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BIGTANKマガジンは、年6回、偶数月に発行されるエンデューロとラリーの専門誌(印刷されたもの)です。このnoteでは、新号から主要な記事を再編集して順次掲載。バックナンバーの… もっと読む
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2021年4月の記事一覧

LOOKING BACK 技術者の挑戦 - 70度前傾シリンダーのエンデューロバイクは2つのタイトルを獲得した

フサベル 70度前傾シリンダーエンジンの成功 HUSABERG 70-degree forward tilting cylinder engine Text : Hisashi Haruki モータースポーツ その真髄とは何か  このバイクのような技術的なチャレンジは、レーシングの世界でもこの先、見ることができなくなるのだろうか。幸いなことに、エンデューロでは、マテリアルのワンメイクス化や、ハンディキャップ方式が取り入れられるような話は聞かないが…モータースポーツとは、

エンデューロ日記 007 「特別なホイールの話」

その姿には、自らの力で走り続けるのだ、という強い意志がみなぎる。 前回、パンク修理の話が出たついでに、もうひとつだけ、それに関連したことに触れておこうと思う。 1991年までのKTMのエンデューロモデルには、特別なホイールリムが標準で装備されていた。

エンデューロ日記 006 「宝石のようなバイクたちとセンタースタンド」

難しそうなことばかり書いているので、ちょっと休憩を挟む。 MOTO MORINIのVツイン500cc 写真はどれもエルバ島の3日間エンデユーロで稲垣正倫理が撮影したもの。 2015年のエルバ島には、ノグチシート代表の野口さん、KTM鹿児島代表で、ISDEライダーでもある大楽さん、1972年からISDEに通い続けているジェニーさん、ハルキで参加。フォトグラファーとして稲垣くんが同行したのだった。 モリーニは、イタリア製のエンデューロバイクの中でも最も美しい。エルバ島が「

エンデューロ日記 005 「エンジンの始動性もテストされている」

前回は、モーターサイクルの信頼性試験としてのエンデューロ、それがわかりやすく表現されたものとして、かつて行われていた「200メートル加速テスト」というものを紹介した。 今回は、もうひとつ、この競技の在りようを端時に表すルールとして、スタートの手順について見てみようと思う。

エンデューロ日記 004 「テストは朝から始まっている」

写真は稲垣正倫 エルバ島3日間から まずこのビデオを見てほしい。 2015年に、イタリアのエルバ島で開催された3日間のクラシックエンデューロに、野口英一が参加した時のものだ。再生開始位置は、1分32秒に合わせてある。 200メートル加速テスト https://youtu.be/4gqESB90iUU?t=92 このイベントは、1985年に同じエルバ島で開催されたインターナショナルシックスデイズエンデューロから30年が経過したことを記念し、イタリアの愛好家たちが中心とな

エンデューロ日記 003 「誰の手助けも借りずに走り続けることができるか」

写真は稲垣正倫 エルバ島3日間から 前回からの続き。 ON ANY SUNDAYの1シーン、マルコム・スミスが出場したスペインのISDT=国際6日間トライアルを描いた部分だが、ここではこの競技が他のモーターサイクルスポーツに比較して、とても地味で、ストイックなものとして描かれている。6日間の苦闘の末、勝利しても得られるものが、ちっぽけなメダルひとつであるということ。それがまさに、ISDTだということを監督ブルース・ブラウンは強調した。 エンデューロが、1913年の英国で

エンデューロ日記 002 「オンエニイサンデーの6日間が描いたこと」

エンデューロはパルクフェルメ方式で行われる。 Parc Fermeというのは、フランス語で、直訳すると、だいたい「閉鎖された場所」という意味になる。英語では、クローズドパークと呼ばれることもあるが、モータースポーツ用語では、フランス語がそのまま用いられるのが普通で、この場合は「車両保管」の意味として使われる。 なぜフランス語なのか。 「柔道」が、Judo 「津波」が、Tsunami 「寿司」が Sushi というのと同じようなものだろう。 黎明期のモータースポーツ

