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ISDEのメダル裁判は 英・米が勝訴した

ポーランドの主催者は、ファイナルクロスが中止されたのはライダーの責任であり、ファイナルクロスを走っていない以上、完走者とは認められない。として、E1クラス以外のライダーすべてをリタイアとみなし、メダルアワードを出さないと宣言した。理不尽な決定にもちろん選手も各国協会も黙ってはいない。事件はFIMスポーツ裁判所に持ち込まれた。

Text :Hisashi Haruki

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 6日間の完走者が、最後の力を振り絞って走るファイナルクロス。これは、ISDEを象徴するイベントであり、ファイナルクロスを走ることは、多くのアマチュアライダーの目標であり、憧れでもある。6日間の長く険しい道を乗り越えて、ともに戦った世界中ライダーたちと並んで、最後のヒートレースのスタートを待つ。それはどんな賞賛にも勝る、まさにフィニッシャーだけに許された黄金の時と言えるだろう。しかも、その先にはFIMのメダルアワードという決して揺らぐことのない栄誉が待っている。ファイナルクロスは、まさにシックスデイズライダーにとってのプライドそのものだ。
 ところが、そのシックスデイズライダーのプライドが、人間対人間のエゴによって踏みにじられる事件が起きたことがある。2004年のISDE、ポーランド大会でのことだ。
 深い山砂のトレイルが延々と続くタフなコースが印象に残る大会だった。ウッズの中は狭く、サンド路面にできたフープスが、いっときもライダーを休ませることがなかった。ISDEは決して事故が多い種目ではないはずだが、この年は不幸にもドイツのトロフィチームで参加していたスウェン・エンダーレイン(25歳・KTM)が、立ち木に激突して死亡した(スペシャルテストではなかった)。

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