですよね。」

茅野「そうなんです。これがPRやコミュニケーションの事例として、カンヌで評価されることにコミュニケーションの可能性を感じました。私たちの仕事ってこんなこともできるんだよね。カンヌの受賞作品には毎年勇気づけられているんですが、企業の課題解決にとどまらず社会課題にも踏み込んで世の中をより良くすることが、私たちエージェンシーやコンサルタントの目指す姿だよなぁと。」

築根「母数の小さいターゲットに向けた施策なのに、結果的に社会全体から支持を得ていることがすばらしいですよね。」

茅野「単にソーシャルグッドで終わらずマーケ施策としても優秀だなと思ったのが、未開拓の市場を開拓して先駆者になれているんですよね。今までのカードに負を持っている人は乗り換えたくなるはず。成熟市場の中で新しい顧客を取りに行く施策としても優れていますよね。」


15歳が東証1部上場企業のCFOに。経営から未来を変えるユーグレナ

茅野「ユーグレナ社が創業15周年となる2020年にコーポレート・フィロソフィーとして『Sustainability First(サステナビリティ・ファースト)』を掲げたんですね。そのフィロソフィーを実現するため18歳以下を対象にユーグレナ社独自の役職CFO(最高未来責任者)を募集したんです。」

出典:ユーグレナ社 プレスリリース

築根「CFOは一般的には『Chief Financial Officer(最高財務責任者)』ですが、ユーグレナは「Chief “Future” Officer」なんですね。新聞広告のクリエイティブもインパクトありますね。」

茅野「やっていることは一見インターンシップのようですが、CFOという役員の肩書きを与えたところがPRの妙だなと。彼らの意見を実現してプラスチック削減などで成果を出していることもあり、サステナブルの文脈でいろんなメディアで報道されたんですよね。結果としてユーグレナ社はサステナブル経営のパイオニア的企業として注目されるようになりました。」

クリフ「すごい。活動内容のなかで『小泉進次郎環境大臣と弊社のプラスチック削減策など環境問題解決について意見交換』してますね。」

小久保「経営にコミュニケーションが入り込んでいるのがいいよね。これからのPRコンサルはいかに経営に入り込んでいけるかみたいなところが求められている気がします。」

茅野「そうですね。パブリック・リレーションズの根本に立ち返って、株主や求職者や従業員など幅広いステークホルダーを見ていく必要があるなとあらためて感じました。」


心を動かすブランドメッセージ「みてね」

出典:みてね

小久保「最近、僕自身が態度変容を経験した写真共有アプリ『みてね』をご紹介します。時間があるときにぜひ読んでほしいのですが、創業者である笠原さんの開発に込めた想いがストレートに伝わってくるんです。」

出典:みてねの始まりと、これから

こどもが生まれたら想像以上にたくさんの写真を撮ること。
写真と一緒に、両親や祖父母のコメントも綴じられること。
家族とお別れしたあとも、こどもが想いを振り返られること。

小久保「これ読んだらみんな『みてね』を始めるんじゃないかと思いました。思想に筋が通っているなと思ったのは、データ容量で課金をさせないんですよね。容量を気にして保存をためらうのはおかしな話だ、という考えで。」

クリフ「開発者の想いがそのままサービスに反映されているんですね。」

小久保「想いがちゃんと伝われば態度変容が生まれるんだなと思いました。PRってこういったことを飾らずに伝えていくことが大切だと思います。」

茅野「ストーリーにファクトが散らばっていて、ストーリーから価値拡張もできそうなPR的なメッセージですね。」

小久保「そうですね。『みてね』のように世の中にはまだまだ知られていない素敵な商品・サービスは多いはずだから、その魅力を飾らずに丁寧に伝えていくことが、僕らPRの役割だよなとあらためて感じました。」


前・後編にわたってお送りしてきたPRラヴァーズ、いかがでしたでしょうか。好きなPR事例はありましたか?

動画やLPを制作したり、SNSでアンケートを募ったり、新しい言葉をつくったり、OOHや新聞広告を掲出したりと、PRとひとことで言っても、その手法はさまざまですね。そんなPRの可能性を日々追究する参加メンバーのPR愛が、少しでも伝わっていたらうれしいです。

あらゆるメディアを横断して世の中を動かすPR業界から、来年はどんなオモシロ企画が生まれるのでしょうか。次回もぜひお楽しみに。

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