「エンデューロの起源について」 エンデューロ日記 001

BIGTANKの本誌から最新刊の記事を掲載したり、バックナンバーで多く読まれた記事を再掲載したり、また時々、新しい記事を書いたりということをしているが、ともすると更新の頻度が落ちてしまうことがあるので、日記風に気軽に筆をとれるコーナーを作ってみました。 「エンデューロの起源について」「エンデューロとは何か」ということも知らずに、いや、エンデューロとはそもそも何から始まっているのかということを、日本国民のみならず世界中の自称エンデューロライダーたちが「やれ、このコースは最高だ

大脱走、6日間競技、東西ドイツ

 戦争映画で真っ先に思い浮かべるのは、1963年に公開された「大脱走(The Great Escape)」。ドイツの捕虜収容所に囚われた連合軍将兵たちのドラマは、日本でも大ヒットしてテレビでも何度も放映された。登場人物がそれぞれの得意な知識、技術を駆使して繰り広げられる脱走劇は、子供にもわかりやすく、まさに手に汗握る、血わき肉踊る物語だ。  その中で一匹狼的な役柄が特徴の「ヒルツ大尉」を演じたのがスティーブ・マックイーン。何度も脱走に失敗しては独房入り。それでもまためげずに脱

病院の待合室で「生き残る表紙」をテストした結果

一人でも多くの人に読んでもらいたい。 そう考えるのは、本を作る人間の本能的な欲求だ。 というよりも、そういう欲望があるから、表現をするのである。 BIG TANKという、ほとんどもう、誰が読んでいるのかわからないぐらいのマイクロ出版。ぼくは、定期的に通っている眼科と、その隣の薬局の待合室、そこにあるマガジンラックに勝手に置いてくるということを、ここ何年が行っている。 置いてある雑誌を勝手に持って帰る、のではなく、勝手に置いてくる、というのは、どのような罪にあたるのだろう

ISDEのメダル裁判は 英・米が勝訴した

ポーランドの主催者は、ファイナルクロスが中止されたのはライダーの責任であり、ファイナルクロスを走っていない以上、完走者とは認められない。として、E1クラス以外のライダーすべてをリタイアとみなし、メダルアワードを出さないと宣言した。理不尽な決定にもちろん選手も各国協会も黙ってはいない。事件はFIMスポーツ裁判所に持ち込まれた。 Text :Hisashi Haruki  6日間の完走者が、最後の力を振り絞って走るファイナルクロス。これは、ISDEを象徴するイベントであり、フ

トップライダーが使わないクローズ式。メリットとデメリットの話 2/2

クローズ式のハンドガードの嚆矢といえば、バークバスターという製品を挙げる人が多いのではないか。といっても、1980年代に育ったライダーの間での話である。金属性で頑丈そのものだ。オフロードバイクのプロテクションパーツとして一世を風靡し、現在もクローズタイプのガードのことを「バークバスター」と総称している人が少なくないほどだ。 これが人気をはくした背景にあるのは、デザートライディング、そしてアメリカ独特のウッズレーシングだ。GNCCもAMAナショナルエンデューロも、ハンドル幅ギ

トップライダーが使わないクローズ式。メリットとデメリットの話 1/2

ハンドガードには大別して2種類ある。 クローズ式 : これはハンドルバーとバーエンドをつないで文字通り、グリップとレバーの部分を閉鎖するような形で保護するタイプ。 オープン式 : ハンドルバーやレバーホルダーに取り付けられているが、バーエンドには接続せずに開放された形のもの。 クローズ式には、樹脂製で少し弾力があるものと、金属製でより頑丈なものがある。樹脂製のものは、ハンドルバーの剛性に影響が少ないと考えられている。 オフロードバイクに乗り始めた人は、これらのハンドガ

Parc Ferme - 試乗の心得

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