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LOOKING BACK 技術者の挑戦 - 70度前傾シリンダーのエンデューロバイクは2つのタイトルを獲得した


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フサベル 70度前傾シリンダーエンジンの成功
HUSABERG 70-degree forward tilting cylinder engine


Text : Hisashi Haruki



モータースポーツ
その真髄とは何か


 このバイクのような技術的なチャレンジは、レーシングの世界でもこの先、見ることができなくなるのだろうか。幸いなことに、エンデューロでは、マテリアルのワンメイクス化や、ハンディキャップ方式が取り入れられるような話は聞かないが…モータースポーツとは、本来、テクノロジーの挑戦こそがその独自性であり、魅力だったのではないだろうか。

 1987年。スウェーデンのメーカーであったハスクバーナがイタリアのカジバによって買収される際に、4ストロークのレーシングマシンを担当していた5人の技術者が独立、新たに立ち上げたメーカーがフサベルだ。小メーカーでありながら、独創的な技術と発想で、画期的な軽量4ストロークエンジンを開発。モトクロス、エンデューロシーンを席巻し続けた。1995年に、フサベルはKTMに買収されてその傘下ブランドになるのだが、独自の開発は継続。2008年に登場したのが、ここに紹介するマシン。


一目してわかるように、エンジンのレイアウトが特徴的だ。普通の4ストロークエンジンをまず前後逆に配置したうえで、約70度前傾させたレイアウト。重心が高いように見えるが、これによってクランク軸が車体の中央部に近く配置されマスが集中。軽快なハンドリングを生むと考えられた。ダウンドラフトの吸気レイアウトも理想的と言える。

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