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BIGTANKマガジンは、年6回、偶数月に発行されるエンデューロとラリーの専門誌(印刷されたもの)です。このnoteでは、新号から主要な記事を再編集して順次掲載。バックナンバーの…
1998年に創刊。世界のエンデューロ、ラリーのマニアックな情報をお届けしています。
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記事一覧

MEDAL AWARD - 魂のゴールドメダルを目指せ

SIXDAYS - 六日間競技とは何か - No.250より 特集エンデューロ Chapter-5 Text :Hisashi Haruki すべてのライダーがひとつの条件で技量を競う。貨幣による章典は無く、実力の証明として小さなメダルが授与される

WORLD TROPHY - 何に向かって走るのか

SIXDAYS - 六日間競技とは何か - No.250より 特集エンデューロ Chapter-4 Text :Hisashi Haruki Images : Masanori Inagaki タイトル写真 : ISDE フランス2017を走る前橋孝洋 ワールドトロフィ  アメリカのワールドトロフィチームが歴史上初めてISDE=FIMインターナショナルシックスデイズエンデューロで優勝したのは2016年(スペイン大会)、ちょうどFIMのISDEルールが改正され、ワールドト

シックスデイズ、US流

SIXDAYS - 六日間競技とは何か - No.250より 特集エンデューロ Chapter-3 Text :Hisashi Haruki 誰が参加できるのか?  日本のライダーがISDEに参加したいと希望した場合、どうしたら良いか。何か特別な資格、または基準があるのか、というとそうではなく、現在のところ「誰でも」参加することができる。FIM(国際モーターサイクリズム連盟)の参加団体であるMFJ(日本モーターサイクルスポーツ協会)のエンデューロライセンスを取得したうえ

KURT CASELLI - フロンティア精神

SIXDAYS - 六日間競技とは何か - No.250より 特集エンデューロ Chapter-2Text :Hisashi Haruki Images : KTM Media  マルコム・スミスと同じように、伝統的な6日間競技と、アメリカのフロンティア精神の象徴のようなデザートレース、その両方での勝利を目指した若者について、もう少し詳しく触れておく必要がある。弊誌のバックナンバーにあたると、その若者、カート・キャッセリと、彼を育てた父親リッチ・キャッセリのことを書いた記事

SIXDAYS - 六日間競技とは何か - No.250より

特集エンデューロ Chapter-1Text : Hisashi Haruki Images, Masanori Inagaki(Isola d'Elba), Toshimitsu Sato(ISDE wales 1983) Malcolm Smith 1941 - 2024  マルコム・スミス氏が亡くなった。1941年カナダの西海岸ブリティッシュコロンビア州生まれのアメリカ人。20年以上に渡ってバーキンソン病と闘い、しかし最期は、妻のジョイス、娘、息子たち、そして8人の

BIGTANK本誌 No.250のお知らせ - 2024年もありがとうございました!

2024年も本当にありがとうございました。このnoteのオンライン定期購読マガジンも5年目に差し掛かりました。本当に購読いただいている皆様のおかげです。改めてお礼申し上げます。

Brasil 100 years - エンデューロ日記 No.55

 ブラジル日系移民の歴史は、1908年(明治41年)、笠戸丸に乗り込んで海を渡った800名の移住者によって始まったと言われている。今年、2024年ははそれから数えて116年を数えることになる。笠戸丸以来、遠い異国の地に渡った人々が経験した苦労は、想像することも難しいものだろう。文字通り石にかじりつくような努力の末に、広義での市民権を勝ちとってきた。ブラジルの日系人は、二世、三世、また四世の時代になっていくが、その人口はブラジル全土の約1%、しかしながら大学への進学率は10%以

一生つきあいたいバイク - BMW R75 ISDT Trophy Model

Hisashi Haruki 現在でも、エアヘッドのGSを所有している人、あるいは所有したことがある人なら、それに代わるバイクが世界には存在していないということを知っているに違いありません。

「ミカ・アオラ = Mika Ahola 誕生日に寄せて

 1974年12月13日生まれ、フィンランドの人。18歳でFIMエンデューロ世界選手権にデビューした彼は、1997年にはイタリアのtmレーシングの契約ライダーとなり年間ランキング2位、1999年には伝統あるISDE=インターナショナル6日間エンデューロで個人総合優勝を獲得。実力ナンバーワンのライダーとして認められるが、しかし、肝心のワールドタイトルの獲得は2006年まで待たなければならない。実に、ワールドへのデビューから15年。  何度も「あと一歩、わずか数ポイント」という差

マルコム・スミスのISDTとデザートレース

AMA(アメリカモーターサイクリスト協会)によると、2024年11月26日、マルマム・スミス氏が逝去されたとの報せ。20年年以上に及ぶパーキンソン病との闘いでしたが、最期はたくさんの孫を含む家族に囲まれての安らかな旅立ちであったとのこと。 その訃報に接し、一人のバイク好きとして、氏に強い影響を受けていることを改めて感じます。モータースポーツは、生涯に渡って取り組む価値のあるものと、自信を与えてくれました。

スプリントエンデューロという矛盾と真実 - エンデューロ日記 No.54

「スプリントエンデューロ」という競技がある。 エンデューロという語には「耐える。耐久的」という意味があり、そこからは時間や距離の「長さ」が想起される一方、スプリントという語からは、短距離短時間、また耐久力よりは瞬発力を想起する人が多いだろう。 なんとなく矛盾した感じがするこの名称がつけられた競技は、2005年頃にイギリスで始まったものだ。 エンデューロという競技は一般的に、長い移動区間と、スペシャルテストを組み合わせたルートを設定して行われる。移動区間はタイムチェックポ

競技者の魂 - エンデューロ日記 No.53

プロライダー、国を代表するようなトップライダーも、遠い国からたった一人でやってくるライダーも、ここではただ一人のライダーとして、モーターサイクリストとして、ウエストバッグの工具だけを頼りに6日間を乗り切らなければならない。  ISDEもエンデューロ世界選手権も、日高のツーデイズエンデューロも同じだけれど、FIMのエンデューロルールの根幹にあるのは、パルクフェルメ方式という車両保管の仕組みだ。競技前の車両検査が行なわれると、車両保管され誰もマシンに触れることができなくなる。ス

ITALIA 1997 「トップを走ったジャポネーゼ」- エンデューロ日記 No.53

 イタリアの名門「モトクラブベルガモ」の本拠地がこの年の6日間の舞台となった。ブレシアという街の国鉄駅から、氷河地形の山岳地帯に少し入ると、そこにルメヅァーネという山村がある。サッカー競技場ががパルクフェルメとなり周辺の空き地がパドックになっていた。山間部らしく、午後になると毎日雷雨が来た。保水力のない岩山なので、雨が降るとあっというまに、あちこちで洪水が起きる。幾度も、区間のキャンセルが行なわれた。増水した小川を、腰まで水につかりながら、3人一組でおみこしのようして一台ずつ

Acceleration Test - 加速テスト - かつて存在した全開の信頼性試験

Toshimitsu Sato